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親の町工場を立て直そうとしていたが、志半ばで他界。転生した先も零細の貴族家だったので立て直します  作者: 工程能力1.33
外伝4

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第190話 リリアとエリザベス

 アーサーはエリザベスとリリアを伴い、校門へと向かう。


「まずは家に行くけど、リリア嬢は迎えの馬車をどうする?」

「自分ので行くわ。現地集合にしましょう」

「わかった。リズは?」

「私も色々と騒ぎになるのも面倒だから、自分ので向かう」

「わかった。じゃあ家にそれぞれの馬車でってことで」


 そういうと、アーサーは一足先に行ってしまった。

 その場に残ったエリザベスとリリア。リリアがエリザベスに話しかける。


「ねえ、エリザベス王女殿下、あのイザベラってアーチボルト家の子供にしては、少し品格に欠けるのではなくて?」

「リズでいいわよ。卒業したら、そのうち家を出るつもりだし。って、レミントン辺境伯家のお伺いも立てないとか。貴女に喋ったのは失敗だったかしら」

「いや、それは形式だけでしょ。竜頭勲章閣下の姪の貴女の意見にうちが駄目だし出来るわけないわ。って、今はそれを聞きたいんじゃなくて貴女の従姉妹の話よ」

「ああ、そうだったわね。イザベラはアーサーと違って、自由に育てられてきたからあんな感じなの。帝国からの留学生っていう肩書だって、おじさんが認めてくれたから出来るわけでしょう。家のために良家に嫁ぐなんて役割を求められてないのよ。だから、お上品にふるまう必要はないってこと。でも、出来ないわけじゃないのよ。そういう場面が来たら、ちゃんとお嬢様を演じられるわ」


 リリアはエリザベスの言葉を信じられなかった。

 今まで見てきたイザベラは、全てを力で解決するようなタイプである。TPOをわきまえた振る舞いができるような素振りは、ただの一度も見せたことが無かったのである。


「その顔、信じられないって感じね。でも、アーサーと結婚したら、嫌でも知ることになるわ」

「どうかしらね……」


 リリアが言った言葉の意味は、アーサーと結婚するということについてであったが、エリザベスはそれをイザベラの素性に関してだと勘違いをした。

 しかし、お互いそこで馬車へと向かって歩き出し、その勘違いが訂正されることはなかった。

 そして、二人は再びアーチボルト家で合流する。

 先に帰宅していたアーサーは、リリアを迎える準備を整えて待っていた。

 いつも遊びに来ているエリザベスには気をつかわないのだが、他家の令嬢であり婚約者でもあるリリアを粗末に迎えたとあっては、レミントン辺境伯に申し訳が立たないし、なによりそうしたことに厳しいクリスティーナにしっ責されるのがわかっていたので、同級生が訪問するよりも一段上のもてなしをする手はずを整えていたのである。

 いまや上級貴族となったアーチボルト家の使用人たちは、そんな急な来客への対応も慣れたものであり、クリスティーナに指摘されるようなことは、塵ほどもなかった。

 リリアとエリザベスはアーチボルト家の応接室に案内された。


「父にはうちの調査部を使うことの許可をとってあるから、調査させることを決めようか」


 アーサーがそう言うと、リリアは


「こんな短時間で許可を?」


 と疑問を口にした。

 リリアの父であるレミントン辺境伯は多忙であり、娘であるリリアであっても簡単に面会することは出来ない。

 それなりの手順を踏んでいくのだが、許可が下りるまでに数日かかることだってある。

 それが、最上位の竜頭勲章であるスティーブに対して、帰宅後すぐに許可を取ったというのは信じられなかったのだ。

 この早さこそがアーチボルト家の強みであるのだが、この時はリリアは理解できなかった。



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