遥か昔の物語
むかし、むかしのお話です……
寒い、寒い、北の国では人間達は飢えと寒さと魔人の脅威に晒されて生きていました……
彼らは祖国を追われ、迫害されてきた人たちで、絶望の中でも懸命に生きてきました……
【暴虐ベアトリス】が率いる魔人達は彼らを殺し、喰らい、連れ去っては絢爛豪華な彼女の宮殿を建設させる為に働かせていました……
当時の彼女は爵五位になったばかりではありましたが、その二つ名が示す通りに人間達を踏み躙っていました……
毎日、女神スフィールド様に熱心に祈りを捧げていた巫女の下にある日、一人の勇者が遣わされました……
異形の鎧に身を包んだ男は自らを「ヨシマサ」と名乗り、太平の世からの来訪者であると巫女に言いました……
彼は虐げられし人々を導き、勇者の力を解放して遂には悪行の限りを尽くした【暴虐ベアトリス】に深い傷を負わせて追い払いました……
しかし、【暴虐ベアトリス】との戦いでヨシマサも傷ついてしまいます……
彼は最後の力を振り絞って、その地に広大な【魔力結界】を施しました……
人々はそこに国を造り、ヨシマサと巫女の間に出来た子供をその国の王様としました……
北にある【モール王国】はこうして出来たのです……
長い年月が流れて、ヨシマサが施した結界も効果が薄れてきてしまい、人々は再び魔人達の脅威に晒されるようになってしまいました……
人々は語ります……




