EPISODE,6:女心とは、精密機械以上に扱うのが難しいものである その①
翌日、俺はいつもの駅へ行くと、予想通り小窪さんもとい、
彩音さんがいた。
いろいろ昨日は大変だったからな・・・。
ていうか、とりあえず挨拶ぐらいしとくか。
「彩音さん、おはよう」
「あ、・・・・・・おはよう」
なんかぎこちない挨拶だなあ・・・追及すると面倒なので、
聞かないでおこう。
電車を待っていると、彼女から声をかけられた。
「隼斗・・・さん?」
「どした?」
「昨日のこと、覚えてる?」
「ああ、うん。覚えてるけど・・・どうかした?」
「一部訂正したいことがあって」
「て・・・訂正?」
な、なんだ?やっぱあれか?「話しかけないでください」とかか?
そう考えていると。
「訂正ってのは、教室では名字呼び。それ以外の場所では名前呼びに
してほしいってことなんだけど・・・」
「あぁ・・・なるほど」
めっちゃ安心した。
昨日の一件がまだ頭から離れていない状態で今に至るから
これで「話しかけないでください」っていわれたら、間違いなく
涼太と同じ状態になっていただろう、間違いなくだ、間違いなく・・・。
そんなこんなで学校へ着いた。
「学年最速登校生」とやらの肩書というか、あだ名のようなものを
つけられた俺だ。
いつもは一人だが、今日は二人になっている。
そうだった、クラス一緒だったの忘れてた。
「じゃあ、またお昼の時間で」
「おう」
・・・あれ?ていうか、クラス一緒だから普通に話しかけてもいいのでは
と思ったのだが。
親しげに話す俺らを見る女子の驚きの視線と、男子の嫉妬の視線を
浴びるのは、お互い嫌だもんな。
そう考えていると、涼太が教室に来た。
「おはよう、涼太」
「おはよう、隼斗・・・っ!?びっくりしたあ・・・」
「何?」
何に驚いたんだ?と思ったのだが、その理由はすぐわかった。
彩音さんが隣だったこと、そしてすなわち、自分の近くにいるという
ことに驚いたのだろう。
しかし・・・これはまずい・・・・・・。
「いや、あの・・・」
「用事がないなら早く座ってくれる?」
やっぱり・・・朝からあいつのメンタルはボロボロだ・・・。
「大丈夫か?」
「うん、はあ・・・昨日連絡もらったけど、本当に一緒の駅だったんだな」
「うん。ちなみに、彼女が先に来てたけど」
「そうか・・・もし・・・」
「もし?」
「もしお前と小窪さんがいっしょに登校したって言ったら、
俺・・・お前を八つ裂きにしてたわ・・・」
「怖えよ・・・」
よかったあ・・・今朝のこと言わなくて。
お互いのこと守るためにも、昨日と今朝のことは、墓場まで持っていく
ことにしよう。
授業も二限まで終わり、ボーっとしていると涼太が
こんなことを聞いてきた。
「隼斗、ちょっといい?」
「ん?どした?」
「あのさあ・・・。お前、小窪さんのこと、どう見える?」
「女子」
「そうじゃなくて、なんていうか・・・『お前ヴィジョン』だと
どう見えるんだよ?」
「ああ。要するに、涼太。お前のヴィジョンというか、目は小窪さんの高圧電流でブッ壊れたと・・・」
「まあ、大体合ってる。で、どう見える?」
とりあえず面倒な質問をされているのは、聞いた段階で分かったけど、
どうしよう・・・変に答えるとまた面倒なことになるからここは・・・。
「俺から見ると、俺みたいな一人でいることが好きで、他人嫌いで、特にお前みたいなヤリチン野郎とかは大嫌いってことと・・・」
「ちょっと待って色々言われてるけど、俺を殺す気か?
・・・ていうか、誰がヤリチン野郎だよ!俺、まだ彼女すらできたことないんだぞ!」
あ、そういやこいつ顔とかはいいけど、なぜかあんまり、モテないん
だよなあ・・・なんでだろ?
「で、さっきの続きなんだが」
「スルーされた」
「外見は・・・」
「外見は?」
「めっちゃ可愛い。『美少女』って言われるのが当たり前ってぐらいね」
「そうか・・・ありがとう・・・・・・」
「おう」
涼太は、少しションボリしながら自分の席へ戻っていった。
ちなみに、彩音さんはその時読書中だった。
が、俺らの話を全部聞いていたこと、思わず彼女が『はうぁっ!?』と
可愛い声を出していたことは、俺はまだ知らない。
EPISODE6ということで、今週の投稿は日曜というわけになってしまいました。
このことに関しましては、活動報告にも書いてあります。
そちらもご覧ください。
というわけで、EPISODE7で、お会いしましょう。




