ケラウノス防衛
修正版です。
「ケラウノスってミッチーの言ってたブラックホールキャノン搭載艦だよね?」
『そうだよ。』
「この襲撃の標的はやっぱりケラウノスだったか。」
アサヒはラングレーと通信し、ケラウノス防衛に回る事と補給の要請を告げる。
「こちら焔のアサヒ。補給を受けたら直ぐにケラウノス防衛にあたる。ブースターとマガジン、それにバズーカも用意してくれっ!アイツらの目的はケラウノス奪取だ!出せる戦力を全部防衛に回せっ!!」
ブリッジではアサヒの通信を聞いていたドナルドが怒声を上げるのだった。
「クソッ!民間人のくせに偉そうにっ何様のつもりだ!!だがACFの目論みは間違いなくケラウノスだ。動くアームズは全て出せ!修理が完全でなくても動くヤツは全部だ!!」
アサヒの進言に不快感を露わにしたドナルドだったが、襲撃者の動きからドナルドもアサヒと同じ意見だったのだ。
アサヒは通信を終えるとラングレーに向かう。ハッチの開いたままのカタパルトに着底しデッキ内に入ると用意されていた補給を受ける焔。コクピットハッチを解放し中で待機していたアサヒにデッキクルーが声をかけてくるのだった。
「お疲れ様です。さっきの見事でした!これってTTCの新型っスよね!それにあなた民間人とは思えない動きでしたよっ!!」
まだ二十代前半であろう青年整備士が興奮した顔でコクピット内を覗きこんできた。そこに整備長が怒鳴り声と共に現れるのだった。
「おいっ!何サボってやがる!!アームズは他にもいんだぞっ!!さっさと補給と修理にあたれ!!」
「はいっ!すんませんっ!!んじゃ失礼します。」
青年整備士は返事と共に姿を消し代わりに整備長が顔を覗かせるのだった。
「おいっ、あんたかなりの腕前だな。」
整備士用の大きなヘルメットのキャノピー型バイザーから除く無精髭と前頭部が広く短髪の壮年男性の顔を見たアサヒは懐かしい出会いに驚くのだった。
「タツジさん!こんなとこで何やってんですか!?」
「おうアサヒか!?久しぶりじゃねぇかっ、元気そうだな!」
整備長はアサヒが軍にいた頃に同じ部隊に所属していた仲間であった。十年ぶりの再会に二人は顔を綻ばせるのだった。
「そうかお前がこいつに乗ってたとはな。どうりでいい動きをするわけだ。コイツもフルダイブできるんだろ?扱えるのはお前くらいのもんだったからなぁ。」
「前の焔もですけど、コイツも相当なじゃじゃ馬ですよ。」
『じゃじゃ馬ってなあに?』
後部座席のネェルが二人の会話に入ってくる。
「なんだ後ろの嬢ちゃんは?あんヒューマノイドか。あぁ、あれか新しくなったネェルのボディか。お前さんまでいるとはな。そりゃあ普通のアームズとパイロットが敵うわけないわな。」
『うん、みんなで頑張ってるよ。』
「おうしっかり頼むぞ。アサヒを守ってくれ。それはそうと、なんでこんなとこにいんだ?今は民間企業で働いてんだろ。」
「まぁ色々ありまして、ミハエルに頼まれたんですよ。」
「ああ、そういやアイツもここに居るんだったな。お偉いさんになって大変みてぇだな。」
懐かしい出会いに束の間の休息を味わっていたアサヒだった。しかしそこに補給完了の報せが届くのだった。
「班長!補給とブースター装着終わりましたー!!」
「おうご苦労っ!」
「さあ行って来いアサヒ、待ってるからな。終わったらゆっくり飲みに行くぞっ!」
「はい。ミハエルのヤツも誘って行きましょう!」
整備長のタツジが焔のハッチから離れ、その姿が見えなくなるのを確認したアサヒはコクピットハッチを閉じた。スタンバイ中の焔のレバーを握りデッキの射出口に向かうアサヒ。デッキ内のタツジはブースターを装着し戦闘の光の瞬く宇宙に飛び出して行く焔の後ろ姿を眺めていた。
「無事に戻ってこいよ。今のお前に戦う理由なんてねぇんだ。穏やかに暮らせりゃいいんだ。巻き込んじまって済まねぇな。」
アサヒがラングレーから出撃した頃、ジンのマナート部隊はケラウノスに近づきつつあった。
「見えてきたぞ。艦に傷は付けるなよ。うるせぇ蝿だけ落とせばいい。」
「「了解っ!」」
敵アームズ三機を補足した連合部隊が、防衛の為に迎撃を開始する。
付近にいた僚艦からの射撃が錯綜する中、それをなんなく躱した三機がその機動性を存分に活かし防衛隊を翻弄する様に連合アームズに攻撃を仕掛けていく。
マナートの連携は素晴らしく、僚機がマシンガンを放ち連合のフォーメーションが崩れたところにジンのマナートが一気に肉薄すると一撃で連合アームズを戦闘不能にしていく。しかし連合も残る戦力をケラウノスに結集させるべく補給の終わった機体が次々と防衛に加わっていく。だがジン達は撃破数を伸ばしていくのだった。
そして瞬く間に防衛ラインは崩されていく。そこにアサヒの駆る焔が最大速度で姿を見せるのだった。
「新型アームズか、いい動きをしてる。」
『焔だって負けないよっ』
焔は連合アームズにマシンガンを放つマナート部隊にバズーカを撃つ。弾頭に仕込まれた散弾が爆発とともに広範囲に広がるとマナートのマシンガンが散弾の餌食となった。
「さっきの民間機と一緒にいたアームズだな。いい腕だ、やっぱりアイツに似てやがるぜ。」
「隊長、連合の新型です。うちの本隊をボコボコにしたヤツですよ。」
「あぁ分かってる。アイツの相手はオレがやる。お前らは他を潰せ。」
ジンのマナートが焔に向かい牽制の弾幕を張ると自分との戦闘に持ち込んでいくのだった。
焔に遅れてやってきた連合アームズ部隊とラングレーもケラウノス近郊に集まるとマナート部隊との交戦になっていく。そこにマナートの増援部隊も到着し後方には敵の旗艦も迫っていた。そして戦場は艦隊とアームズが入り乱れ混戦となりケラウノスを中心に最終局面になっていくのだ。
「威勢のいいヤツがいて嬉しいぜ!しかもあの時のシュチュエーションにそっくりとはなぁ。」
ジンのマナートがマシンガンを牽制に撃ち、それと同時に焔に肉薄すると腰部に装着されたククリナイフ型のサーベルを焔に振り下ろす。アサヒの焔は牽制を躱し日本刀型のサーベルを抜くとマナートの剣戟を受け止める。刃と刃が交錯し火花を咲かすと、二体のアームズは高速で移動しながら激しい攻防を繰り広げるのだった。しかし決め手に欠ける焔が次第に防戦に転じていった。
そしてマナートが焔の背後に回りマシンガンを放つと焔のブースターに命中する。
『背部ブースターに被弾、損傷ありパージするよ。』
「頼むっ!」
ネェルがブースターを切り離し焔はその場を離脱する。次の瞬間付近にいた連合アームズを巻き込みながらブースターのプロペラントタンクは爆発した。そして制御不能になったアームズは連合の艦艇の方に吹き飛ばされていった。
ジンのマナートは吹き飛ばされていくアームズに追い討ちのマシンガンを撃ち込むと艦艇ブリッジを巻き込みながらアームズは爆散する。そして艦艇はコントロールを失い、ブリッジから徐々に爆発し瓦解していくのだった。
「ハッハー!やったぜ。お前もやられたくなかったら本気を出してこいやっ!そんなもんじゃねぇだろうがっ!」
「クソッこいつ強い!」
連合アームズの攻撃を躱しながらマナートが焔に迫る。
「オラオラァッ!!」
サーベルをかざし高速で迫り来るマナートに焔もサーベルで切り結ぶ。焔はマナートの攻撃を弾くと距離を置きマシンガンの撃ち放ち牽制した。しかしマナートは弾幕を躱し焔に肉薄する。
「そんなもんは当たらねぇんだよっ!やる気あんのかっテメェ!!」
再びサーベルを切り結ぶと、接触回線が繋がりマナートのパイロットの叫び声が焔に届くのだった。
「オレは民間人だ、もう軍属じゃない!人殺しはしたくないんだ!!」
「あん?何言ってんだお前!!戦場に出たらやるかやられるかだろぉがっ!」
「ちくしょう、このままじゃダメかっ!?」
『アサヒさん防戦ばっかじゃやられちゃうよっ!』
「あぁ?アサヒだと!?しかもその声聞き覚えがあるぞっ!お前10年前の隊長か!!」
「はぁなんだ?」
「忘れちゃいねぇぞっ!!」
焔と距離をとったジンのマナートが変形する。身体に対して太い前腕と脛部の外装の一部がパージされるとその下には武装が仕込まれており、近接格闘戦闘に特化したその姿はより獰猛さを増すのだった。そして機体各所のスラスターが忙しなく挙動すると急加速で焔へと狙いを定める。先程以上のスピードと圧力を放つマナートにもなんと、フルダイブシステムが搭載されていたのだ。
「10年前の続きをしよぉぜ!テメェも本気で来いやぁっ!!」
鋭さをましたマナートがその両手に内蔵されていた仕込み型サーベルを突出させると、猛スピードの突きの連撃を焔へと繰り出す。焔の右手に握られたサーベルを弾き飛ばしたマナートは更に連撃を畳みかけるのだった。
紙一重で攻撃を躱した焔はマナートから逃げる様に距離をとるがマナートの追撃は続くのだった。
「ネェル、いけるか?」
『まかせてー!』
機体のリミッターが外れ焔もフルダイブする。高速で移動する焔は連撃の隙を突きマナートの胴部に回し蹴りをお見舞いする。
マナートが吹き飛んでいる間に弾かれたサーベルを握り直した焔と、体勢を直したマナートが正面に向き合い対峙する。
次の瞬間、二体のアームズは同時に急加速し斬撃を繰り出すと、ぶつかったお互いの剣戟が一際激しい火花を散らすのだった。
そして焔とマナートは戦場を疾走する。二つの機体はまるで一つの塊の様に重なり合い凄まじいスピードで移動しながら攻防を繰り広げていく。
「いいじゃねーか!やっとその気になりやがったな!」
「クソッ、戦いを楽しみやがって!」
「あたりめーだろ!オレたちゃあ戦士なんだ!目の前の敵をぶっ倒してなんぼだろうが!!テメェはなんでアームズ乗ってやがんだ、あぁん!?」
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