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【受賞作品・書籍化中】私、もう興味がありませんのーー虐げられた愛し子は隣国でお店を開く事にしました  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第二章 ブレア領

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幕間 シアとの会話 (リネット視点)

本日2話目です。

前話を読んでから、こちらをお読みください。

 「え……?」


 目の前に座っているシアさんが、呆然とこちらを見ている。

 それ程の衝撃だったのだろう。


 先程、私は彼女から髪飾りをもらった。最近ダドリーさんのところで売り出している魔石を使用したものだ。

 「お世話になっているので」と言われて渡された髪飾りは、精巧に彫られた美しいものだった。


 彼女に感謝の言葉を述べれば、「実は……」とライにも装飾品を渡していた事を話してくれる。何を渡したのだろうか疑問に思い、聞いてみたら「腕輪」だということだ。



 流石に装飾品に疎い私でも知っている。腕輪を異性に渡すのは愛の告白を示すことを。

 それを彼女に伝えた途端、固まってしまったのだ。


 

 「あー、本当に知らなかったのだな」

 「え、ええ。ネルさんにお薦めしていただいたので、そのまま採用したのですが……」



 なんとか口を開いた彼女だったが、顔は熟れたトマトゥル(トマト)のように真っ赤である。

 

 

 「彼女に聞いたということは、きっとお膳立てしたんだろうが……」



 そんな私の独り言は彼女に聞こえていないらしい。口をぱくぱくと、まるで息継ぎをしている魚のようだ。


 恋愛感情に疎いと言われている私ではあるが、流石に彼らの好意は感じ取る事ができる。


 特にライはシアさんに恋愛感情を抱いていることは見ていて分かった。彼が私を見ている時の目、他の女性と話している時の目、そしてシアさんと話している時の目、それぞれが違うからだ。


 ……前者より、友情、無感情、恋愛的好意だと思っている。



 ギルドで働いてまだ数年とは言え、窓口で多くの冒険者と話しているネルさんのことだ。ライとシアさんの感情くらい、見抜く事ができるだろう。

 まあ、ライは恋愛感情だと気づいているかもしれないが、シアさんは多分自身の感情にまだ気づいていないと思うが。


 そう考えていた私の思考を遮ったのは、シアさんの言葉だった。

 

 

「ですが、あの後ライさんは私の渡した腕輪をつけているそうです……きっとライさんは、腕輪自体を気に入って下さったのでしょう。特に深い意味はないと思いますわ」



 そんな自分の発言に納得したのか、シアさんはとてもいい笑顔でこちらを見ていた。だが私は知っている。


 冒険者仲間に「彼女ができたのか?」と聞かれて、否定せず笑顔で去っていく彼を。

 その姿に「彼女から貰ったのだろう」と噂が立っていることも。

 そして彼女からもらった腕輪は依頼がなくても毎日腕に付けていることを。


 何故私が知っているかというと……わざわざバズが教えてくれるのだ。彼は噂が大好きだからな。



「まあ、シアさんが愛の告白の意味で贈っていないなら、その可能性もあると思うが……」



 ……多分、それはない。

 単に好きな女性から貰った物をずっと身につけていたいだけだろう。


 私の言葉に勢いづくシアさんだが、きっと彼女は私が飲み込んだ言葉にはきっと気づかない。

 

 それよりも、他人の恋愛というのは見ていて焦ったいものがある。


 昔、恋愛好きの友人が「両思いの二人を見ていると、はやくくっつけばいいのにと思うの」と愚痴を言っていた事があったが、その言葉の意味が初めて分かったような気がする。


 

「ですよね!ふふふ、少しスッキリしました」と目の前で笑っている友人を好きな彼の恋は、いつになったら実るのだろう。


 ……その事に思いを馳せると、すこしだけ気が遠くなった。

本日も読んでいただき、ありがとうございます。

アレクシアの魔石屋・冒険編は、本日で終了となります。


明日、王国の内情の話を幕間として投稿してから、新章に入る予定です。

よろしくお願いします!



*感想もありがとうございます!多忙のため返信ができておりませんが、ありがたく読ませていただいています!


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