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職業:救世主 ~世界の危機にシスコンとストーカー召喚してなにさせる気!?~  作者: 弐逸 玖
2-2 各々(おのおの)の想い、それぞれの立場
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美少女異種族姉妹、決裂!?

「で、アテネー、ニケ。お前ら、どうする?」

「王都内でもインコンプリーツへの差別は止まず、ならばこの先……」

「ネー様……。僕は、その。……ユーリと一緒に居たい!」

「ニケ、さん?」

 


「うん、あのね。僕の村で、あのとき僕は一回死んだ。――ユーリ達やネー様が来なければ、……頭をいじられて奴隷になるか、死んだか。どっちかだった」

 ピンと立っていた尻尾が、しおれる。

「でも、ニケさん……」


「ううん、ネー様。ネー様やユーリ達が来てくれたから助かったのってホントでしょ? だからずっと考えてた。ネー様やモリィみたいに僕が役に立つこと、ユーリが僕を必要だって思うことって、本当に有るのかって」



 役立たずの無駄飯喰らい。

 その台詞は亜里須の専売特許だと思って居たんだが、これは思わぬ伏兵だ。



「お前が居てくれなかったら……」

 だが珍しく、ニケは自分から俺の言葉を切った。


「ユーリは絶対そう言うって、わかってたから聞けなかった。石ころを蹴飛ばしてどかすくらいしかしてない僕が、どう役に立ったら良いかって……」

 ――だから石ころじゃなくて軽く5、6tはある大岩なんだってば、あれ!


 それまで黙って話を聞いていたメルカさんが声をかける。

「わざわざユーリ君にそれを口に出して言うくらいですものね。だったらもう、ニケさんの答え。それは見つかったのでしょう?」


「はい。着替えの時に武術の訓練をしている人達がいるって聞きました。どうせ力しかないなら、その人達に戦い方を教えて貰って、そして強くなって。ユーリもアリスもリオさんも。ネー様もモリィも! みんな。僕が守れば良いんじゃないかな、って」


 確かにアテネーやモリガンと違って、村の中にほぼ隔離されていた彼女だ。

 読み書きはおろか一般常識さえ知らない彼女が、戦い方なんて知るわけがない。


 でも今だって、ニケなら。

 例えば武装した戦士一〇人。それに囲まれようが平気で切り抜けるはずだ。

 加護を受ける前から武装したドラゴニアンの兵士と正面切ってやりあって、結果。

 全くものともしなかったわけだし。


 今や相手が魔法以外なら、ほぼ無敵。と言い切っても良いだろう。

 但し本人は今の強さには納得がいってない様で。

 お前のゴール、何処なんだよ……。

 確かにアテネーも、戦士の身のこなしではない。とは言っていたけどさ。



「……ねぇ、ユーリ?」

「ん?」

「ついていったら邪魔になる? ……だったら行かないでここに残る。僕もそこまで莫迦ばかじゃ無いつもりだから」


「ついてきてくれるのか? だったら、お前よりも数倍バカなモリガンが居るから、そこは気にしなくて良いぞ」 

「モリィは。頭、良いよ……」

「物知りだがバカだ。断言する」


「……もっと言ってくれマイスター! お前の本気はこんなものではないはずだ。頼む、もっと真面目に、全力でさげすんでくれ……!」


「な? 完全に頭がおかしいだろ。……お前は確かにものを知らないけれど、莫迦じゃ無い。モリガン(あんなもの)と比べること自体が、そもそも間違ってるんだって。先ずはそこに気が付け」


「……あ、あんなものって、ユーリぃ」

「モリガンはモリガンで色々、あるんだろうけどさ。――でも、それでも。色々を鑑みた上で頭が良い、ってキチンと言いきるお前が、莫迦なわけ無いだろ?」


「な、何故だ、マイスター。どうして途中でやめる! 全面的にあざけってくれ!」

「するか、そんなこと!」

 ヘタにお前に乗っかったらこっちにダメージが来るっつーの!


「ありがと。ユーリ……」

 ニケの尻尾は元通りにピンと立ち上がって、顔もいつも通りの妹系ニコニコスマイルに戻る。

 うん、お前はやっぱりそうで無くちゃな。


「お前だって居なかったら、今。俺達はここには居ない。あんまり卑下するもんじゃない」

「ヒゲ? 僕、インコンプリーツだからヒゲがなくて……」


 通常の獣人は女の人もヒゲが標準装備なの!?

 あれ? 設定はどうなってたっけ。


――じゃ無くて。


「えっとな、んーと。――自分で自分の価値を低くするなって言ってるんだ。お前は十分に価値が有る。俺と一緒に居るのは、本当は勿体ないんだって自覚しておけよ」


 そう、お前は法国の精鋭に成れるだけの器なんだよ。間違い無く。

 俺に会う前から法国中央のスカウトが来てたそうじゃ無いか。


「え、あの。でも僕は……」

「アテネーやモリガンに負けてない。むしろお前が自覚してないだけで、勝ってるところだっていっぱいある。お前なら何処に行ってもなんでもできる!」


 ……できないのは読み書きくらいなもんだし。

 それだって、だいぶできるようになったじゃんか。



「できることから、やれば良い。そのうちできることも増えるさ。――うん、別に急ぐ必要も無いんだし。だったらゆっくりで良いから、できることを増やせばいいじゃん」

 今のところは知らないんだから当然、できるわけが無い。


「そしたら、選択肢はたくさん増える。大丈夫」


 村にいたときは、少々不幸な生活で。

 だからお前は色々知らない、それだけなんだから。

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