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第千百三十七話

「お久しぶりですううう~~~っ!」

「「「!!!!!?????」」」


 沖野宮高校三年一組。


 椿ちゃんが元気いっぱいの様子で扉を開けた。


 当然、そこにいた全員が『なんで!?』という顔になったわけだが……。


「……はぁ、とりあえず説明しましょう」


 リオ先生。頑張れ、最高神なんだからもっと変な人たくさん見てるでしょ?


「どうやら、未来で椿さんがドッペルゲンガー発生装置を起動してしまって、フルコピーが作られました。で、紆余曲折の末に、この時間にやってきてしまったみたいです」

「端折りすぎだろ……」


 フォルノス。大罪神祖にして沖野宮高校の生徒会長ならいろいろな人に出会ってるでしょ?察しなさい!


「ただ、この椿さんはドッペルゲンガーであり、本体ではありません。形を維持することができる時間に限界があり、今年度あたりが限界とのことです」

「……秀星なら引き延ばせるんじゃね?」


 誰かが呟いた。


「未来の装置の中身が全然わからないし、皆が想定してる以上に複雑な技術で作られてるから、今の俺には手出しできんよ」


 もちろん時間があればその限りではないだろうが、秀星は因子関係で時間が取れないため、今のところ解決策はない。


 そして、秀星が何らかの事情を抱えていることは常であり、他の生徒たちも分かっている。


「むっふー!」


 椿が興奮しながら席に座った。


 ……秀星と風香の間、星乃が使っていた席に。


 全員が、教室に入ってきた星乃の方を見る。

 星乃は、自分の席に椿が座っていることを確認すると、苦笑しつつ、教室の外に置いていた机といすを持って、教室の後ろの方の席に置いた。


 ここまで星乃は無言である。


 全員が、『く、苦労してるんだなぁ……』という視線を向けた。


 ……未来の朝森家の序列ってどうなってるんだろう。


 まあ多分、『風香>椿>秀星=星乃』であろうことは想定できるが。


「ん~♪」


 そして、椿はそんな星乃に対して目も向けない。


 とはいえ、星乃が椿を制御できるはずもないか。きっと、振り回されまくるのがオチだろう。椿は人の話を聞かないわけではないが、独自解釈がエグイので。


「……」


 星乃が机を見る。


 すると、セフィコットが机の上に上がってきていて、タブレットを見せてきた。


『まあ、元気出せよ。これからいいことあるって』

(それは今は良いことになっていないということでいいのかな?)


 何かがどうしようもなく納得いかない様子の星乃。


『まあまあ、後でセフィアの最高端末がマッサージしてあげるから』

(いらねーよ!)


 ……ちょっと顔が赤いぞ。星乃。


「先生!早く授業ですよ!むっふー!」

「……はぁ、なんていうんだろう。こういうのって、頭痛が痛いって言うんですかね?」


 誤った日本語だが、椿が相手だとあまりそういう感じがしないのが椿らしさのゆえんである。


 まあとりあえず……おかえり、椿ちゃん。

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