第千百二十二話
アトムとラターグの模擬戦。
だんだん激しくなっていくその戦いだが、ある時、2人が同時に、何かがピンときた。
それが影響したのかどうかは、真の意味では定かではない。
しかし、2人が同時に、とても強力な斬撃を放ったのは事実である。
……バギッ!
「んっ?」
「あれ?」
タキオングラムと堕落大権化で斬り合っていると、なかなか聞こえない音が響いた。
「……さっきの音はなんだ?」
「うーん……わかんにゃい☆」
てへっ!ととぼけるラターグ。
何かを知っているのは明白だが、これ以上突っ込んでも答えないであろうことはよくわかったので、アトムはとりあえず警戒だけしておくことにする。
まだ、ミシミシ、ビキビキと聞こえてくるのだ。
「一体何が起こっているんだ?」
「まあ簡単に言うと、強い力をぶつけすぎて、空間と時間が耐えきれなくなってるみたいだね」
「時間ってそんなに脆い物なのか?」
「まあ、時間というものがあると仮定して、その範囲の中で弄りまくるのが神であり神器ってやつだから、思ったよりこういうことはあり得るんだよ」
「ふむ……」
ミシミシ……ビキビキ……バキャッ!
……ぽてっ!
「痛いですううう~~~っ!おしりから落ちたですううう~~~っ!」
これだけで誰が落ちてきたのが一発で分かるというものだ。
「……なんだろう。なんか、よく来るなぁ。この子」
「引っ掛かりやすい体質かなにかあるんだろうな……」
落ちてきた椿を見て、どこか表情に呆れが混じる2人。
「む?あれ、アトムさんとラターグさん?むむっ!?過去に来ちゃったですううう~~~っ!」
気が付いた後は元気よく慌てる。
……変わらないな。
「ラターグ、これはどうすればいいんだ?」
「僕もよくわからんなぁ。大体こうなる前に全知神レルクスが止めに来るから、こういう事故って起こらないようになってるはずなんだが……」
「本来ならそんな大物がやってくるというわけか。それが来ないということは……『まあ椿ならいいか』って判断してるのか?」
「可能性は否定できないね」
全知神レルクスだって、雑になる時はあるのだ!
「むうう、今回はタイムマシンも持ってないですし……この世界のお父さんに頼まないと帰れないですううう~~~っ!」
うにゃあああ!とか、むふううう!といった様子で騒ぐ椿。
……本当に高校生になったのだろうか。
「で、これからどうすればいいんだ?」
「とりあえず秀星君のところに送りつけよう。地球にいるより、天界にいる方が、まだ都合が良いはずだ。あそこはいろんな意味で、『許容範囲が広い』からね」
「そうか。なら、そうするといい」
「あれ、アトムは来ないの?」
「行く意味がない。『因子を無力化させる』という研究テーマはすでに出ている。後は技術的な話だ」
「なるほど、それならそうさせてもらうよ」




