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【受賞作品・書籍化中】虐げられた精霊の愛し子は、隣国で魔石屋を開く事にしました  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第三章 王国編

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27、侯爵邸

 その後すぐに、ディアさんも目が覚める。


 最初は室内に居たことに驚いたディアさんだったが、私が状況を説明したところ、話が掴めたようだ。そのため、今は二人で話し合いをしていた。



「ニンフェ城が見える?つまりここは王都ということかしら」

「ええ。多分ここは王都のタウンハウスかと思われます。ですが、侯爵家にしては、ハウスの大きさが小さいと思うのですが……」

「シアさん、魔法で調べたの?」

「はい。探索魔法でちょちょいと……」



 王都は空気中の魔力が多く、タウンハウスなどに使われている木材は魔力が含まれていない。それを利用して、探索魔法を使えばどの程度の大きさの家で、部屋がいくつあるか位は理解できるのだ。

 ちなみに人も空中にある精霊の魔力と異なるので把握できる。



「この邸は二階建てのようです。そして不思議なのは人が少ないことでしょうか。先程確認した時は、五名でしたね。……後は必要最低限の設備はありますが、部屋数が少なくて、10部屋ほどだと思われます」

「そう、ではここは別邸の可能性が高いわね」



 成程、それは考えていなかった。



「モーズレイ侯爵の王都のタウンハウスは、別邸がひとつあると報告がきているわ。私たちはそこに移転させられたのね」

「私だけなら分かりますが、何故ディアさんまで……?」

「分からないわ。私とシアさんは離れた場所にいたはずだから、考えられるとしたら暴走したか、故意かでしょうね。私は何となく後者だと思うけれど」


 

 確かに、あれだけの魔力を精密に操作できていた人間が、最後に失敗するとは考えられなかった。そう思ってディアさんを見れば、彼女も頷いている。



「彼は帝国で一二を争うほどの、魔法の達人だったのよ。自分で魔法研究をするくらい……それよりもシアさんがここに来ていると分かれば、モーズレイ侯爵も一度はここに訪れる可能性もあるわね」


 

 そうだ。モーズレイ侯爵は私を欲しがっていた。連れてきた、と言えば一度は会いに来るかもしれない。



「よし。私は幸いローブだし……貴女を守る従者の設定ね!」

「え?モーズレイ侯爵にお会いした時にルイさんの婚約者だと言わないのですか?」

「やっと精霊崇拝派の幹部らしき一人が現れたのよ!叩きのめさないとね!」



 そこで理解した。


 私が誘拐されただけなら、直ぐにもみ消す事もできそうだが、ディアさんは違う。彼女は帝国、第三皇子の婚約者なのだ。彼女を誘拐となると、仮にモーズレイ侯爵が知らなかったとしても、国際問題に発展するだろう。

 ディアさんが言うには、モーズレイ侯爵家が精霊崇拝派の資金源になっている可能性が高いらしい。ここでできるだけモーズレイ侯爵家を叩いておきたい、と言う事だ。


 その後ディアさんは私の従者ということで話を合わせた私たちの元に、ノックの音が聞こえ、私は背筋がピンと伸びたのだった。

 


 

 私たちの元を訪れたのはモーズレイ侯爵……ではなく、彼が雇っている執事だった。彼によれば、モーズレイ侯爵は私の父であるバート公爵代理に頼まれて、この家に保護することになったと言われたのだが。



「……攫っておいて、それで私が納得すると思うのかしら?」



 話し合いでここに来たのならまだしも、あれは完全に誘拐だ。誘拐犯の家で保護されるなんてちゃんちゃら可笑しい。

 

 そうボソッと呟けば、執事さんから「おっしゃる通りです」と返されてしまう。その反応に首を傾げていると、後ろで口をつぐんでいたディアさんから「彼は大丈夫」と耳元に囁かれた。成程、帝国の手の者なのだろう。


 念の為防音結界をかければ、執事さんから感嘆の声が上がった。

 

 

「ザリバーは今この屋敷にはおりません。彼はモーズレイ侯爵様の部下ではなく、他の幹部の部下らしく、現在侯爵様が彼を借り受けているそうです。ですから、彼と侯爵様の間の伝達係として私がおります」

「……成程ね。ちなみにモーズレイ侯爵はシアさんに会いに来るかしら?」

「来ないと思います。今は社交の時期ですから、侯爵様はお忙しいですからね」

 

 

 ええ、そんなで良いのだろうかと思うほど拍子抜けである。



「誘拐した割には、扱いが雑ですよね……?」


 

 別に会いに来い、とは言わないし、むしろ嬉しいのだが……。そう言えば、執事さんは苦笑いだ。

 

 

「この別邸の周囲には、人の出入りが制限される魔道具と、魔法行使を制限する魔道具により結界が張られているので、問題ないと思われているのでしょう」



 確かに屋敷の周囲に張られている結界はあるが、よくよく調べてみればゴーレムで状況を伝達する魔法を行使するだけなら、この結界は関係ないと思われる。これは攻撃魔法を制限する結界なのだ。


 まあ、王国では私が無能だ、愛し子ではない、という話になっている。そんな娘であれば、逃げ出すこともないと思われているのだろう。

 

 

「それに侯爵様はザリバーに命じるだけ、ザリバーは侯爵様へ報告をしませんので……ザリバーがどのようにアレクシア様を連れてきたのかを侯爵様は知りません」

「そこは彼の采配でどうとでもなるという事よ!」

「つまり、侯爵様が来なければディアさんの存在も隠せるという事ですね」

「その通りでございます」



 話し合った結果、ディアさんは隣の部屋で過ごすこととなる。隣の部屋に行くためには部屋と部屋に隠し通路もあるらしいので、扉から出ずとも会えるらしい。

 そして最後に渡された腕輪は装着した人間の魔力を吸収するものと言われた。試しにつけてみたが、そんな感覚はない。



「それは本物と見間違えるほど精巧に作られたレプリカですから」



 と言われて、目が丸くなった。

いつも読んでいただき、ありがとうございます!


救出劇については、お膳立てされている状態なので、そこまで長くしません。

二話ほどあれば、救出されて、王宮へ行く話が書けるかと思います。


毎日投稿は少し厳しいかもしれませんが、完結まで描き切ります。お待ちいただけると幸いです。

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