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転移列島  作者: NAO
混沌編 人類反攻
209/462

反応消失

2026年(令和8年)8月19日【地球北米大陸 西海岸エドワード橋頭保】


 人類統合第1都市『エリア51』消滅によって、ダグリウス主席率いる人類統合政府(シャドウ帝国)の組織的抵抗は終わり、地球連合防衛軍の反攻作戦は成功した。


 シャドウ帝国軍の奇襲を受けた痕跡を残したままの後方基地には、エリア51攻略を終えた日本国陸上自衛隊第7師団や、五大湖から攻略作戦を展開していたジョーンズ中将率いるユニオンシティ防衛軍が補給や修理、部隊再編の為に集結していた。


 奇襲攻撃で地上施設が損害を受けていた為、現地司令部は空中戦艦『播磨』内に置かれている。

 その現地司令部では、衛星軌道上の宇宙艦隊から緊急報告が続いていた。


『こちら『ホワイトピース』名取です。衛星軌道上空の偵察機からの報告です。

 エリア51消滅直後から、各地のシャドウ帝国都市の反応が消えています。

 南米の第4都市カラカス、中央アジア第5都市バイコヌール、ヨーロッパ・ロシア第6都市カザン、アジア地区第11都市成都から電磁シールド反応消失。

 随伴させた電子偵察機からは通信電波も途絶えたとの報告も入っています』


名取艦長が鷹匠准将に報告する。


「敵の本拠地は潰しましたが、残存している人類統合都市の存在が脅威です。各都市を偵察し、必要とあらば掃討作戦を展開します」


 鷹匠准将が各国部隊指揮官に指示を出していく。


「名取艦長。ヨーロッパ・ロシア第6都市カザンに部隊を降下させて偵察をお願いします」

『了解しました』

鷹匠が名取に指示する。


「私は南米第4都市カラカスを見てこよう」

「お願しますジョーンズ中将」


 ジョーンズ中将の申し出に鷹匠が応える。


「第5都市バイコヌールはアルプス拠点から反撃して進撃しているNATO部隊と黒海沿いを北上しているイスラエル連邦軍にお願します」

『分かった。わが軍は旧ウクライナのキーウ(キエフ)でNATO軍と合流後、バイコヌールへ向かおう』

眼帯をしたイスラエル連邦軍指揮官が鷹匠に応える。


「出来ればですが、イスラエル連邦軍に余力が有れば黒海から北上している部隊の一部をアジア地区の第11都市成都へ偵察に向かわせる事は出来ないだろうか?」

鷹匠がイスラエル連邦軍指揮官に訊く。


『うーむ……』

腕を組んで悩むイスラエル連邦軍指揮官。


 難色を示すイスラエル連邦軍指揮官にどの様に行動してもらうか考える鷹匠にプライベート・回線から話し掛ける者が居た。


『イスラエル連邦との交渉は正攻法では難しいでしょう。よろしければ私が間に入って交渉しましょう』

悩み込む鷹匠にロイド提督が申し出る。


「ありがとうございます。ロイド提督、お願します」

感謝する鷹匠。


「衛星軌道上の宇宙艦隊とタカマガハラからの支援を活用し、残存都市を掌握、戦争終結を確実なものとします!」


 鷹匠は、各国軍部隊指揮官に今後の方針を伝え、各国部隊はそれぞれに割り当てられた目標へ向けて移動を始めるのだった。

ここまで読んで頂き、ありがとうございましたm(__)m


【このお話の登場人物】

・ロイド・サー・ランカスター=英国連邦極東軍提督。欧州英国から陽動部隊として太平洋東部に展開し、統合第3都市ナスカ、第2都市バンデンバーグを攻略した。

・鷹匠=地球連合防衛軍 北米大陸攻略作戦司令官。日本国自衛隊地球派遣群司令。准将。

・ジョーンズ=ユニオンシティ防衛軍司令官。中将。

・名取=日本国航空・宇宙自衛隊強襲揚陸護衛艦『ホワイトピース』艦長。准将。

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