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幼馴染が急に距離を置き始めたので、少林寺拳法始めてみました  作者: 10kg痩せたい
もう一人の幼馴染篇

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第十一話 決意

学──


~8月3週目土曜日~


 今日は彼女の家で作戦会議だ。なに、作戦会議は昨日だったのではないかって。


 黙秘する!


 どうやら彼女の親御さんはいないらしく、それなのに初めて彼女の家にお邪魔する。


 お迎えしてくれた彼女は……いつものクールな服装ではなく、フリフリの可愛い姿をしていた。

 俺は無言でスマホを取り出し連射モードで記録と記憶を残すことにした。


「ちょっと学くん!いきなり写真は!」

 カシャカシャパシャーパシャー!


「人の話を聞きなさい!勝手に写真を撮るのをやめなさい!」

 カシャカシャパシャーパシャー!


「話をきーきーなーさーいー!」

 カシャカシャパシャーパシャー!


「ちょっと!」

 カメラを掴まれ撮るのを中断させられる。


「顔、真っ赤なんですけど……」

「ごめん、……………………………………かわいくて」


 時子さんはそのまま数歩後ろに下がり……顔真っ赤でしゃがみこんで膝を抱えるのであった。




 彼女の部屋でお茶をごちそうになりながら服について会話した。

 普段の服装については自分の好みで買っている。また母親の仕事の手伝いでモデルを頼まれることがあり、その時の衣装を買うこともあるという。

 今日の可愛い服については、彼女の親が自分達の着せたい服を買ってくる。けれども外で着るのには抵抗があり、クローゼットの肥やしになっている。

 もったいないからたまに家の中で袖を通している。それがたまたま今日この日であっただけ。ということだった。


「正直に俺の考えを言わせてもらうけど、どっちも可愛いよ。俺はこの人に恋をしているんだって本当にそう思った」

「……ありがと」


 30分くらいしてようやく顔を上げられた俺達は作戦会議を始めた。

 とは言っても、俺達の当初の目的──互いの幼馴染のカップル化阻止──は破綻していた。

 自分達はこういう行動をしているのに、他所のカップルがくっつくのを潰すというのはどうだろうというのが俺の考えだった。

 俺がそうであったように、幼馴染も新しい恋を見つけてそれに従って行動しているだけではないのだろうか。


 そんな気持ちを時子さんに話したが、彼女は若干渋い顔をした。


「それが本当に互いに尊敬しあった恋愛であったらね。私はもう少し様子を見た方が良いと思うし、止めるべきなら止めるという考えは崩せないわ」

「それは……許嫁だからか?」


 時子さんは……なんだろう、一番嫌いな食べ物を口一杯に含んだというような顔をしている。


「私はあの男と結婚する気は元から無かった」

「ん?家同士のことだと聞いているが……そんなに簡単に反故に出来るのか……?」

「反故にされるほどの理由を抱えているのはあの男よ。どうやら高校に入ってからは大人しくしているようだけどね」


「それに……もうお嫁へ行けない体に……誰かさんがしちゃったから」

 KOです。今、俺の心はKOされました。




 俺も今の気持ちを時子さんに吐き出した。

 事実として、俺も許嫁がいると知っている女性を寝取ったことには変わりないがないこと。

 西片と真理愛が付き合ったとしても、それに俺が待ったをかけて良いのかわからないこと。


「そうね、私もある意味では東雲さんからあなたを寝取った形になる。私も彼女に意見を言える立場にはないのかもしれない……ただ……いえ……なんでもないわ……」


「彼女が傷つく結果になるのであれば私たち2人で止めましょう」

「あぁ、わかった」


 その後、何処から集めてきたかわからないが、西片と真理愛の情報の共有を行ってもらった。彼らは確かに男女の交際が始まりそうではあるが夏休み中はクラスのメンバーを含めたグループ交際がメインということらしい。2人でのお出かけもあるが、俺達が監視していた時のようにお昼過ぎには解散してしまうデートのため、まだ心配する段階ではないということであった……。


 情報交換と対応の検討を行っていたら気づけば時間は夕方になっていた。今日はここまでにしようということになった。




 玄関まで見送りに来てくれた時子さんが最後にひとつ提案してきた。


「あの、実はね。海の近くに別荘があるんだ。掃除が必要で、バイト代払うから友達と行ってくればって……」





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