第十四話 わかった……助けるよ
時子──
わかった……助けるよ。
聖奈が倒れたという連絡を受けた。一週間で仕事をまとめて、私が抜けても平気な状況を作り出す。
そして、三週間使って、計画の最後の仕上げを整える。
それは当たり前のように達成できた。これで……あと1か月は空けても大丈夫。
気合を入れる。報告から1か月後の今日、今から私は一番苦手な人へ会いに行く。ようやく準備が整った。もう誰にも文句は言わせない。
それなのに、大学へ入ってから出来た友人とその親友の姿だけが思い浮かんだ。
頭の中で友人が何度も文句を垂れる。見落としが無いのか。本当にやるのか。受け入れられると思っているのか、って。私に文句を言えるのは、もう聖奈と真理愛さんくらいね。
そういえば、支援するって言ってたのに絶対に首を縦に振ってくれなかった頑固さもあなたは持っていた。それで倒れちゃうなんて、あなたらしい。
『これは私と真理愛が決めたことなの!』って、正面から私に抗議してくれるのはもうあなたくらいよ。
でも頑固さは私も負けない。真理愛さんを守ってくれたあなたを今度は私が助ける番だ。
これでようやく学のプロポーズも受けられる。
ふふ、どんな顔するのかしら……。
「ねぇ学」
「どうした。なにか用事か?」
かつて、彼に言われたことを返してやることにした。
「あなたのプロポーズの返事を待たせた理由を教えるわ」
真剣な顔つきになる学。
「あなたのプロポーズには計算違いが1つ、いや2つあった」
「1つ目は、あなたが幼馴染をまだ心に抱えていること」
「2つ目は、あなたのパートナーのこの私が誰よりも傲慢で強欲で……1つ目を許してしまえる女だったことよ」
「そして今日、その傲慢で強欲な私が、為すべきことのための力を手に入れた」
「車を出して、迎えに行くわよ」




