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第千九十九話

「お前の屋敷遠いんだよ!」

「仕方ないでしょ。僕は第一世代型の最高神だよ?そんな僕が意味不明な辺境にいたら示しがつかないじゃないか」


 ラターグの屋敷に到着した三人。

 で、早速秀星はラターグのところで叫び散らかしていた。


「……個人的には、ラターグさんが屋敷の『本館』じゃなくて、正門から一番近い『平小屋』にいる方が驚きなんだけど」

「そうだね。屋敷の中にダラダラするための部屋があると思ってた」


 星乃と風香がつぶやいた。


 そう……屋敷というか、『敷地』に入ったのだが、ラターグが住んでいたのは屋敷の中ではなく、正門を入ってすぐそばの平小屋だった。


 最初は正門から入ってスルーして本館に行ったのだが、中にいたメイドから『あっちですよ』と言われてこっちに来たら、本当にラターグがいたわけだ。


「だって、天界って転移ができないでしょ?僕は最高神だから、そんじょそこらのホテルだって泊まれないし、だったらこの家に帰ってくるしかない。でも家まで歩くのが怠いから、この平小屋を用意したのさ」

「あんな屋敷があるのに平小屋で住んでる方が示しがつかねえに決まってんだろ!」

「フフフ。秀星君。君は神々というスケールが分かっていないね」

「どこが神々のスケールだ。明らかに材料費5万円無いぞこの平小屋」


 そう、めっちゃ小さいのだ。この小屋。


 本当に小屋なのである。


 家具や漫画、ゲーム機などがいろいろあって中はゴチャッとしているが、小屋そのものはものすごく小さく、壁が薄く、防音性能もない。


 なんだかとても『手慣れている感』はあるのだが……。


「いやでも、思ったよりしっかりしてるでしょ」

「まあ、それはそうなんだが……」


 思ったよりしっかりしているのは事実だ。

 部屋に入ったことで『万物加工のレシピブック』にも作成方法が記載されているが、その中では『高クオリティ』と表示されている。


 神器視点……しかも、『創造神』が作った神器の判定で高クオリティとなれば、それはかなり高い性能を持っているということになる。


 まあどうせ……。


「これはね。いつでもどこでも、しっかりとした寝床を作ってダラダラしたいという思いで、神になる前からずっとやってたんだよ」

「「「……」」」


 そんなことだろうと思った。


 らしいというか、ラターグが言うとすごく納得できる話だ。


「雨風とかって……」

「天界って特定の地域にしか雨とか風とか基本ないけど、人間時代も堕落の力を使えていたから、天井を堕落でコーティングして、『雨や風の衝突エネルギー』を堕落させてた。そうすると、『何もぶつかってないのと同じ』だから、衝撃や振動が中に入ってこないんだ。耳栓してたらスヤスヤ寝られます……凄いだろ!」

「よく叩き壊されないよな」

「いや、僕自身が金持ちで、材料費5万で格安だから結構やられます……僕、これくらいの物なら、材料がそろってたら20分くらいで作れるから……」


 なるほど、だから『慣れている』のか。


「示しはついてないね」

「そうだね……というか、風香ちゃん。僕にあたりキツくない?」


 言われてみれば、なんだか、風香はラターグに容赦がない。


 まあ、誰だってラターグに容赦はしないだろうが。


「椿ちゃんに悪影響っぽいから、釘を刺してるだけ」

「いやぁ……『あんな刀』を振れるような子を僕如きがどうにかできるとは思えないけど……まあそれはいいか。さて、本題に入ろうか!」


 布団にくるまって芋虫のようになっていたラターグだが、そろそろ本題に入らないと秀星と風香がキレると思ったのか、本題に入ることにしたようである。

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