第二十二話 隣にいる資格
学──
控室に場所を移し、時子を座らせる。
ぽつぽつと今回の顛末を話してくれた。
西片と真理愛に監視を付けていたが監視が正確な報告をあげてこないことに気づいた。
両親を問い詰めたところ、監視に対して干渉を行っていることが判明。また西片との結婚を進めようとしていた。
祖父の力を借り、北条グループの権力を掌握した。
……え?
資金については、株や不動産、会社経営で十分な金額を用意していた。
……え?
……え?北条グループって時価総額云兆円じゃありませんでした?
最後の最後で詰めを誤った。暴力で収めようとするとは思わなかった。ということだった。
「誤っていないよ、俺がいたし。俺を選んだのは時子だよ」
じゃばーっと時子の目から涙が流れる。あわわハンカチハンカチ!感情の制御が効かなくなっている。少しの間、胸を貸して……泣かせてやることにした。
「あの、ところでお爺様」
「君のお爺様になったつもりは全くないんじゃが?」
「北条さん、そこの人達はなんなんですか」
「えっとぉ、右から北条夫妻、西片夫妻、中田夫妻、じゃな」
「あ……えっと、なんで土下座しているのかって聞きたくて」
「才能無くて捨てられると困るからじゃろ?」
「え、何それ怖い……怖くない?」
「時子に酷いことしたからのぅ……まぁ自業自得じゃ、ぶあっはっは」
「怖~……」
「まぁ1つだけおせっかいじゃ」
ピリリと空気が変わる。
「君も才能を示した。しかしそれは『暴力』じゃ」
俺は頷く。
「ここにいる誰もが、君をまだ『認めて』いない。時子のパートナーとしてな」
これにも俺は頷く。
「君は何をもって、時子の隣に居座るつもりじゃ?」
ごくりと抱えた時子から息を飲む音が聞こえる。時子が緊張していた。まさか……俺と離されると考えていらっしゃる?
「そうですねその答えは」
爺さんが俺を睨む。
超良い笑顔を返してやる。
「しったこっちゃねぇ、です」
「ブフッ!」
お、時子のツボに入った。
爺さんの反応は……勝った!きょとーんとしてやがるぜ。
「まず、その人達なんですけど、簡単にまとめると、時子に選ばれないから捨てられるんでしょ?」
爺さんは静かにうなずく。
「俺は時子に選ばれ続けるので、なんの心配もありませんよ」
爺さん以外は混乱している。
「要するにあんた達の評価なんか関係ない。俺は努力し続ける。時子は俺を選び続ける。それが続く限り、俺はその隣にいます。それが答えです」
「お、お前!屁理屈をこねるな!」
西片父か?俺に意見する。
「いやだって……ここで一番権力と金稼ぐ才能を持ってるの時子じゃん。決めるの時子だもん……」
全員が言葉を失う。あ、違う爺さんだけツボに入ってる。やっぱ時子の爺ちゃんだ。
「そうね、そのとおりよ。私は学を選び続けるわ。だからずっと隣に居て、私の我侭を叶えてちょうだい」
「あぁ、まかせておけ」
パーティー会場に戻り、飯を食う。待て爺さん俺は高校生だ酒を注ぐな!飲ますな!飲ますな!ぬわぁ~~~~!




