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【受賞作品・書籍化中】私、もう興味がありませんのーー虐げられた愛し子は隣国でお店を開く事にしました  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第二章 ブレア領

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9、魔法訓練 前編

 リネットさん達と偶然お会いした後、私たちは2手に分かれることになった。


 シモーネさんとロゼットさんがリネットさんの部下を案内して、ゴブリンライダーを倒した場所に向かい、私たちは先にギルドへの報告を済ませてほしいとのシモーネさんの依頼により、リネットさんと共に街に帰ることに。


 ロゼットさんはリネットさんと別れることになったので、頬をこれ以上ない程膨らませていたが、他の魔物が来ないようにと、匂い等々を遮断する結界魔法を張っていたのは彼女であるため、解除をするのも彼女の手が必要なのだ。シモーネさんに引き摺られながらも、最後までリネットさんの名前を呼んでいた。




 その翌日、私は魔法の質向上のためにギルドを訪れていた。


 資料室に行こうと掲示板の前を通ると、鉄級の通常依頼であるゴブリン討伐の依頼書がなくなっていた。


 そこに書かれているお知らせをみると、ゴブリンライダーが出現した影響で、現在警備隊が森の中を巡回しているらしい。ある程度の実力者でなければ、森に入れない旨が書かれていた。


 ……丁度良いわ。今のうちに魔法の訓練をしておけばいいのよ、と私は思う。


 今まで魔石を使った訓練は、魔力操作と魔力量を増やすものだった。今後は、発動時間の短縮と命中率を上げる必要がある。

 

 そのため、どのような訓練が良いのか、魔導書で勉強しようと訪れた。その日は店を閉めている間、ギルド内の資料室を見て回ったのだが、魔導書はギルド内には置いていないらしい。そのため、再度周辺の地形に関する書籍を手に取り、頭に叩き込んだ。


 次の日。以前リネットさんから教わった図書館を見てみようと、ブレア城の門の目の前まで歩く。すると以前訪れた時に担当していた門番さんが私に気づき、声をかけてくれたのだ。


 図書館に行きたいと言えば、図書館への道を教えてくれた。門を左に塀沿いに歩いていくと奥へ入る道があり、そこを真っ直ぐ進んでいくと図書館らしき入口が見えてきた。


 中に入れば、身分証明書の提示を求められ、私はギルドの冒険者登録証を見せておく。そして最後に入館名簿に名前を記載すると、図書館に入ることが出来た。


 案内板を見れば、2階の中央部分に魔導書コーナーがあるらしい。私はその場所に向かって歩いていった。


 

 2階の中央部にたどり着いた私は、基礎が書かれている魔導書を探し始めた。


 王国でも基礎が書かれている魔導書は読んでいたが、ハリソンと婚約する前、公爵家に暮らしていた時のことだ。曖昧な内容が多いため、まずはどこまで覚えているか確認したかった。


 王宮に暮らしていた時は、読む本が制限されており、魔導書を読むことが出来なかったのである。


 以前読んだことのある本を見つけると、私は一心不乱に読み始めた。借りることが出来ないので、出来たら今日中に全部読み終えて、明日は違う本に進みたいからだ。


 その日は全部読み終えることができたが、肝心の訓練法については載っていなかったが、有益な情報を得ることが出来た。


 魔力操作を練習する際は、できるだけ少ない魔力で魔法を使えるように練習すると良いらしい。少ない魔力での操作が上手くなれば、魔力量が増えても失敗することは少ないそうだ。ちなみにそこから魔力量を多くしていけば、どれくらいの魔力でどんな威力がある魔法が使えるのか、それも把握できるとも書かれていた。


 そのため、開店まで少し時間が空いていた私は、街の外に出てから全属性、魔法を試してみることにした。すると、魔法の大きさとしては、自分の握り拳ひとつ分くらいが限界のようだ。これなら家でも全属性の訓練が可能だと、その日の夜から訓練のメニューに加えることにした。



 それを1週間ほど私は続けた。

 だからだろう、私は図書館の管理人さん達に名前を覚えられるほどになっていた。それはそうだ。一定の時間に毎日来て、すぐさま二階へ行き、魔導書をずっと読み込んでいるのだから。「また来たな」となっても不思議じゃない。


 この一週間で10冊ほど読んだが、そのうち数冊に発動時間を短縮する方法は書かれていた。結論を言えば、何度も魔法を使うことにあるらしい。


 何度も魔法を使うことで、魔法のイメージが強固に、速くなること。そして魔力を集める際の最短経路を把握しやすくなること。この二つが重要なのだという。


 

 発動時間短縮の訓練を行えば、同時に魔法の質も向上しそうである。あとは、命中率を上げたい。


 命中率を上げるなら、動いている的に当てる練習をすれば良いのだが……その動く的が問題なのだ。


 そう思い、参考になる資料はないかとフラフラ見ていると、ふと目に入った本があった。題名は「ゴーレムの作り方」。


 折角手に取ったのでページを捲ってみると、様々なゴーレムの作り方が載っていた。ゴーレムに必要なのは、土属性の魔力が入った魔石である。好きな形に作った人形のどこかに魔石を埋め込んだあと、魔法陣を身体に施す。そしてどんな属性でも良いので(一番良いのは土属性らしいが)、ゴーレムに魔力を注ぐと動き出すらしい。


 結構ゴーレムを作るのは大変なのね……と思っていたところで、ふと気づく。ゴーレムを的にしたら良いのではないか、と。


 すぐさま必要部分を写して、早速ゴーレム作りに取り掛かったのである。


 

 ゴーレムはその日の夜に出来上がり、翌日、私は昼休憩を取るとすぐに街の外に飛び出した。昨日の夜、ギルドのエミリーさんに「人のあまり来ない、魔物もいない場所」を教えてもらったので、その場所へ行く。


 念の為魔法が人に当たらないように防御結界をかけておいた。今回は、低くても適性があれば使える魔法を使う予定だ。魔道師なら全ての属性を鍛え上げている人も多いので、私が全属性使うところを見られても不審に思われるところはないはずだ。

 

 呪文で言えば、「火球(ボーライド)」「水球(ウォータープル)」「土塊(ソイルブロック)」「風刃(ウィンドブレッド)」だろう。これらは家でも訓練できる魔法だったため、一週間前から魔力操作の訓練をしている。


 これはゴーレムから数メートル離れた距離に線を引き、そこから前に出ずゴーレムへ攻撃を当てる訓練だ。魔石内に魔力があれば、壊れてもすぐに修復する魔法陣もゴーレムに描いたので問題ないだろう。

 

 まず私は、人前で使いやすい「風刃」で訓練した。魔石を埋め込んだゴーレムの前には、魔石を埋め込んでいないもう一体のゴーレムを置く。


 そして魔石を埋め込んだゴーレムには「もう1つのゴーレムに攻撃をしつつ逃げ回る」という指示を出している。以前のゴブリンライダーより速いであろうと思われる速さを設定した。


 ……予想通り、最初は散々だった。


 数回攻撃魔法を繰り出すも、全くゴーレムに当たらない。むしろ、味方を想定している動いていないゴーレムに当たることも多々あった。そもそも速すぎてゴーレムを目で追うことが無理だったので、まずはゴーレムの動きを目で追う事にする。

 

 流石に1日で目が慣れることはなかったので、それを繰り返す事にした。ゴーレムの動きを見るだけなら、物をどかせば家でも出来たので、翌日からは夜の時間を使い、目を慣らしていく。


 そして翌日から、街の外で実践をする際にはゴーレムの速度を数段階遅くして、確実に攻撃を当てる訓練を始めた。最初は当たらなかった攻撃も、最後には数回当てることができるようになった。


 攻撃が9割以上当たるようになれば、速さを一段階上げていく。

 それを繰り返していくことで、2週間経つ頃には、ゴーレムの動きを目で追えるようになっていた。


 

 ゴーレムの動きが目に見えるようになったとは言え、ゴーレムと魔物は異なるものなのだ。


 やはり、実践も大事であろう。私は久しぶりにギルドへ訪れ、ゴブリンの依頼があるかどうかを確認する。すると、一週間ほどで範囲は限定されてはいたがゴブリンの討伐依頼は再開されたそうだ。休日を利用して討伐に行く事を決める。


 それだけではなく、他の攻撃魔法も使えるようにと、どんどん魔法の難易度を上げていった。特に風魔法と土魔法で、使えると便利である拘束魔法は、いの一番に訓練を開始した。


 お店を開店している日は魔法の訓練に宛て、休日はゴブリン討伐……それをまた2週間。私は一心不乱に訓練を続けていった。

本日もお読みいただき、ありがとうございます。


呪文は英語読みを参考にルビを振りました。

冒険メインではありませんし、そこまで凝った呪文は考えるつもりはないです。

今後も度々呪文が出てくると思いますが、ルビはおまけ程度に考えていただけたらと思います。


明日は2話更新予定です。引き続き、よろしくお願いします!

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