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第22話 #マキ




 私の頭を撫でてくれていたおばあちゃんが居た場所に、今度はおじいちゃんが座って、いつもの様に優しい口調で話しかけてくれた。



「マキちゃん、体の調子はどうだい? 辛いところはないかい? 辛かったら我慢しないで言うんだよ?」


「うん」


「マキちゃん。 今までよく頑張ったね。沢山怖い思いしたはずなのに、一人でよく頑張った。マキちゃんはおじちゃんたちの自慢の孫だからね。本当によく頑張ったよ。 でもこれからは一人じゃないからね。ここに居るみんな、マキちゃんの味方だからね。 ハルだってそうだよ。今度はハルが頑張ってくれるからね」


「ハル君・・・私、ハル君に酷いこといっぱいしちゃったよ?」


「大丈夫。ハルはそんな風には思ってないからね。 ハルは今後悔の気持ちに押しつぶされそうになりながら必死に歯を食いしばってるんだよ。 ハルだけじゃないよ。ココに居るみんなマキちゃんを守れなかったことが悔しくて悔しくて、後悔の気持ちと戦ってるんだ」


「・・・・」


「これから先は、おじいちゃんやハルに任せてくれるかい? 絶対にマキちゃんを守るからね。 おじいちゃん、こう見えても顔広いから。伊達にこの町で45年中華料理屋やってないからね。 おじいちゃんには頼りになる味方が沢山いるから。おじいちゃんたちに任せておけば絶対に大丈夫だからね」


「わかった。おじいちゃんとハル君に任せます」


「ありがとうね。 それと、何か欲しい物とか食べたい物があったら遠慮なく言ってね。 直ぐに用意するからね」


「あ・・・」


「何かあるのかい?」


「ハル君の・・・チャーハン、食べたい」


「分かった、直ぐ用意させるからね。 赤ちゃんのことはお母さんとナツミと相談してゆっくり考えればいいからね」


「うん」



 おじいちゃんはにっこり笑ってから、私の頭を撫でると立ち上がって部屋から出て行った。




 10分ほどすると、玄関の方からハル君の声で「母さん!チャーハン作ってきたよ!」と聞こえた。


 ハル君は部屋には入らずに玄関でナツミさんに渡してくれた様で、ナツミさんがお盆にのったチャーハンを私のところまで運んでくれた。



 お盆には、チャーハンの器の下に1枚のメモが挟んであった。


 メモには、久しぶりに見たハル君の字でメッセージが書かれていた。


 



 マキへ


 今までごめん。


 マキのことは俺が一生守る。


       ハル






 涙がボロボロこぼれてきたけど、涙を拭わずにレンゲを持ってチャーハンを一口食べた。

 ココのところ、つわりが酷くて何も食べられなかったのに、久しぶりのハル君のチャーハンは、熱くて美味しくて、そして懐かしくて、残さずに完食出来た。




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