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第千百一話

 解析だとか確保だとかいろいろ言われている様子のラターグだが、要するに『なんだか素直に言うことを聞いてくれなさそうな物体だから、あえてしっかり送り付けよう!』ということなのだ。


 そして慌てふためく様子を肴にして、秀星はおいしいものを食べて、彼らが騒ぐ様子をBGMにして、ラターグは安らかにベッドで眠る。


 それが彼らの目的なのだ。


 あまり褒められた理由ではないのだが、それをするに値するだけの『ウザさ』が敵側にはあるのだ。


 別に神々だろうが敵に回したところでどうにもできないというわけではない。


 確かに神々という存在は、最高神とかになると秀星よりもスペックが上になる。


 だが、別に勝とうと思えばいくらでも勝てる相手なのである。


 だからこそ、恨まれるようなものを押しつけることに抵抗などない!


「さてと、確保した因子を解析し……と言いたい所なんだけど、秀星君は、因子は『全てが異なる形をしていて統一性がない』ということをご存じかな?」


 ラターグの屋敷の地下にある研究室。


 そこに秀星とラターグは来ていた。


 風香と星乃は研究に全くついてこられないと判断されたので、今は別行動中である。


「ああ。知ってる」

「実は、時間経過だけでも『全く別の物』に変わることが分かったんだよ」

「そんなに変わり続けるものなのか……」


 別に、『変わり続ける物体』という概念に驚いているわけではない。


 そんなもの、グリモアで東奔西走している間にいくらでも見つけた。


 ただ、ラターグがここまで『面倒』という顔をしているということは、その性質そのものに『厄介さ』が含まれているということだ。


「変質した後、どうなるんだ?」

「それが因子であり続けていることに変わりはないよ。ただ……因子の性能は『強化アイテム』に分類されるけど、その強化がどの程度行われるのか。何を強化するのか。それらがすべてぐちゃぐちゃになるんだ」

「サイコロを定期的に振ってるって感じか?」

「サイコロと言えるほど統一性はないね。本当にバラバラだ。『因子』というからには、『本人』の性質がかかわってくると思うけど、『不定形』といえる存在なんじゃないかって思うくらいだよ」

「ふーむ……」

「だけど、因子センサーで確認する限りでは、おそらく『共通点』があると思うんだよね」

「だよなぁ……」


 因子は強化アイテムとして使える。


 これは言い換えれば、『本体』は『強化アイテムがぎっしり詰め込まれた状態』ということだ。


 その時に、『全く自分とは別になってしまっている物体』を取り込めるだろうか。


 そんなことはない。ということである。


 強引に取り込んだ場合、『何も効果を生まない物体』になるだけだ。


「統一性がない……それだけでここまで苦労するなんてな」

「まあ。人間なんて統一感だけで生きているようなものだから、そこから逸脱する行為はやっぱり面倒だよね」


 怠い!

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