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黒い子供達 Side : Country of Regulations

 所属:フェリシニア法典による神聖聖道王国

 法王庁直轄特別独立親衛隊長:レイジ・イースト



 中央大神殿所属の大導士、その装束に袖を通したぼくの胸。

 ストラップで胸に下げたトランシーバーの表示部分が、緑から赤に変わる。


『グレイ6よりグレイリーダー、状況終了。これより合流ポイントに移動開始』


 トランシーバーからはやや潰れた女性の声。


「わかった。グレイ6、周囲に細心の注意を」

『グレイ6了解。以上』


 中央大神殿の魔導装備開発部が、解析しても劣化コピーさえ作れない。

 と結論を下した僕ら七人しか持っていない特殊な機械。

 きっと、お兄様はこういう用途に使うためにこれをくださったわけではないだろう。とは考えなくてもわかる。


「導士様、今の女の人の声はどこから……」 

「今のは同僚の巫女です。声自体は魔導だから気にしないで良いですよ? 聞こえたならば、あなたにも魔導の素養があるのかも知れませんね」


「魔導の導士様、だったのですか?」


 ケープの色か。いまはただの導士の白い者を身につけている。

 意外とキチンと見ているな。


「少し心得のある程度です。生活に役立つ魔導なら、おおよそだれでも使えるでしょう? そのくらいのものですよ」


 今の声に関して言えば、誰でも聞こえる。

 だけど、トランシーバーの技術、これを法国内でも知っている者は限られる。

 ぼくだって、未だに魔導としか思えない。


「そ、そうなんですか!? 俺にも、魔導が……?」

「存外、そんなものかも知れませんよ?」


 人気のない林の中の道。ぼくと並んで歩くのは、一つ二つ年下の少年。

 ――この辺で良いかな?

 周りを見渡して足を止め、隣の少年と目をあわせた。



「あのぉ、ところで導士様。お話、と言うのは……」

「人目をはばかる話であったのでね、こんな時間にこんな場所まで。申し分け無い」

「人に聞かれたくない話、と言うことですか? ――あ、それはもしやアテレアド様の……」


 もったいぶった言い回しに終始して約一〇分、ようやくかかってくれた。

 自分で言い出してくれなければ意味がない。


「院内総士長アテレアド様。……かの方について君が思っていることを、直接聞きたくてね」

「導士様はもしや……」

「わたしはそれほどの者ではない。ただ、かの方とは多少の関わりを持つ者だ、とだけいっておくよ」


 嘘は吐いてない、関わりはある、……あった。

 かの人はお兄様に仇成す敵、お互い殺すつもりで向き合った。


 どんなときであろうと、嘘を吐くのは神職であるかどうかはおいても良い事では無い。

 そういう意味では間違い無くぼくと、かの人の間には関わりがあるのだ。


「いったい何故あんなことに……。あんな良い人が破門の上、神敵指定などと……」

「なにしろキミ達が見聞きする以上の事は、わたしの立場では知り得ないのだが。いってしまえば君達の方が詳しいかと思ってね」


「あの方の処分は法王が直接決めた、と聞いてます」

「わたしもそう聞いている」


 そこは後に、それこそ教皇様本人に直接伺った。間違い無い。


「今はまだ子供ですし、大神殿にも近づくことさえ。でも、絶対に法王は許さない……!」 

「……思いを同じくする大人達は居ますか?」

「もちろんです。……ただ。三日ほど前から全員、何処かに出かけているようで。連絡も伝言もない、と言うことは多分、他の地区との会合なんだと思います」


 ……この地区は、ルル様が三日前に回った。と聞いた。

 しかし、ルル様がほぼ誰にも知られずに始末を付けた……?

 あの方に関しては少し、認識を改める必要があるだろう。



「いつか、俺がこの手で……!」

「……もう、こんなところで良いか」

「はい?」

「知らなくて良いことです」


 ――ぱちんっ!


 ぼくが少し大袈裟に、右手を上げて指を鳴らすと次の瞬間。

「いったい、何の話をなさ、……って」 

 正面に居た少年が、首筋から真っ赤な霧を吹き上げながら前に倒れる。


「ぐ、……グレイ2、じょうこ、……状況終了」


 少年が立っていた後ろ。

 月明かりに照らされて、返り血で真っ赤に染まった巫女の服。

 バニティ姉さんが、ナイフを持って震えながら立っている。


「返り血に気をつけるようにいったはずですよ?」


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