第三十話 暗躍
ハル──
相談があるとコーキに言ったらセーナと一緒に集まってくれた。近所のファミレス。頭が真っ白で何も考えられない。
「時子が……寝取られたんだ」
2人は心配してくれた。
「ハル。お前は、どうしたいんだ?」
「わからない……わからないんだ……」
「時子と初めてのデート。初めてのお泊り。初めてのセックス。白いウェディングドレスを着せて結婚式。そうやってずっと考えていたんだ。他の男に取られるなんて考えていなかったんだ。どうしたらいい、どうしたら……どうしたら……」
「ハル、安心して。ずっと話聞くからね。悩んで悩んで……答え、出そ」
「そうだぞ、ハル!コーヒー冷めちゃうよ!早く飲んで、今日は遊びに行こうぜ!」
冷めたコーヒーを一気に飲む。今日は苦みが強く感じた。このままグジグジしているよりはと励まされ、会計を済ませ外に出る。
なんだ、急に眠気が……。
「大丈夫か、ハル。俺んち行くか?」
コーキが心配して肩を貸してくれる。あぁそうだここはコーキの家の近くだ。
「ごめん、頼んでもいいか?」
そして俺は意識を手放した……。
聖奈──
中田を調教した甲斐があった。2人が「ナカヨク」している場面を動画に収めてやった。
やめろ、助けて。だって。許すわけねーだろ糞どもが。私の真理愛を傷つけた罰を受けて地獄に落ちろ。
あぁ、この動画どうしてやろうかな。
まぁまずはこのことをコネコちゃんに教えてあげよう。安心して、真理愛が独り立ちできるまでは、一緒にいてあげるからさ。
影──
「うわぁ……これはうわぁ……」
同じバンに乗る先輩方にも報告して、3人でドローンカメラを覗く。
「「うわぁ……これはうわぁ……」」
2人からも同じ言葉が出る。
日外さんに依頼された。本当は受けちゃいけないんだけど……私はノーマルでいたかった……。先輩2人に日外聖奈の報告をして、監視をする許可を取ってもらう。
西片晴と中田高貴と日外聖奈が接触する可能性有り、と……。
そして今、日外聖奈が画角から外れたと思ったら、それは始まった。酔っぱらったみたいな西片を中田が……。
受けておいてよかったと背筋にすごく冷たい汗が流れていった。
それにしてもこれは、ちょっと、えっと……先輩方……北条様に報告、上げますか?駄目?はい、そうですね。私は先輩に従います。




