EPISODE,37:秋の木枯らしと共に・・・ 後編
「・・・ってことがあったんだよ」
「お、おう。そうか・・・」
涼太の話を聞き終わったあと、俺には多くの疑問が残った。
なんだろう?
うまく話の要点が掴めない。
掴めなさすぎて、彩音に関しては「話についていけないし寒い・・・」と言っていつの間にか持ってきていた毛布に包まって眠っていた。
「なぁ、要するにお前のことが好きなヤンデレっ子ができたってことか?」
「そうだ。まさかこんなことになるなんてね」
「なぁ、それは良いんだけどさ」
「ん?」
「あそこの子って、もしかして・・・」
「えっ?」
俺が廊下の方に指差す先には、それらしき女の子が立っていた。
その子は、金髪の長い髪の毛に(肩の少し下まで長い)青みがかった目の少女だった。
それを見た涼太は顔を青ざめて。
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
「ちょっ!おい!!」
その存在を恐れるかのように、涼太は教室の窓から飛び降り、ダッシュで逃げ出した。
って、ここ2階だよ?
どんな身体能力してんのあいつ?
「あー・・・えっと。あいつ結構遠く行ったけど大丈夫?」
「あ、大丈夫ですよ。すぐに追いつきますから・・・」
「あ、そうですか。気をつけて・・・」
ハイライトの消えた目をしたまま微笑み、そのまま彼女は教室を出ていった。
「んー・・・、寒い・・・」
「彩音、大丈夫?」
「隼斗・・・」
「ん?」
「毛布の中入ってきて・・・」
「あ、はい」
二つ返事で少しの間、2人で毛布の中で寒さをしのいでいたのだった。
授業もあらかた終わって昼休み。
今朝の涼太の話を聞けなかった(涼太のせいで)彩音に一応説明した。
「ふーん、そんな事があったんだ」
「うん、なんかその美空って子が涼太にゾッコンらしくてね」
「そうなんだねぇ・・・。あ、ところでさ、涼太いなかったよね?」
「あぁ、そういえば午前中いなかったな。どこ行ったんだあいつ?」
午前分の授業の単位を失った涼太はほっとくとして。
俺たちは昼食を食べるべく、いつものピアノ室へ向かった。
・・・のだが・・・・・・
「はい、涼ちゃん。あーん♡」
「あ、あーん・・・」
「「・・・・・・え?」」
涼太がいた。
しかも美空もそこにいた。
まさか、午前中ずっとここにいたのか?
そう考えているときだった。
「隼斗・・・」
「ん?どした?」
「私、いないことにしてくれる?」
「あ、うん。わかった」
「ありがと」
そう言ってそそくさとその場から立ち去った。
そういえば、彩音ってあいつのこと苦手なんだっけか。
というか・・・
「お二人さんは一体なにしてんの?」
「えっ、隼斗!?どうしてここに!?」
「よっ、めっちゃイチャついてんな。さっきこの状況見て彩音逃げたぞ」
「ぐはぁっ!」
あ・・・倒れちまった・・・。
「ふふふっ・・・、寝ちゃった」
「精神ダメージでぶっ倒れたんだろ、それ」
「あ、そういえば。あなたが隼斗先輩ですよね?」
「え?うん。そうだけど」
「もしよかったらですけど、連絡先交換しません?」
「え?別にいいけどなんで俺?」
「この人と一番親しい人といえばあなただ、って言っていたので」
「涼太こいつ・・・。まぁ、悪い気はしないし、別に断る理由もないし。そもそも涼太が美空ちゃんのこと好きになったらこっちもありがたいし」
「協力してくれますね」
「おう、もちろん」
こうして俺は、なんのためらいもなく少し闇深い協定を結んだ。
彩音に近づけないようにしないとだしなぁ。
「ところで・・・」
「ん?」
「その『美空ちゃん』呼び。わりとしっくりくるのでこれからもその呼び方でよろしくお願いしますね」
「あ、うん。わかった」
涼太もいつか、『美空ちゃん』って呼ぶ日がくるんだろうか?
EPISODE37です。
11月に入ってからものすごく寒く感じるようになったのは私だけではないはずです。そんな今週は、「ソナタ・アークティカ」というバンドについて解説します。
フィンランド出身で、北欧メタルの一つと言われるメロデックスピードメタルのバンドです。
オススメは「フルムーン」という曲で、ソロパートのキーボードとギターの掛け合いが最高なので良かったら聞いてみてください。
ではまた、EPISODE38でお会いしましょう。




