表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染が急に距離を置き始めたので、少林寺拳法始めてみました  作者: 10kg痩せたい
もう一人の幼馴染篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/112

第X+1話 サクラサク

聖奈──


~11か月後~


「これで良かったの」

「いいの」


 寒さが一番厳しい時期に、私達は4年住んだシェアハウスを後にした。次は私の就職先に近い住居へ住むことにして。2人……いや3人で暮らすために。




 真理愛は2月に無事、子供を産んだ。産後の経過も良好と判断されたけど、でもやっぱりちょっと痩せているかな……。




 プルルルル。私の電話が着信音を鳴らす。


「もしもし?」

『……』


「はぁ!?」


 電話先の相手はとんでもないことを言いやがった。


「それ、どういうことかわかってるの!」

『……』


 相手の言葉に驚愕する。何を考えている。せっかくの作戦が無意味になるではないか。


「どうなっても知らないから」


 電話相手にはそれだけ伝えた。

 はぁ……と1回だけ大きな溜息をついて、電話を真理愛に渡す。


「ん」

「なに?」

「話したいんだって……あんたの天敵」


 電話と交換で、子供の(せい)を真理愛から受け取った。




真理愛──


「……もしもし」


『お久しぶりね、東雲さん』


 声だけで誰だかわかる。頭が沸騰するようだ。


「なにか、用ですか」


『ええ、一言だけ』


「なんですか」


『1年に1回くらいは父親に顔を見せに来なさい』


「は!?」


『その時に彼にも全部伝えるから』


「バカじゃないの!あんたたち結婚するんでしょ!」


『そうよ、だから隠し事はなしにしたの』


「……行かないから」


『父親の顔を知らない子供にする気?』


「……」


『待ってるから』


「……」


『彼のバレンタインデーは毎年予定を埋めたから』


「……」


『待ってるわ』


「……あなた本当に狂ってる」


『知ってるし、もっと馬鹿なこと考えてるわ』


「は?」


『ごめんなさい、もう一言あったわ』


「……なに?」


『おめでとう、あなたとあなたの赤ちゃんの健康を祈っているわ』


 ブッ、ツーツーツー。頭がもう限界だった。終話ボタンを押して通話を切った。


「ちょっと……よかったの?」


「う……うぅっ……」


 寒い道路上なのに、膝をついてしまう……。


「真理愛……」


「いいのかな……会っても……良いのかなあ……」




 ボロボロに泣く真理愛。


「良いんだよ、皆で……会いに行こう」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ