第十五話 アドバイス
真理愛――
~11月4週目~
「真理愛~ごめん~。今日も高貴に呼び出された~」
「あはは、私は大丈夫だから!行ってらっしゃい!また明日ね聖奈ちゃん!」
今日も1人の日、でもこういう時は……。
「まりあっち~」
クラスメイトが話しかけてくれる。
「で?で?どうだった?」「ちょ、もうちょっと段階を踏め!」
「あ、あのね……シ、シたんだけど……痛くて……ギブアップしちゃったの」
「それは個人差があるから気にしなくて良い。むしろそこで粗雑な扱いをする男は切れ。例えハルであっても切って良い。ウチはそんなでも無かったけど、友達にとても痛がる子が居た。彼氏がそれにキレて別れてしまったけどそんな奴は一秒でも早く切って良い。その点については、ハルは大丈夫だと思っているがどうか?」「お前いきなりそんな喋んなよ……」
Vサインを出して安心させてくれる。
「うん、晴くんは無理しなくていいよって言ってくれたの!」
「「おぉ~~~!」」
「まぁでも一応卒業おめってことかな」「おめ!」
「あ、ありがと……ございます……」
自分でも顔が真っ赤になるのがわかった。
合わせて、コツというかアドバイスをもらった。
「お風呂で体が柔らかくなるっていうけど、それの応用でね。自分でマッサージするの。痛かったらストップ。ちょっとずつで良いから、柔らかくするかんじでね。さっきの子もそれで2人目の時はスムーズに行ったって」
そ、そうなんだ。ちょっと頭の中にメモを残してみよう。
「あ、ありがと」
「ふふ、真理愛も今後、そういう子がいたら教えてあげてね」
「うん!」
「な、なんかあたしの出る幕ないな……」
「それよりも……あの話」
「ん?あぁあれか。そうだったそうだった」
なんだろう……。嫌な予感がする……。
「北条の噂の件」
ぞくりと背中が寒くなるのを感じた。
「あれはもうほぼ確定だね」
「文化祭の時にもさ、南雲君が北条のことを見つめていたんだって……」
「真理愛の幼馴染は遊ばれているよ……」
頭をなにか硬いもので殴られたような気がした。吐きそうだ。
「でもね、今止めようとしても聞く耳持たないんだ、過去の例から言うとね。俺だけがわかっているとか、俺は違うとか……根拠もないのに男はそういう状態になっちゃう」
確かに、クラスを通った時のがっくんの瞳が、いつもと違った。私を見る優しい感じじゃなくて……女の子を狙っているような……そんな目をしていた。
「だからちょっと冷静になるまで待つ必要がある」
「金を取られるとかそういう心配はないんだ。あれ、相当なお嬢様だからさ。ただ……相当こっぴどく振られるってだけだから」
がっくんは真剣なのに……そんな風に見えなかったのに、北条さん。酷い酷い!がっくんを騙すなんて!
「まだ調べ中だからさ、口外は勘弁ね。ハルも幼馴染のことになるとちょ~っとうるさかったりするし……」
「まりあっちの方の幼馴染についてはさ、いざってなったら……まりあっちが慰めてあげればいいんだよ。フランクな感じで誘えば大丈夫だって」
フランクに誘えば大丈夫……なんだか、その言葉だけが頭の中でグルグルしていた……。




