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課金スキルの裏側

 ――ん? なんだろう。こんな朝早くに10人前後が集まって。体操?

 丘の上なので拝殿の横にある広場、そこに集まっている人影が見える。


 思えば割り振って貰った客間の窓からは、街の様子は見えず、ここ三日は山と森の木々ばかり見て過ごしたことになる。

 支神殿は人の集まる場所、市役所とか区役所にあたる。

 だからお客さんには雑踏が見えないようにしてるのかも知れない。


 でも、ホントに何やってるんだろう?

 現実界のラジオ体操だって六:三〇からだぞ。今はまだ六時前だし。


 よく見ると、体操ではなくどうやら何か武道の稽古のようで。

 その中には見たことのある黄色いチャイナドレスの姿もあった。

 何をしているのかよく見ようとしたところで後ろから声がかかる。




「おはよう主殿、今朝は早いな。しかも外に……。もしや、何処か具合が?」

「逆だ逆……。そんなに寝てらんねぇだろうよ。――おはよう。お前こそ何時に起きてるんだよ。つーか、いつ寝てるんだ? お前」


 いつの間にか後ろに居た、スカイブルーに紺のメイド服に細い革紐で杖を背負ったアテネーに答える。


 いつも俺が起きる前には朝食がベッドサイドにおいてあって。夜に飲んだ水のコップは朝起きると綺麗になって水差しも替えられている。

 部屋に来る“お世話係”のレイジや、その他の巫女さんに話を聞いたところ。

 これは全部アテネーがやっているのだ、と言っていた。



「三時間も眠れば十分なのでな。前にも言ったが体質的に睡眠は少なくて良いのだ。人間はもちろん、エルフであってもこうはいかん。インコンプリーツである私の、唯一の利点だな」


「唯一ってことも無いだろうけど。――俺が寝てる間、お前は何してたんだ?」

「お世話係の皆さんに、料理や掃除、その他家事全般の手ほどきを受けていた。昨日の夜からは、私も食事を一部、作らせて貰っている。夜のサラダは私が葉をちぎった」

 ……嬉しそうだし。そこは触らないでおこう、そうしよう。


「ふーん、……言われてみればあのサラダは美味かったような気がする」

「い、いや、今。言ったはずだが、は、葉っぱを。私は、葉っぱをちぎっただけ、だから……」

 少し持ち上げてみたり。

 素直に赤くなるあたりがアテネーなんだよな。



「あのさ。少しは息抜いても、良いんじゃねぇの?」

「何もしないでいるのは、これは性に合わないのでな。……あ、あぁ。もちろん主殿は疲れていたのだから、休息を取る事は何より必要だったと思うぞ」


 しかも空気の読めないはずのアテネーに気を使われる?

 ……たった二日の間に何があった、お前。

「おかげさんで、すっかり身体が軽くなったよ。他の連中は?」




「ニケさんはあの通り。……明日、師範代の免許を頂くらしいが」

「簡単に頂いちゃって良いの!? それ!!」

「今週中には、総師範として流派を率いることになりそうだとも聞いた」

「なんでだよっ!?」 



 課金スキルのことを考えればこんなもんなのかも知れないけれど。

 潜在能力が高い、的な理解でなければ、確かにおかしいもんな。

 いやいや、それでもおかし過ぎだろっ!?



「昨日の夕食の時。――これからはユーリのために、格闘家として生きていくんだ! と、それは意気軒昂いきけんこうに語っていたぞ?」

つち使いはどうしたんだよ……。アイツ、イメージとは真逆に、ノリと勢いだけで生きてるからなぁ」


 いつもニコニコして、話を聞いてるようで、実は人の言う事はほぼ聞かない。

 良くも悪くもその場のノリで行動する。


 人の顔色をうかがうイメージとは真逆。いや、ある意味そうだからこそ、か。

 ついでに言えば。

 イメージ通りに空気を読む、と言うことにかけては誰の追従も許さない。


 なんかそこを取り出すと凄くイヤなヤツにも思えるが。

 いずれにしろ。実際のニケはそう言うヤツなんだけど、……憎めないんだな。かえって気になるくらい。

 もはや性格、とかじゃ無く体質。と言った方が良い気がする。



「ニケさんは、それでやっていけているからかまわんのだろうが。私には無理だな」

「そんなの、ほかのだれにも無理だわっ!」 


 あの空気を読む能力だけは、俺や亜里須は見習わないといけないところだな。

 アテネー、お前もニケの元で修行を積んだらどうだ?


 確かにここまでは不幸だったにしても現状。

 ある意味、うちの構成員では一番やりたい放題してるとも言えるわけで。

 あのキャラのせいで得してるよな。




「ところでもう一人、モリガン(へんたい)はどうしてる?」

 俺の目が届かない時のモリガンは複数の意味でヤバい、と思ったのだが。


「蟲使い以外のテイマーに初めて会った。と言って喜んでいる。他の人の話は参考になるとか何とか。今時分は、夜番についている門番ゲートキーパー猛獣使い(ビーストテイマー)のところに居ると思うが」


「アイツはアイツで男は嫌いだろ?」

 うん、自分で言っておいてなんだが、少し違うな。

 モリガンは男嫌いじゃなくて、ウチの三人娘の標準。人間不信なんだ。

 アイツにシンパシィを感じるというのも、アレなんだけれど。


「ほぉ、気が付いて居たのか。だが問題はない、そのビーストテイマーは女性なのだ。……モリガンも蟲が居るせいで、睡眠は少なくて済む様だしな」

 その為にわざわざ蟲を身体の中で“飼って”居るんだろうけど。


「基本的に自分の村の外は知らんと言っていたよな。……でもアイツ、そんなにコミュニケーション能力高かったか?」

 見た目と違って、別に高慢なわけではなく。基本的に人とのコミュニケーションをどうしたら良いか。

 それがまるでわかっていない、モリガンはそうだったはずだが。


「あの蟲笛だ。アレを持っているだけで、色々自信が溢れてくるのだそうだ」

 戦闘時以外のステイタスにまで影響を与えるなら、Sは超えて最低SSか。既に俺にはどんな追加効果があるのか想像も付かない。

 とんでもないものを貰ったもんだな。

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