さして変わらない人
「……もらう立場で恐縮だが、それはもう少しだけ増やしてもらえば助かる」
「むしろリオさんは、そちらに問題がなければ積極的に増やしたいと言っていた。やはり頭の回る人は違うな」
今日連れて来たもう一人はモリガンだが、物資のリストを確認しつつ、中央付近のテーブルで話し込んでいる最中。
で。こっちは、亜里須と違ってどうやらそれなりに仕事はしてるみたいだ。
ただ、なんでフォークでケーキつつきながら打ち合わせしてんだよ。
こっちは外で、数数えたり大きさ測ったりしてたのに……。
つーか、ケーキなんてあったのか? 箱庭世界に。
こいつは、服装や見た目はそこまで変わらなかった。
色はおなじだけど、ショートボブがロングボブになったほか、少しだけ目がぱっちりした。
これだけで見た目の印象はかなり優しくなる。
この辺はツチヤマさんが、アテネーとのキャラ被りとか気にしてたのかも知れない。
イメージとしてはまるで違うんだけど、カテゴリの暗殺者と情報屋、魔法も同系統だし。
キャラクターとしての個性とかの細かい調整のまえに実体化、ツチヤマさん風に言えば顕現した。ということなんだろうな。
服装は出合ったときとほぼ同じ。くたびれた変質者コートにボンデージ風の真っ赤な革製のインナー、そしてヒールの高いショートブーツ。そういう意味では変わってないんだけど、腰には何故だか乗馬鞭がプラスされてる。
出合ったときより(性的な意味でのヤバ目な)女王様感が強くなってる。
ややアニメっぽい表現になるからか、”実物”よりは違和感がない。特にインナー。
……見た目さえあやふやだったのに、服装だけはほぼ確定だったのね。
「言っているのはツチヤマだ。あたしの要請というわけでは無いよ……」
「気にしなくて良い。もどったらリオさんとババァには言っておく」
「またお前はフレイヤ様をババァだなどと」
「実際そうなのだからしかたがない。それに私が普段からそう呼んで、本人もそれでなにも文句は言わないんだし。――しかし、エマ姉達が残るのは多少意外だった。てっきりアニータ姉と一緒に先陣を切ると思っていたのだが」
実はモリガンは当初、あまりこちらには来なかったのだけれど。
”帰還”開始前にストレージでの物資や動物移送実験の為に訪問した時、ツチヤマさんとの顔合わせだけは俺も一緒に立ち合って済ませた。
とはいえ俺がしたのはそれだけで、あとはなにも言っていないのにリブラや花押三姉妹なんかの、有力プレイヤーとは早い段階で顔見知りになっていた。
おっさんズあたりとは特にウマが合うようで、感性が近いんだろう。……おっさんと。
もちろん主要な”NPC”とは友人関係を築いている。
特にシエラさんとアニータさん、そしてエマリアさんは最初期にがっちりキープした。
さすがは情報屋、なんの説明をされなくても重要人物はわかるんだな。としか。





