準備が忙しい
カレーライス試食会の最後にJから提案のあった音楽祭参加とは、チェン運送の宣伝も兼ねて祭りを盛り上げようというものだった。そして楽曲はすでにあり、衣装やその他準備もJがするとの事で、それをネェルとアコに話していたのだ。
ネェルはその場で快諾したのだが、アコは難色を示していた。
「いいんじゃねーの!俺歌うの好きだぜぇ!」
「いや、ミゲルさんはお断りします。」
「なんだよ!!」
「なぁ、全員じゃないってどーいうこった?」
しょぼくれるミゲルを尻目にアルが尋ねた。
「皆さん、Dガールズご存知ですか?」
「はーい!知ってるっス。ネットで人気爆上がりのデジタル系アイドルユニットっス!」
「素晴らしい!!彼女達と言えば、デビューシングルの【君に届け♡】が超絶有名ですね!!特にサビの君に!君に!君に!の振り付けとオタ芸打ちがサイコー、まさに神なのですが!!…」
「分かったから!!話しをつづけろ!」
相変わらず領域内だと暴走するJ、アルが呼び戻し話しの先を催促する。
「おほん、失礼しました。」
「で、ですね。そちらを音楽祭でやっては如何かと計画しておりまして、本来ならば三人ユニットですので、もう一人欲しいのですが、ニコルさんでは年齢的に厳しぃ〜という事でネェルとアコさんにお願いしたいのです!」
「ちょっと!色々失礼じゃないんですかー!?て言うか、アイドルなんてやりませんよ!!」
「まぁまぁ、ニコルは充分可愛いよ、ちょっとお姉さんてだけで…」
「アサヒさんも失礼です!!」
「ニコルちゃんが美人で可愛いのは当たり前だし、その【あいどる】とかってのは子供のお歌の会みたいなヤツだろ?大人の女性がやるもんじゃねぇよ、ね、ニコルちゃん?」
「ですよねー♡」
アルマの言葉で機嫌を持ち直したニコル、その後ろには悔しがるアルの姿が……最近多いな。
《アルマ、ナイスフォロー!!アル完全に出遅れたぞ!!》
と心の中で呟くアサヒだった。
「まぁ、とにかく一度曲を聴いて頂いて、衣装も見て頂いて考えて下さい。アコさん」
「うん。」
そんなやり取りをしてカレーライス試食会は終わった。
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町の役場では祭りの詳細が決まり、その説明の為に代表者とレイモンド、そして騎士団団長、自警団代表が集まっていた。
「それでは、祭りの詳細について説明致します。」
サマンサの部下が資料を配りながら、説明を始めた。
祭りの開催期間は前夜祭、後夜祭を含めて六日間、中四日間が本祭で、本祭初日にセレモニーを行い、その後出店コンテストを始める。
屋台は夜間のみとし時間は16時から21時までとする。
本祭最終日に音楽祭を行い、後夜祭にてコンテスト上位五組による決勝戦をおこない、その場で審査員に優勝者を決めてもらい、その後祭り閉幕の挨拶で終了。
「ふむふむ、良いんじゃないですか。」
「メイン会場は中央広場で、音楽祭、コンテストもそちらで予定しております、ステージを設営し、初日のセレモニーやコンテスト決勝戦、祭開催中の生演奏等で使用します」
「食べ物コンテストは来場者みなさんに美味しかった店を記入してもらって、回収箱に入れて貰います。」
「回収箱はステージ下に設置し、不正無き様係員立ち合いの下投票してもらいます。」
部下の説明が一通り終わり、サマンサが口を開いた。
「大筋ですが以上を予定しております。如何でしょう何か要望や意見は御座いますでしょうか?」
「うむ、よろしいかな?」
今まで、黙って聴いていたレイモンドが満を侍した表情で立ち上がる。
「私も祭りの為に用意した事がありましてね、今回の件を舞台にして上演してみては如何でしょうか?」
「あ〜、もちろん内容はご安心ください、騎士団、自警団の英雄譚、そして住民の復興への努力の賛美の物語です、私が脚本致しました。」
レイモンドの付き人が台本を皆に配る。
内容は
町に襲撃に来る魔族、それを迎え撃つ騎士団と自警団、主役のオズワルドと騎士団達の活躍で、脅威は去る
蹂躙された町で、人々に声を掛け、互いに手を取り合い励ましながら町を再建する騎士団と住人達、そして感動のラストを迎える。
「素晴らしい内容ですな。レイモンド卿」
「名作ですぞ。騎士団と自警団の活躍が見事に描かれております。」
「住民の復興への思いが伝わってきました。」
「ちなみに、演者は決まっておりますのかしら?」
サマンサが訊ねると
「もちろん、手配はすぐに出来ます。ちなみに私が主演いたしますので。」
「はい?」
「ええ、ですから私が主役のオズワルド騎士団団長役をやらさせて頂きます。いかがでしょう団長殿?」
「私は構いません。むしろレイモンド様に演じていただけるなど名誉な事でありますよ。」
若干のゴリ押し感とレイモンドの目立ちたがりは否めないものの、物語の出来は良く住民感情にも配慮されていたため、開催セレモニーの中で舞台を行う事が決まった。
「それでは、最後にコンテスト決勝戦の審査員ですが、サマンサ首長、レイモンド卿、ロレーヌ女史、ログナー卿、トゥールーズ卿、マリク殿、グース殿の七人にお願い申し上げます。」
「よろしいですかな?」
「お引き受け致しましょう。」
「よろこんでお引き受け致します。」
レイモンドが快諾すると、続いてその場に居るグースからも同意を得た、ちなみにロレーヌ女史、ログナー卿、トゥールーズ卿、マリクは、キルマー、ファム、ターキーからの来賓で審査員を依頼する予定なのだ
「それでは私はこれで失礼させて頂きます。ちなみに、ステージ設営と宣伝費用は私が承りますので、後はお任せ致しますね。」
「何せ準備が忙しいので、悪しからず。」
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「それでは、私はこれで失礼します。アコさん、ネェル今日の予定は?」
「私は夕方には暇になるよ。」
『ネェルもだよ』
「では夕方お店に集まって頂くという事で、」
「おい、昼からの仕事はどーすんだ?」
「やる事はもう済んでますので、配送はガンツォファミリーにお任せします。アルマさん頼みますね。」
「それでは、準備が忙しいもので。」
問答無用の早口で、アルマとガンツォファミリーに仕事を押し付け、Jはゴメスの店を颯爽と出ていくのだった。その面持ちはさながら戦さ場に向かうサムライの如く。
「いざ参らん!!」
そして、呆気に取られる一同の中に何故か目を輝かせるポルコがいた。
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