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幼馴染が急に距離を置き始めたので、少林寺拳法始めてみました  作者: 10kg痩せたい
幼馴染篇

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第四話 独占欲と…

真理愛──


 中学の頃はがっくんが私の中心だった。

 がっくんといると、暖かくて優しい気持ちになった。

 がっくんの部屋に行くと、少しドキドキした。

 がっくんとお出かけすると、1人では出来ない発見をして2人で笑いあった。


 高校でもそうなるのかなって思っていた。……でもクラスが分かれてしまった。


 初めて入るクラスはとても緊張した。

 同じ中学だった人はいなくて、でも日外 聖奈さんが話しかけてきてくれた。

 私と違って男女分け隔てなく、いろんな人と仲が良い元気な女の子だった。

 彼女はクラスの皆を繋いでくれた。

 私のこともクラスの皆と繋げてくれて、私はクラスの皆と話せるようになった。


 世界が一気に広がったように感じた。

 最初は緊張したけど5月になる頃にはクラスの皆が誰とでも仲良く自然におしゃべり出来るようになっていた。

 男の子とも……少しずつ話せるようになってきた。


 聖奈さんや西片くんとよく話す私は、気づけばいつの間にかクラスの中心にいて……。中学の時のがっくんの影に隠れていた私は……なにもかもが新鮮だった。




 初めてがっくん以外の男の子とカラオケに行った。10人くらいは入れる大きな部屋で、歌ったり、いろんな人が話しかけてくれてお喋りをした。


 そこには西片くんもいた。

 西片くんは日外さんと同じように男子側からクラスの皆を繋いでくれた。

 彼はサッカー部だけど、サッカーだけじゃなくて音楽やゲーム、小説とかどんな話題でも話せて、本当にクラスの中心という感じだった。

 女の子からも人気で、体育の時なんかは女子から黄色い声援がよく上がっていた。そんな彼が隣に座ってきたときは少しドキドキした。


 彼とは料理の話、映画の話、週末の過ごし方についていっぱいお話をした。男の子で料理が出来るって珍しいねって言ったら喜んでくれた。


「東雲さん、可愛いから俺も話しかけるのにドキドキしちゃったよ」

 って言われて、私も意識してしまった。相手はクラス一番のカッコいい男の子だ。私のことなんて気にしていないと思っていた。


「また話しかけてもいいかな」

 って言われたから、ぜひ!と返した。

 クラスの男の子と友達として仲良くなっても、大丈夫だよね……?




 これがきっかけだったんだよね……私は見落としていた……。

 手のひらにあったはずの宝物がこぼれ落ちるなんて思わなかった……。

 違う、いつの間にか自分が宝物を置いてきてしまったなんて気づかなかった……。

 宝物がいつの間にか誰かのものになるなんて……思わなかった……。




学──


~6月2週目月曜日~


 北条から呼び出された。

 やめてほしい。

 俺は幼馴染のことで頭がいっぱいなんだ。

 西片くん(お前の幼馴染)のことで呼び出すのはやめてくれ。




~6月2週目火曜日~


 また北条から呼び出された。

 もうやめてほしい。

 俺は保護者じゃない。お前のところの猿をどうにかしてから言ってほしい。




~6月2週目水曜日~


 また北条から呼び出された。

 ほんとにもう、やめてほしい。

 クラスの奴もなんか怪訝な表情で俺のこと見るし……。

 言い訳もしてくれねーから完全に噂になってるじゃねーか!




~6月2週目木曜日~


 また北条から呼び出された。

 噂好きなクラスメイトに冗談で逢引きしてるって答えたことにマジギレされた。

 ほんとにもぅマヂ無理。ぴえんぱおん。


 デート?そんなんやめろって言ったわ。

 いかねーわ俺の幼馴染は。

 つーかやっぱそっちの猿が悪いんじゃねーか。マジ俺の幼馴染にちょっかいかけんの止めさせろ。


 あ、クラスメイトさん。さっき言ったのキャンセルで。この通りめちゃくちゃ怒ってるんで。嘘なんで!

 ……え?もう言っちゃった……ここから入れる保険……ご存じないですか……?



~6月2週目金曜日~


 今日も呼び出された。

 ほんともう……やめてくれ……俺はただ幼馴染と過ごしたいんだ……。




~6月2週目金曜日帰宅中~


 今日は北条に呼び出されたのもあって少し遅くなってしまったが、幼馴染が俺のクラスで待っていた。

 どうした?帰るか?と声をかけると普段は見せない少し暗い顔を見せた。




 俺達は無言で家までの道を歩いていた。

 いつもなら幼馴染からあれがあった、これがあったと面白おかしく話してくれるのに……。


 幼馴染が何か話そうとする気配を感じて、俺は発言を待つことにした。

 信号で止まった時に彼女は一度こちらを見て、青になったと同時に気合を入れて話し始めた。


「……あのね、がっくん。また……え……カラオケに誘われたんだ」


「……クラスのメンバーで、だよな。じゃあ……良いんじゃないか?楽しんできなよ」


 パッと困惑した顔で幼馴染は俺を見上げた。すぐに目線を横断歩道の白線に落とす。

「うん、そうなんだけど……」


 困っているのか、嫌なのか。何かあったにしても話してくれないとわからない。でもその日、それ以上の話は幼馴染からは出てこなかった……。





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