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第千百十八話

「アトムくーん!」

「……」


 とりあえず因子の対応を秀星に任せて、ラターグはアトムのところに行った。


 で、なれなれしく話しかけたら冷たい目をされた。


「何をしに来たんだ?」

「実はねぇ。今回の『因子』関連で相談があるのさ!」

「……詳しく説明しろ」

「資料を用意してきたよ!」


 10枚つづりの資料を取り出すラターグ。

 アトムはそれをパララッとめくると、もっと嫌そうな顔になった。


「最終的に何をすればいいのかわからないから相談に来た。か」

「その通りさ!……っていうか、速読ヤバ過ぎでは?」

「できることくらい予想してただろ」

「間違いではないね」


 頷かざるを得ないラターグ。


「で、返答を願いたいね」

「……本当に、本当に何も思いつかなかったのか?」

「……フフッ」


 ラターグは微笑んだ。


 『はい』とも『いいえ』とも言わないソレ。


 アトムとしてはラターグがやっているからこそとても腹立つが、ここでごちゃごちゃいっても仕方がない。


「協力はしよう」

「よし、声質は取れたぞ!」

「言い方」


 遠慮という言葉とは無縁のラターグ。


 これで世の中わたれるのだから、心臓に毛が生えた奴が得な世界である。


「で、ラターグ自身はどう思っている?」

「何に対して?」

「もちろん、敵勢力の強さについてだ」

「……相当高いだろうね。ピンキリと言いたいけど、正直、僕から見てってレベルだからなぁ……」

「なるほど、ダンジョンを作りまくっていたのは、勢力の強さとしてはむしろ遊びのようなレベルということか」

「そうだね。資料に載せてる通り、因子に回収に来た奴を調べたけど……そいつらの体内にも、因子が仕込まれてた」

「ふむ……まあ、勢力としての強さそのものが、マクロード・シャングリラというボスに依存している形か……人形には含まれていない様だが、製造能力そのものが因子で強化されていたら同じことか」

「うん」


 資料の内容を頭の中で反芻させて、状況を理解していくラターグ。


「……かなり面倒な状態になっているな」


 特に、『戦力差』の部分だ。


「それから、この資料には、因子を抜いた後の戦闘員の強さが記されていないが、どうなっている?」

「あ。めっちゃ弱くなってたね」

「……それを先に言え」


 アトムは資料をテーブルに置いた。


「……要するに、因子の力を無力化する何かを作れば、敵側は、ボスが出てこざるを得ないというわけだな」

「ふむふむ」

「と、言うことに気が付かないお前たちではないと思うが……何を企んでいる?」

「別に企んでいないさ」

「正直……いや、正確に言ってみろ」

「ちょっと……100や200くらい、考えていることがあるって程度さ。君の強さなら、たくらみの内に入らないでしょ?」

「……よくいう」


 呆れるアトム。


 ただ、『わざわざ自分を頼った』ということそのものに思うところがあるのか、余計なツッコミを入れることはなかった。

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