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第123話「大祭2」

 こんにちはこんばんはさようなら。

 皆さんの心の安らぎにして、6番目の災厄ことマキナです。

 

 挨拶の最後がお別れになっている?

 細かいことを指摘しないでください。

 文脈より語呂を優先しただけですから。

 あんまりしつこく首を傾げるようなら天罰(物理的な)を加えるので注意してくださいね。


 さて。

 本日からクレスの通う学び舎で『祭り』が開催します。

 しかもこの規模の文化祭を3日間もやるそうですよ?

 一体いくらのマネーが資金として投入されることになるのか……。

 そんなにお金が余っているのならワタシに分けて欲しいものです。

 世界のためになるような有効活用をすると約束します。


 まぁ戯言はこの程度にして。

 ワタシが今回しなくてはいけないのは、クレスに頼まれた警備・警戒――よりも、やはり布教ですね。布教。なんと言われようと信者獲得が第一。

 もちろんクレスの頼みを無下にするつもりはありません。

 頭の片隅にはちゃんとそのことも置いて動きます。

 あ、そもそももといマキナ教ってご存じですか?

 巷で大絶賛されている宗教なんですが。

 

 え、本当にご存じない?

 それは一大事です。

 人生の九割九分を損していると自信を持って断言します。

 とりあえずはこの書類にサインをしてください。

 住所やなにやら七面倒なのは一先ず記入しなくて構いません、とにかく名前を書けばあなたは救われます。

 灰色だった人生の九割九分がすぐにでも華やかな色合いを取り戻すことでしょう。

 

「け、結構です――!」


 と、ワタシが親切に誘っていた男性は背を向け高速で逃げていった。

 最初に寄ってきたのはアナタの方だったでしょうに。

 いかがわしい目的なのは察していましたが、それでもワタシが宗教を語った途端にこれです。

 こんなに親切に勧誘したのに背を向けるとは、場所が場所だったら無事では済ませないところですよ。

 

 しかし今日1人目の勧誘は失敗してしまいました。

 幸先は悪いですが、なにいつものことです。

 これまで頑張ってきてなお現状信徒はクレスしかいないのですから、そう簡単に集まるはずもなし。

 挫けず行きます。

 まずは校内をグルグルと徘徊するとしましょう。

 気の弱そうな……失礼、人生に困っていそうな人を見つけ、説法を聞かせ、それで信徒ゲットです。


「――む?」


 校内に向けて一歩を踏み出した時、ふと足を止める。

 今、なんだか、妙な男とすれ違ったような……。

 黒い髪、だった……?


「しかし黒を有する勇者4人は今クレスと共にいますし――」


 きちんと黒だったと確認したわけではない。

 そもそも妙な男とすれ違ったということ自体、錯覚だったかもしれない。

 全てはワタシの勘違い――


 たとえ勘違いが勘違いでなかったとしても、一瞬すれ違っていたとして、その瞬間にワタシの脳が危険だと判断していないということは、実際大した用件ではないということだ。

 戦闘になれば制圧に1秒も掛からないだろう。

 

 ワタシはそんな風に思考に区切りをつけ(判断に要した時間は数秒である)、再び歩みを再開する。

 今為すべきことはただひとつ――


「マキナ教~。マキナ教~。絶賛信者募集中~。今ならボーナスポイントが付いてワタシの説教が無料で聴けますよ~」

 どうも、東雲です。


 前回お腹がいっぱいで~という話をしたと思うのですが。

 あの後一向に改善しなかったので、実は病院に行ったんです。

 すると原因は食べ過ぎではなく、胃酸の過剰分泌ではないかと診断されました。

 症状の前後を鑑みるに、おそらくストレス性によるものだとか。

 ぶっちゃけ最初は「ホントかよ?」って疑っていました。

 ただ医者のその見解を信じようとして、そして信じたその時、ボクの脳裏にある考えがふっと過ったんです。

 それがなにかというと、自分の好きな異性のタイプについて。

 ボクは、年上かつカッコよくて、頼りがいがあって、尻に引いてくれるどころか自分を強引に引きずり回してくれるような女性が好きです。

 それはもしかしたら、無自覚であったけれど東雲立風の精神は思いのほか脆くて、だからこそ無意識に『強い女性』を求めていたんじゃないか――。

 

 主人公ってやつは、もとい現実にいる多くの男性っていうのは、女性を助け自らが引っ張っていくことを『普通』とすると思います。

 でも男が弱くたっていいじゃないとも思うんです。

 世間的にはボクは女々しい、とても軟弱な人間かもしれません。

 けどやっぱり、ボクは強い女性が好きです。

 何事にも揺るがぬ、自信に溢れ、いつでもボクという人間を奮い立たせてくれる大きな存在――


 自覚していたようで自覚していなかったこと。

 前回の後書きではふざけた感じに事を語っていましたが。

 この一見しょーもない体調不良の一幕は、思いがけず、今後の創作を助けるなにか大きなヒント発見の機会になった気がします。 

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