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【受賞作品・書籍化中】私、もう興味がありませんのーー虐げられた愛し子は隣国でお店を開く事にしました  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第三章 王国編

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29、救出

 翌朝、扉を3回ノックする音で私は目が覚めた。枕元には昨日ザリバーが置いていったと思われる手紙が置いてある。


 あの後、手紙に罠が仕掛けられていないかを確認したが、どうやら普通の手紙らしい。エアル達も一人ずつ調べてくれたので、問題ないと思われる。


 その手紙を忘れないよう服のポケットに入れる。3回ノックされたので執事さんだろうか、と思い声をかけると案の定、彼が扉を開けた。そしてその背後にはディアさんもいる。



「もしかして、寝ていたかしら?」

「はい、ごめんなさい……」

「良いのよ。今、侯爵が本邸を出たと彼が知らせてくれたの。だからシアさんにも知らせようと思って」

「では、始まるのですね?」



 そう言えば、彼女はにっこりと笑ってこちらを見ていた。


 宰相様や大公様の協力により、今朝私たちの救出作戦が実行に移される。

 

 モーズレイ侯爵は二十代後半ではあるが、現在独身らしい。ご両親はキャメロン様と同じ頃に流行病で亡くなってしまい、そこから引き継がれて侯爵になったと以前聞いたことがある。


 そのため、侯爵が家を出てしまえばこの邸は使用人だけ。そこに押し入り、精霊崇拝派との繋がりを見つけるため家宅捜索を行おうという魂胆だ。きちんと捜査状が出ているらしいので、勿論違法ではない。


 ちなみに、侯爵は宰相様と大公様が彼に相談があると言って呼び出されたそうだ。喜んで出て行ったと執事さんは言っていた。



「という事で、ここで出来ることはしていきましょう!今ならまだ一刻はあるかしら?」

「そうですね。それ位は時間があると思われます」

「という事で、シアさん。戦闘開始よ!」

「え?!」



 そう言われて私が驚いているうちに、三人の侍女さんが現れる。そのうちの一人はよく見ると、オイルのような瓶が大量に置かれている台車を押している。



「最終決戦の前なのよ?綺麗にしなくてどうするの?美しさは武器よ!シアさんも磨かれておきなさい」



 声が聞こえたのと同時に、私はベッドにうつ伏せにされ、いつの間にか服すらも剥ぎ取られ、マッサージを受けていたのだった。


 マッサージの気持ちよさにうつらうつらし始めた頃。ふと遠くから、悲鳴が聞こえたような気がした。

 思わず眉を顰めると、足のマッサージをしていた侍女さんが私に声をかける。



「始まりましたね……よし、これでマッサージはお仕舞いです」

「わざわざありがとうございました」

「いえ、これも仕事ですので。シア様、もうすぐシンディア様もこちらの部屋に参りますので、ここを出る準備をお願いします」

「分かりました」



 そのまま彼女は台車を押して外に出て行った。本邸の方向からは怒声も聞こえてくる。突入が始まっているのだろう。


 そして侍女さんの言う通り、すぐにディアさんが現れ、その四半刻後にライさんとルイさんが現れたのだった。



 

 私たちはそのまま宰相様のタウンハウスへ向かい、そこで話し込んでいたルイゾン様と皇帝にお目通りをする。その際、昨日ザリバーに会った事と話された事を伝え、手紙を渡した。


 手紙は側にいた爺が受け取り、問題ない事を確かめてから皇帝に手渡される。そして彼が手紙を見終わると、丁度そこにいた宰相様へと手渡した。

 


「父上、何が書かれていたのですか?」

「……精霊崇拝派は現在、モーズレイ侯爵の持つ別荘に潜んでいると書かれていた。道理で、見つからないわけだ。宰相殿、力を貸してもらえるか?」

「勿論です。騎士団長に話して、精鋭部隊を送りましょう」

「我が諜報員も数人ほど送りたいのだが」

「承知しました。それでも問題がないよう、人選を依頼します」



 別荘は徒歩で数日かかる場所になるらしい。馬で行くので、もう少し早くなるらしいが。


 

「侯爵は現在、アレクシア嬢とシンディア嬢誘拐の件で幽閉しておりますが、本人は『シンディア嬢がいるなんて知らなかった』と申しておりました」

「我らが隠したからな。一度でも自分の目で見ていれば、気づけただろうに……」


 

 侯爵の拘束は極秘で行われているそうだ。精霊崇拝派に気付かれないようにポールさんの魔道具を使用して、存在を隠蔽しているらしい。

 私の出る幕はなさそうだ、そう思っていたところ、宰相様が私に声をかけてくれた。

 


「アレクシア嬢。まずは済まない……君を助けることができなかったのは私の怠慢だ」



 そう頭を下げられ、私は慌てて宰相様に頭を上げるよう話す。



「いえ、爺……バイロンさんのお陰で私は無事に共和国で生活できていましたので、大丈夫ですよ。それに、王国にはない素晴らしい出会いもありましたから……王国に来ることができたのは、ここにいる皆様のお力があってこそです」



 そう言って私は隣に立っているライさんに顔を向けると、彼はこちらを見て笑ってくれた。私も笑い返せば、それを見た宰相様の目は点になっていたが、すぐに笑みに変わった。



「君が素敵な出会いを果たしたようで良かった。また彼らと関わらせるのは私としても心苦しいが……世界のためにもよろしく頼む」

「はい、最善を尽くします」

 


 そして最後になるであろう話し合いを終え、私たちは準備に取り掛かるのだった。

 いつも読んでいただきありがとうございます!


 ここから最終局面となりますが、最近少々執筆時間が取れていないこともあり、ここで一度執筆準備期間を頂こうと思います。

 1週間ほど執筆期間にさせていただき、その間にこの話は最終話まで書き上げる予定です。


予定では、来週木曜日(18日)から投稿再開になるかと思いますので、それまでお待ちください。


よろしくお願いいたします。


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