閑話 糞男
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学校生活というのはどこまでも窮屈で退屈だった。
優等生であることを求められて、それに答えるだけ。
俺にはその才能があった。
私生活もどこまでも窮屈で退屈だった。
成功者の親に決められた結婚。決められた進路。決められた会社。
いずれは専務、社長、そして会長に。
決まり切った人生とはこんなにも退屈なものなのか。
……でも親に決められた結婚だけは許すことができた。
俺に相応しい美貌と才能。そして、俺のことを理解してくれているし、俺も彼女を理解している。
大学を卒業したらすぐに籍を入れるつもりだ。
失敗する要素がないというのはとても退屈だ。
だから少し寄り道をしたくなった。
学校や街を歩いている時、俺と目が合えば大抵の女が話しかけてきた。
遊んでいる子もいれば、男を知らない子もそれなりにいた。
経験を積むのは簡単だった。
中学校からのツレと一緒にナンパへ出かけることもあった。
寄り道のはずなのに、こっちでも失敗することがなくてだんだん退屈になってきた。
そして、そんな退屈な生活の中、俺達は高校に入学し、クラスで見つけた一輪の花。
一目見た時から、俺と言う存在で満たしてみたくなった。
俺に手折られるべきだと思った。
これで少しは退屈な高校生活が楽しくなりそうだ。




