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第千百十四話

 大魔王マクロード・シャングリア


 文字にするとすごくカッコイイ奴が、敵の親玉であり、何か大きなことを企んでいる。ということはわかった。


 そしてこちらが見つけた因子に対して付与を行うことで、敵の方をあぶりだそうという方針を決めたのは良いのだが、問題がそれで解決するかどうかとなるとそれは別問題である。


 要するに情報が欲しいのだが、いずれも人形たちを従えてくる者ばかりであり、しかも、全員が等しく大した情報を持っていない。


 かなり慎重な性格をしているし、その上でとても強い組織を作り上げているのがよくわかる、何ともイライラする展開となっている。


 彼らがこちらに攻めてくるときに空間にひびを入れて転移してくるわけだが、この空間に入り込むことは、秀星側はできなかった。


 特殊な何かを持っていないと通ることができないものだが、その【何か】に関しては、通ってきている本人にもわからない上に、ありとあらゆる鑑定魔法に引っかからないという鬼畜性能。


 リスクを回避するという意味で、今回の敵は圧倒的に優れているのだ。


 どうしようもないというか、手の打ちようがないというか、少なくとも『今の方法ではだめ』ということを痛感させられる。


 フェルノはそれ相応に忙しいようだが、一応時間を作ってくれているので何度も何度もボディガードを頼まれてくれるが、それにも限界はある。


 ……まあ、秀星とラターグだって、怠くならないわけではない。


 徹底してこちらが発見するための要素をつぶしにかかっているボス。マクロード・シャングリラ。


 敵対することを選択した身としては、もうこういうしかないのだ。


 ……もうちょっと手加減してくれません?と。


 というか、数多くの因子に対して付与で弄りまくっているのに、思ったほど敵の『本体に近い所』がくる気配がないのだ。


 これは言い換えれば、『そこまで大きな価値を見出していない』ともいえる。


 ……いろいろな意味で、『前提』が合わない。


 怠すぎである。

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