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親の町工場を立て直そうとしていたが、志半ばで他界。転生した先も零細の貴族家だったので立て直します  作者: 工程能力1.33
外伝4

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第193話 確認結果

 翌日の放課後、経済革命クラブの部屋に、メンバーとナタリアが集まっていた。

 イザベラは昨日確認した内容を報告する。


「じゃあ、私たちの方から確認結果を言うね。資金繰りが厳しいのと、その原因がカヴェンディッシュ建設なのは本当。このままだと次の支払いは確実にアウトね。必要な金額は24,213,000ドラ」


 昨日、グランヴィル工務店に行って確認してきた内容は、事前にナタリアが説明したものと一緒であった。

 その報告を聞いてリリアはアーサーを見た。彼がどんな決断を下すのか興味津々なのである。

 そのアーサーは報告を聞くと決断したことを口にした。


「アーチボルト家でグランヴィル工務店に仕事を発注する。代金は前払い。仕事の内容はタウンハウスの古くなったガゼボの解体と新築。それなら50,000,000ドラの支払いをしてもおかしくはない」

「うちのお金を動かすの?」


 イザベラは経済革命クラブの資金を注入すると思っていたので、アーサーの言ったことに驚いた。


「そう。父の許可はとってある。経済革命クラブの資金を使わないのは、うちの仕事ならどこからも文句がつかないから。正面切って文句を言う度胸があるとは思えないし、周囲に圧力をかけるのも躊躇うでしょ。確実にばれるし、ばれたときのこちらの報復に耐えられるような勢力は、周辺国を含めてないから」


 スティーブという圧倒的な存在がある限り、アーチボルト家に対して戦う度胸のある勢力はない。いや、窮鼠猫を嚙むのように、追い込まれればその限りではないのかもしれないが、たかだか一工務店への嫌がらせで、アーチボルト家と対立するようなリスクをとるようなところはないのである。とアーサーは考えていた。

 それを聞いてホッとするナタリア。

 これで一安心かと思いきや、それを邪魔する者がいた。

 リリアである。


「昨日の調査といい、今のその提案といい、全ては実家の力に頼ったものですわね。それはこのクラブの活動から逸脱するのでは?」


 リリアとしては、婚約者の実力を見たかったのだが、アーサーの行動は全てアーチボルト家の力があってのものであった。これならば、アーサーでなくとも同じことが出来る。

 それでは実力の確認にはならないのだ。

 しかし、アーサーは冷静に反論する。


「僕たちが失敗すればグランヴィル工務店が倒産し、グランヴィル家に迷惑がかかる。ましてや、相手にしなければならないのは侯爵家。となれば、今とれる最善の手段を選択すべきだ。全てが終わってから、振り返りのレポートを作成するのでも、十分クラブの活動になるよ」


 その意見にイザベラも賛同を示す。


「そういうこと。優先すべきはグランヴィル工務店の救済。クラブ活動はその次よ」


 リリアがミハエルとエリザベスを見ると、二人も首肯してみせた。

 昨日までならイザベラに突っかかっていたリリアも、ナンシーの話を聞いた後ではそれが出来ず、アーサーの意見にそれ以上は口を出すのを止めた。



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