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第119話「時間」

 1万時間の法則――というものをご存じだろうか?


 もしかしたらこの法則の呼び方は他にもあるかもしれないが。

 今回は『1万時間の法則』という名称を用いる。


 さっそくどんな法則か、という話になるわけだけれど。

 端的に説明すると『ある物事を1万時間掛けてやると、その道のプロになれる』というものだ。


 例えば。

 小説を1万時間執筆すれば、その人はプロの小説家になれる、

 絵画を1万時間描けば、その人はプロの画家になれる。

 

 ――と、芸術面を具体例として挙げたけれど。

 これはスポーツや勉強に関してだって適用されることだ。

 

 1日は24時間あり、1年は365日。

 計算をしやすくするため、仮に1日が25時間あるとするならば。


 365×25=9125


 1年間ぶっとおしで励めば約9千時間。

 1万時間まで残りわずかなところまで来た。

 しかし人間、どんな超人であっても睡眠や食事を一切しないなどできない。

 仙人でさえ霞を食べる必要があるのだ。


 なら仮に1日あたり練習なり研鑽に励める時間を8時間と設定して、改めて計算をする。

 すると『3年間』あれば、人は1万時間を達成できるという結果になる。


 1日8時間を、約3年間だ。

 

 なんでもいい。

 芸術でも、スポーツでも。

 あなたにはそれだけ熱中し、極めんとするモノがあるだろうか?

  

 同じことをコンスタントにし続けるのは大変だ。

 そもそも論として、3年という年月を掛けてまで挑戦したいナニカを見つけることすら、人によっては困難を極めるかもしれない。


 なにせ空っぽな者に対し、親や教師は「夢はいつか見つかるよ」と簡単に言うのが今の世の中なのだ。

 だが「そんなことはないんだぞ」と声を大にして言いたい。

 むしろこれは警告ですらある。

 夢は見つけようとしなければ見つからない。

 いつも歩いている道ばたに、ソレは小石のごとく転がっているわけではないのだ。

 少なくとも硬貨は落ちていても、宝石を見つけたことはないだろう?

 

 流されるままに生活していては、その人の存在は軽いままだ。

 いいや、もはや存在の軽さにすら気づけないのかもしれないけれど――


 閑話休題。

 1万時間の法則を話に出したけれど。

 ただここで費やす時間の『質』について少し検討してみるべきだと思う。


 例え1万時間やりきったとしても、その内の5千時間が集中力の欠けた、精度の低い、悪質な努力だった場合はどうだろう?

 逆に5千時間しかまだ費やしていないとしても、その全てが良質な努力であったのなら?

 1万時間を欠けずとも彼ないし彼女は、もう既にプロになっているのかもしれない。


 つまり時間における『量』を重要視する以上に。

 時間の『質』を考えるべきというわけだ。

 

 このあたりは、本人の情熱が左右するのかもしれない。

 

 そして情熱――という点について述べるなら。

 俺たち1年Sクラスの面々は、文化祭における『演劇』に熱という熱を注いでいた。

 それこそ燃え尽きてそのまま灰になってしまってもおかしくない程に。

 

 事は順調に進んでいた。

 しかしワドウさんの盲点――ケンザキの存在を忘れていたせいで、歯車に狂いが生じる。

 念のために言っておくが、今回ばかりはケンザキにそう落ち度はない(せいぜい学園への復帰報告をもっと早くしてくれたらな……と思うぐらい)。

 とにもかくにも、すっかり忘れていた自分たちが悪かったのだ。

 だから『存在を忘れていた。だから君の役はないよ』などと口にすることは絶対にできない。

 むしろ言ったら普通にイジメだろう。


 しかもケンザキ自身、自分が主役級をやると自負しているようで。

 焦ったワドウさんは、急遽台本を変更した。

 ケンザキ。スミス。そしてクレス・アリシアの三主役となってしまったのだ。

  

 加えてというか。

 新たな主役の台頭を境に、他の役にもなんだか狂いが生じ始めた。

 商人役だった生徒がなぜか人斬りになり、町娘役だった生徒がなぜか人型古代兵器になったり、騎士役だった生徒がなぜか喋る馬になったり。

 

 一言でいうなら『カオス』だ。

 俺たちの演劇は混沌とかし、もはやラブロマンスどころではなくなっている。

 もういっそコメディと言った方が……いいや、コメディという割には血なまぐさすぎるか。

 

 そんな摩訶不思議にして阿鼻叫喚で抱腹絶倒な物語のヒロインが、自分なわけで……。

 物語的には演劇練習をもっと描写したかったけれど、明日から文化祭1日目が始まってしまう。

 みなさんに見せることができるのは、本番3日目までの、せいぜい1日目2日目の練習風景くらいだろう。語り部として申し訳ない。


 さてさて、異世界原産『ロミオとジュリエット』をやると随分と前に言ったけれど。

 ここでタイトルの変更をお知らせさせてもらう。

 改名――『ロミオとザッキーニとジュリエット』。


 ザッキーニはケンザキのことだ(適当すぎる? みなまで言うな)。

 酷いタイトルになったけれど、これが新タイトル。

 どうぞお楽しみに――と言うには、不安が多すぎるかな……。

 

 どうも、東雲です。

 

 先週は突然お休みしてしまってすいませんでした。

 そして今後の【更新スケジュール】を報告をします。

 これからの投稿は『1日』と『15日』としました。

 つまり1ヶ月につき2回の更新、別の言い方をすれば2週間の1回の更新です。

 ノロマ運転になって申し訳ないのですが、ご容赦ください。

 

 次回の更新は『3/1』。次々回の更新は『3/15』です。

 生きていたらいいなぁ……。

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