第三十話 裏切り
聖奈──
~1月3週目~
コーキから最近連絡が返ってこない。イライラする。
今までこんなことは無かった。寝ちゃってたことはあったけど、それ以外は必ず15分以内に返事は来てた。
遅刻はするけど、こういうところだけしっかりしていた。
放課後、ぶん殴ってやろうと思ってコーキを探すけど、もう居なかったから家に向かう。
向かう途中……コンビニでコーキと……マリーを見つける……なんであの2人が?ハルとは別れたから接点はないはず……嫌な予感がして走る。
「ちょっと!」
私はカーッと頭に血が上ってしまった。怒りを前面に出し、2人に声をかける。
コーキが、「あ~だりぃ~」と言いながら頭をかく……。
「どういうことか説明して!」
コーキは尚も平然としている。
「ハルと別れたからさ、マリーちゃんを俺の彼女にするんだよ」
「は?」
「マリーちゃんの方がさ、セーナより相性良いんだよ。ハルと別れたんだからもういいだろ?」
この猿は……。百発はぶん殴ってやらないと気が済まない。でも今は……。
「マリーそれ、本当なの」
肩を掴んで、マリー……。真理愛の目を見る。私の目を見ない。
「そうなの、ごめんね。セーナちゃん」
また裏切……られた?ずっと……ずっと守ってきてあげたじゃない……私が一番の親友……じゃなかったの……?
「だからさ、聖奈。俺とは別れてよ」
駄目だ。今殴ったら止まれない。一度、頭を冷やさないと……殺しちゃう。
私は踵を返して、自分の家に向かって走り出した……。
学──
放課後、真理愛と中田が一緒に下校していった……真理愛の表情が暗く、気になって尾行してしまった。
俺達の家とは別方向の電車に乗っていく……まさか……。
知らない駅。2人で降りて……住宅街へ向かって歩いていく……。
途中でコンビニに寄り……出てきたところで、たしか真理愛の友達の女性と揉めている……。
断片的な言葉しか拾えないけど、真理愛と中田が……付き合うことに……なった……。
揉めていた女性が走って去って……2人は……。
中田のマンションと思われる建物に2人で入っていった……。
はは……俺の知ってる幼馴染はもういない。別れてそんなすぐに、次の男の家に……。
俺は現実を受け止められず、走ってその場を後にした……。




