(一方的に)何でもありの攻防
ガキィン! ふたたび剣同士が噛み合う。
「おいおっさん! ファンタジー世界に、“RPG-7”とか、なんのつもりだ! チートにも程があんだろうがっ!」
本体に弾体と、そして肩紐。見たことがある。なんなら使ったことさえある。
なまじ距離を取って、あんなものを打ち込まれちゃひとたまりもない。
「ほぉ。知ってるのか、ミリオタだとは思わなかったが」
再び剣をあわせたイストリパドオアは、左手のそれを使いもしないで簡単に捨てる。
「つーか、ブロゥクン・オーダーのデータだろそれ! どうやって ランド に持ち込んだっ!!」
『秩序崩壊』。単純に言えば、銃やバズーカを撃ち合って戦うゲーム。
AdMEを運営する会社がやっている別のゲームだ。
ちなみに俺もアカウントを持っているし、陰からRPG-7で戦闘車両を潰しまくっていたのだから、アレがなんなのかは知ってる。
まぁランキングなんか無縁だけど、戦闘ヘリだって一機撃墜したことがある。
ミリオタ。と言うには確かに知識が全然足りないだろうが、だから。
秩序崩壊に出てくる武器限定であればだいたいわかる、と言う事でもある。
色、輝き、痛みぐあい。
あれは俺が使っていたものと寸分違わぬロケットランチャー。
みんな“同じ武器”を使うのだ。データごと持ち込んで来たなら、見た目が同じなのは当たり前。
AdMEと同じ作者のゲーム、ドラゴンズ・クエストのことだってあった。
でもファンタジー世界にロケットランチャーは。
――おかしいだろ、いくら何でも!
「ほお、気が付いたか……。以前、データサーバーを連動するようにしておいたのだ。世界がこうなってまで使えるとは、自分でも思って居なかったがな」
「もう一回言うぞ? ……巫山戯んなっ! ――こうまで近けりゃランチャーは使えねぇだろ!?」
今度は過ぎないように剣の間合いでさがる。
何度も同じ手は、喰わねぇよっ!
「何処まで潜り込んでんだよ! チートどころか、完全に違法行為じゃねぇか!」
「心配には及ばんよ……。ここでは日本の法律は無効、問題はない」
そう言うとイストリパドオアは、左手のRPG-7をあっさりと放り投げる。
「法律だけの問題かっ!?」
またしても、彼の左手が一瞬虚空に消える。
「いずれ初めて使うわけだが。当然、データはRPGだけでは無い。さて、使えるかな?」
ドン、ドン、ドン! と言う腹に響く音を聞きながら、横っ飛びに飛んで転がる。
一瞬虚空に消えたイストリパドオアの左手には大型の拳銃が握られ、その銃口が無造作に火を吹く。
「今度はデザート・イーグルっ!? ……きたねぇぞ!!」
拳銃の括りではゲーム内最強の破壊力を誇った銃を、何気なく撃ってくる。
冗談じゃ無い!
アレはホンモノも、破壊力は最強クラス。
ネットで調べたら、拳銃なのに軍用ヘルメットや防弾チョッキさえ貫通する。
って書いてあったぞ!
但し資料には反動が半端ない。とあって、そこはゲーム内でも同じ。
もともと命中率が悪い上に、射撃時は両手が塞がるはずだが。
「なんで片手で撃てるんだよ!」
「鍛えているからな」
「ねぇよっ!」
細かいトコまで設定に引きずられるこの世界で、そんなことできるか!
ちくしょう、アレもチートかっ!
右手に大ぶりの剣を持っているからか、外れてはいるが。
弾の当たった地面がえぐれ、岩が割れる。
アレはかすっただけでもシャレになんねぇぞ、マジで!
「命中精度が、悪いな」
「うわ! ……っぶねぇ! 鍛え方が、――うお! 足りねぇんじゃねぇのか!?」
「確かに。駆け回る相手に、片手で50口径は苦しいか」
そう言いながら弾の無くなったデザート・イーグルを躊躇無く捨てる。
その隙を逃さず全力で距離をつめる。
あの左腕を切り飛ばさなきゃいつまでも同じだ!
「これ以上テキトーを……!」
「ふふ、お前はチートをつかわんのか?」
「戦闘で使える様な汚い技は、無ぇ!!」
これは半分ウソ。でもま、作った大半は運営をおちょくるためのツールだからな。
現状で発動しないのも確認済だ。
「言動が高尚なのは結構だが、それでは実戦では勝てんぞ!」
「大きなお世話だ!」
私事により今週の投稿もお休みします。





