第三話 心移り
学──
~6月3週目土曜日~
北条から情報をもらい、監視 (デート)を行うことになった。行先はまた映画だった。
俺達は見つからないようにカップルに偽装して奴らを尾行した。……シャンプーの匂いはちょっと慣れた。
本日の映画は通信制少林拳法サッカー。いや西片がサッカー部だけどこれは違うだろ。
……俺は少林寺拳法に目覚めた。
監視 (デート)については、不思議と1回目のような緊張は無くなっていた。
きっと最後のあれのおかげだろう。相手も普通の高校生なんだなってわかったのがでかかった。
相変わらずおしゃれな彼女と、幼馴染コーディネートで悪くはないはずの俺。会話が自然になってきていたし普通にデートしているように見えるのではないか。
また、彼女についていろいろと発見があった。
まず普段の彼女の笑顔は、学校でのクールなイメージと違って、太陽のようにまぶしいこと。
つまらないジョークをかますとたまにツボに入って動けなくなること。
意外に突っ込みのボディタッチが強烈なこと。
尾行に夢中になると俺の手を引っ張りそのまま手を繋ぎ続けること。
指摘すると顔を真っ赤にして言い訳を始めること。
なんでこんな素敵な子を裏切ることが出来るんだ?
二度目の監視は、真の目的も、幼馴染と寝取り男のことも、頭の中から消えていることが多かった。
~6月3週目日曜日と6月4週目土曜日~
この日も監視 (デート)を行った。日曜日が水族館で、土曜日がショッピングモールにお出かけだ。
どちらもそんなに長居はしないし、お昼過ぎにカフェへ行ったらそれで解散だった。
少し安心したけれども、幼馴染が俺に何も言わずに他の男子と出かけているのが少し悲しかった……。
ところで……監視 (デート)が終わった後の反省会。
もうほとんど互いの幼馴染の話題が尽きたため、ただ純粋に雑談するだけの時間が楽しかった。
いつもクールな感じなのに、表情がクルクル変わる彼女を見て、俺は……。




