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転移列島  作者: NAO
混沌編 人類反攻
187/462

神器

2026年(令和8年)8月16日【東京都港区白銀 神聖女子学院 視聴覚室】


 首相官邸からとある人物に対する情操教育の一貫として宮内庁から特例扱いで貸し出された三種の神器に関する資料映像を視ると、訪問者三姉妹は目を見張って感動していた。


「ソロモン末裔たる失われた10支族の証をこのような形で目にするとは……だぞ!っと」

感無量の黄星 舞。


「どうせなら直接手に取ってみたかったのです~」「左に同じだぞっ!」

舞の左右で同じように映像を食い入るように見つめる黄星姉妹が両手をもぞもぞさせながら首を縦に振っている。


「んんん?失われた10支族?何を中二病みたいな事を言っているのかしら?」


 琴乃羽美鶴は、訪問者三姉妹が三種の神器に刻まれた"小さな五芒星"や"ヘブライ文字"に注目していることに気付いていなかった。


「はいはい静かに!映像だけではなく”特別講師”の説明も聴くように!”花子講師”よろしくお願いします」


 パンパンと手を叩いて注目を引きつける真知子先生が傍らに浮いている光球体に呼び掛ける。


「この映像に映っている三種の神器を継承、保有する事が日本国の正当な天皇家たる証になるのです。

 神道儀式の繋がりを経て全国の神社仏閣教会における日本国民の信仰という思念波エネルギーを出雲大社に集めて、日本列島生態環境保護育成プログラムのエネルギー源として使用しているのです」


 真知子先生の傍らを浮遊する花子がドヤッと説明する。


「……花子神様質問です~。疑問に思うのですけど、本当に鏡や勾玉、剣が神器なのでしょうか~?」

守美が質問する。


「そうだぞっ!花子は時代に遅れているのだぞっ!」

輝美が追随する。


「ふぁっ!?」


 いきなりな否定的意見にたじろぐトイレ神花子。


「三種の神器とは、掃除機、冷蔵庫、白黒テレビなんだぞっ!」


 火星日本列島に来たばかりの末妹輝美が胸を張って指摘する。


「違うのよ輝美ちん。パソコン、スマホ、5Kテレビだぞ!っと」


 火星日本列島に来たばかりの長女である舞が訂正を指摘する。


「うぬぬぬ……違うわーっ!」

とうとうキレて紫電を放つ花子神。


「「「シーーーッルド!」」」


 幾度となく美衣子や結から教育的紫電の洗礼を受けてきた訪問者三姉妹は、手慣れた様子で即座に対抗電磁シールドを展開する。


「ふふふん。どんなもんよだぞっ!」「こんなものですか~?」「楽勝だぞっ!と」

「ウキーッ!」


 花子神の教育的紫電を見事に受けきった訪問者三姉妹がどや顔で胸を張り、トイレ神花子が悔し気に地団駄を踏む。


「惑星間移動を瞬時に行ったり、巨大生物収縮を簡単にこなす割には、一般常識の理解度が低いのは何故かしら……?」

首を傾げながら美衣子が手厳しいコメントをする。


「「「ガーン!」」」

ショックを受けて床に膝を付く訪問者三姉妹。


「……やっぱり。このまま火星にいても相互理解が進まないから木星へ帰って貰った方が良いのではないかしら」

首を傾げて困った顔で呟くひかり。


「ちょっ!?……ちょっと待つのだぞっ!」

講師陣の否定的反応に焦る輝美。


「ん~。……今、相互理解を勧める神様が降りてきたかも?」

冷や汗を浮かべながら取り繕おうとする守美。


「はっ!私にも相互理解についての天啓が!」「なんか相互理解について閃いたのだぞっ!」

追随する舞、輝美。


「お願だから早くマスターして……」

げんなりした顔の満。


 満は多数の犠牲者を出した長崎沖海獣騒動後に訪問者三姉妹の身元引受人として自力更生を首相官邸に誓約していた為、日本文化や美衣子達が操る日本列島生態環境保護育成プログラムを学ぶ試みが遅遅として進まない現状を、割と深く憂慮しているのだった。



          ☨          ☨          ☨


――――――北米攻略作戦"ロッキー" 発動30分後【北米大陸 旧ネバダ州グルームレイク エリア51 地下司令部】


「マスター。火星侵略軍がシカゴ沖、ロスアンゼルス沖から侵攻中」


 縦長の瞳を持つ爬虫類人類兵士がダグリウスに告げる。


「はっ、ようやく重い腰を上げたか。にわか仕込みの兵器で攻め込むとは愚かな」

鼻で笑うダグリウス。


「四足を出せ!ホバー戦車、ウィーゼル部隊は敵部隊に突っ込んで攪乱しろ!人類の支配者たる我らが軍勢の力、思い知るがいい!」


 エリア51基地至近にあるネバダ砂漠のシャドウ帝国軍陣地から、巨大な四足ロボットの様な装甲兵器がゆっくりと歩みながら、西から接近する地球連合防衛軍攻略部隊へ向けて背中から多連装ロケットランチャーやレールガンを乱射する。


 四足装甲兵器の足元を、砂塵を巻き上げながら高速ホバー走行する二連装砲塔を持つ戦車が、攻略部隊へ向けてレールガンを次々と放つ。


 四足歩行やホバー走行する未来兵器軍の後方地面がぐらぐらと振動すると、地中から巨大な黒い亀の様な物体が現れる。

 巨大な陸ガメの様な物体背中に幾つか有る三連装砲塔が、東西に向けて強烈な赤い閃光を放つ。

 幾筋もの赤い閃光が流星の様に、ロッキー山脈やシカゴ郊外へと飛んでいく。


 五大湖沿岸、旧シカゴ付近都市部に上陸を開始していたジョーンズ中将率いる陽動攻略部隊北側湖面上の超低空を、猛スピードで飛ぶ小型飛行艇群から次々と誘導ミサイルが発射されると、上陸部隊を降ろしていたシェフィールド級空中輸送艦の横っ腹に命中した。


  輸送艦は激しく爆発しながら中央部から二つに折れて湖面へ墜落していく。


 慌てたマンスフィールド級空中戦艦や、上陸部隊の上空に展開していたWB21空中砲台が対空レーザーやバルカン砲の弾幕を展開して応戦を始める。

挿絵(By みてみん)


 こうして本格的な大規模陸上戦闘が北米大陸で始まった。

ここまで読んで頂き、ありがとうございましたm(__)m


【このお話の登場人物】

・大月 満=元ミツル商事社長。

・大月 ひかり=元ミツル商事監査役。

挿絵(By みてみん)

*イラストはイラストレーター 七七七 様です。


・大月 美衣子=マルス・アカデミー・日本列島生物環境保護育成プログラム人工知能。

挿絵(By みてみん)

*イラストは絵師 里音様です。


・大月 結=マルス・アカデミー・尖山基地管理人工知能。マルス三姉妹の二女。

挿絵(By みてみん)

*イラストは絵師 里音様です。


・琴乃羽 美鶴=ミツル商事サブカルチャー部門責任者。言語学研究博士。少し腐っている。

挿絵(By みてみん)

イラストはイラストレーター更江様です。


・黄星 舞=訪問者。神聖女子学院小等部新任教師。黄星姉妹の姉的ポジション。

挿絵(By みてみん)

*イラストはお絵描きさん らてぃ様です。


・黄星 守美=訪問者。神聖女子学院小等部教育実習生。輝美の姉的存在。

挿絵(By みてみん)

*イラストはイラストレーター しっぽ様です。


・黄星 輝美=訪問者。神聖女子学院小等部6年生に転入。守美の妹的存在。

挿絵(By みてみん)

*イラストはイラストレーター しっぽ様です。


・澁澤 真知子=神聖女子学院初等科教師。夫は澁澤太郎内閣総理大臣。

挿絵(By みてみん)

*イラストはお絵描きさん/らてぃ 様です。


・花子=神聖女子学院のトイレに潜むトイレの神様。正体は美衣子が統べる日本列島生態環境保護育成プログラムの800万有る末端端末の一つ。

挿絵(By みてみん)

*イラストはらてぃ様です。


・ジョーンズ=ユニオンシティ防衛軍司令官。中将。

・鷹匠=地球連合防衛軍 北米大陸攻略作戦司令官。自衛隊地球派遣群司令。准将。

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