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第千百話

 因子に関わることであり、ラターグに解決を依頼されて、そしてラターグが秀星を誘った。という状態である。


「で、因子が邪魔ってことだよな。どういう『悪さ』をしてるんだ?」

「簡単に言えばバランスブレイクだね」

「もっとやればいいのに」

「神々に対していい思い出ないの?」

「めんどくさい記憶しかないのは確かだな」


 早くも脱線した。


「で、バランスを崩壊させるっていうけど、因子って基本的には『強化薬』みたいなもんだよな。それによって、本来なら予定にないものが強化されてるってことなのか?」

「発生している物事がどういうものなのかということを纏めたらそんな感じになるかな」

「だよな……」


 ただ、神々がかかわった『物』にすら影響を与えるというのは相当なものだ。


 魔力というのは、性質的に『安定』を求めている。


 そして、魔力よりも神力の方が、その安定する力が強い。

 何かと何かが衝突した時に、神力の方が安定していて頑丈だから、一方的に勝てるのだ。


 神力で全身ができている神々の肉体的な変化がほぼないのはそういう理由である。


 神力で作られているものにすら影響を与えている可能性が高く、その安定性を覆すような物体など、そう作れるものではない。


 因子もまた、神に関する何かなのだ。


 ……実態は分からないが。


「で、何を持って『解決』って考えてるんだ?」

「その『因子』の力を、最高神が独占することで、秩序をより強化する。これが『解決』だって考えてるかな。『排除』じゃなくて『分析』とか『確保』と依頼されたからね」

「……なんでラターグは受けたんだ?」

「試しに因子を手に入れて、堕落の力を使ってみたら簡単に効いた。僕の方が格が上ってことだから、別に格下の物質がどう暴れようと僕に影響はないからね。それに、因子そのものだって面白そうだ。排除しないって決めたのなら、それはそれでいいと思うよ」


 ニヤニヤするラターグ。


「それに、どう分析したとしても、こちらのいうことを聞いてくれそうにはない。だったら、わざと抱えさせておけばアイツらが慌てる様子が見えるでしょ?僕はそれが一番楽しみかな」


 嫌いな奴の不幸は蜜の味。ということなのだろう。


 秀星も激しく同意である。


「なるほど、そういう経緯だったのか」

「秀星君も全面的に反対はしないでしょ」

「まあ、そうだな。中には良いやつもいるけど、ラターグも含めて基本的にろくでなしばっかりだからな」

「あはは!いい返事だ。協力してくれるってことさえわかればいいよ。というわけで、これからよろしくね」

「おう」


 固い握手をする二人。


 ……しーらねっと。

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