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東教区支神殿の副司祭様

 所属:無所属 (未登録の第三勢力)

 灰色世界の救世主:卯棟 裕利 


「リオ、良くぞ無事に戻りました。……姉を自認するものとして、あなたが異界へ渡ったと聞いて後。心配しない日など、一日たりともありませんでしたよ?」

「メル姉、心配かけてごめんなさい。……ただいまっ!」


「お帰りなさい。――異界から無事に帰ってきただけでも法国始まって以来の快挙です。しかもこんなにも早く、立派にお役目を果たし、救世主様を二人もお連れするなど。法王様ですらそこまでお考えでは無かったことでしょう。わたくしも姉を名乗る一人として鼻が高いです」


「メル姉、私……」

「特にあなたは、わたくしを含め。兄弟、父母を自認する方が多いのですから、出来る限り直接に、帰還の報告をするのですよ。皆様、一様に心配していたのですから」




 聖道王朝フェリシニア法国の首都にあたる王都、その中央東教区総支神殿。

 イメージ的には首都の東区役所、と言う感じだろうか。

 設定も建物も、こんなのは俺は知らない。

 でも、完全に世界に入り込んで“解像度”が上がればこう言うものかも知れないな、とは思う。


 王都の規模自体が俺の記憶の一〇倍以上大きいし、住民の数は50万を超えると聞いた。

 戦闘にもイベントにも関係ない、そう言う人達だって暮らしてるんだから。

 だったらこの辺は、当然と言えば当然かも知れない。

 

 数日前から使者を名乗る人が、リオと連絡を取り合っているので、到着と同時に出迎えの準備はできていた。

 俺達は騎士に敬礼されながらゲートの入り口をくぐり、巫女さんが並ぶ道を抜けて拝殿と呼ばれる建物は素通り、支神殿と呼ばれる大きな建物へと通された。



 その前に。

 建物の前で武装を一度外してくれ、と言われる。

 軍人でも無ければ騎士でも無い。当然と言えば当然だろうな。


 リオはごく自然に周りの巫女達に槍を渡した。


 ニケがバトルアックスを置いた瞬間に地面が凹み、綺麗に敷かれた石畳が沈んで歪んで周りが持ち上がった。

 受け取ろうとした巫女さんが、手を口に当てて後じさる。

 一五〇キロでそこまでならないよな? ……ホントは何キロあるんだ? それ。


 そしてそうなら当然、アテネーの隣には武器の山ができた。

 彼女に着いた巫女さんは、口をポカンと開けたまま立ち尽くす。

 お前も何処にどうやって持ってたんだよ、その量……。


 更にコートを脱ごうとしたモリガンを止めるハメになった。

 武器なのかそれ! コートと中身、おいていくのはどっちだ!?

 結果的にポケットの中の小さなホイッスルのような蟲笛、これだけは取られた。


 スマホは取られると(コミュニケーションを取れずに、と言う理由で)亜里須が死ぬ。

 と言う、リオとアテネーの力説が通り、かなり強力な魔導アイテム扱いなのだが俺と亜里須、両方見逃して貰った。


 亜里須の“魔法のステッキ"は変形しなきゃペンダント。首から外す道理が無い。

 ちなみに俺の短剣はそのままだと、そもそも刃が付いてない。

 なので双方アクセサリー扱いでそのまま持つことが許された。


 俺の左手のブレスレットも含めて魔力の波動がでていないらしいし、それは亜里須の指輪も同じことだったが。

 どうなってんだろ?



 支神殿を経由するのは、長旅の疲れを一度癒やして。と言う建前もあるのだが。

 いくら何でも、普通の国なら王宮にあたる中央大神殿。

 そこに行くからには、普通は風呂に入って綺麗な服に着替えるだろう。

 要するに。


 ――来る前に身支度くらいしなよ。


 と言うことでもある。


 宗教を根幹に持つ法国である以上、中央大神殿は聖地の真ん中に建っている。

 リオに聞くまでも無く、当然不浄なものは入れないというのは理解できる。

 一時足止めの形になるこれは、“お清め”の意味合いもあるらしい。


 そういや、なんか学ランから酸っぱいニオイがする気が。

「ゆうり、くん」

「……ん?」


「……人前でにおうの、辞めて」

「あの、……ゴメン」

 亜里須に突っ込まれるとは……。




「ね、ユーリ。これから僕ら、どうするの?」

「法王に会うんだから当然、本体ごと洗濯しないとな。……だろ? リオ」

「うんまぁ、表現はともかく。……そうなるんだよね? メル姉?」


「これ、リオ。お客様の前ですよ? ――お初にお目にかかります。わたくしはこの支神殿の総監代理の位をお預かりしております、副司祭のメルカ・リッターと申すもの。以降よしなに願います」


 出迎えてくれたのは王都東教区支神殿総監代理。

 と言ういかにもエライ人の肩書きを持つ、メルカ・アナベル・リッター副司祭だった。

 肩書き通りの神職の服に、現実世界の修道女の様なヴェールを被り。

 肩書きに反して、美人で優しいお姉さんなイメージ。

 この辺はおっさんが出てこないあたり、さすがはゲームの世界だ。



「湯浴みと着替えの準備はしておきました。ユーリ様とアリス様はお召し物が特殊ですので洗濯のみ、ではありますが。できる限り魔導は使わず天日で干しますので」



 メルカさん、二十歳くらいなんだろうか。

 ホント、みれば見るほどすごく綺麗な人だな、この人。

 ……でも誰かに似てるような。いたか? 俺の知り会いに、こんな綺麗なお姉さん。


 ん? 待てよ。リッター、さん? どっかで聞いた気が……?



「総監、副総監が双方出払っておりまして、わたくし如きがお出迎えにあがるご無礼、どうか優しきお心を持ってお許し頂けますよう、お詫び申し上げます」


 法国で神殿と言うなら、現実世界なら村や町では無く市にあたる。

 ならば、王都内のこの支神殿はさしずめ区役所。メルカさんは副区長とか助役、と言う事になるんだろうか。


 いずれこの中央東教区全体で支神殿総監、支神殿副総監に次ぐナンバー3。

 ちなみにリオによれば、ナンバー1とナンバー2。普段は中央に居て、儀式がない限りは来ないのだそう。だから間違い無く今ここで一番エラい人だ。


「いや,そう言うのは俺は別に……」

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