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【書籍発売中!】スケルトンは月を見た〜祝福を受けた骸骨は、心を求めて旅をする〜  作者: アルファル


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色欲の罪1/2


その日、彼女は産声をあげた。


「すごい……産まれながらにしてなんとも可愛い赤ん坊なのかしら……抑制帯を」


彼女を取り上げた産婆は、可愛らしい人間の赤ん坊を見て、そう言った。


その後、彼女は臍の緒を切られ、母親に1度抱いてもらうと、別室に移動させられた。

そこで目隠しなようなものをつけられ、別室で寝かしつけられた。


この日が、後に色欲の罪を背負うことになる夢魔、キアラの誕生した日だった。





「母さま!」


「うふふキアラ。今日も元気ね」


小さい女の子が、女性に抱きついている。

その少女は、何かが描かれている黒い布で目隠しをされているが、視覚を封じられているわけではなかった。


「うん!今日は母さまが来てくれる日だし!今日はこれもとってくれるんでしょ?!」


「えぇ。今日はあなたの10歳の誕生日。長かったけど、やっとね」


「普通の子でも2年とか、長くても5年ってヘレナ先生が言ってたよ」


「えぇ。でも、キアラはもっとすごいのよ。なんでキアラがそれをするか、話したわよね」


「うん……催淫力が強すぎるからって」


「えぇ。私たち淫魔(サキュバス)は男の人の精力を頂いて生きているの。搾りとるわけじゃないわ」


「でも私は強すぎるから危ないって」


「そう。強すぎる力を操れなければ、その人に危険が及ぶの。私たちは相手を廃人にするために生きてるわけじゃないから」


「うん……」


キアラは母親に抱きついたまま、俯いた。

母親はそんなキアラの頭を優しく撫でてから抱っこをした。


「でもキアラもこの10年間で色々勉強したから、きっと大丈夫。さ、目隠しをとりに行きましょう」


「うん!」


そして2人は、歩き出した。


目隠しをとる儀式はあっという間だった。

特に痛いことをするわけでも、代わりに何かを取り付けることもない。

長い呪文を大きな円の中で聞くだけの、簡単な儀式。


「キアラちゃん。10歳の誕生日、おめでとう」


「ありがとうごさいます!族長様!」


「うふ。本当に綺麗な子ねぇ……」


長い呪文を唱えた後、族長と呼ばれる妙齢の女性がキアラの布を取り去り、優しく頭を撫でていた。

儀式が終わるとキアラは、横で儀式を見守っていた母親の元へと駆けていった。


「母さま!綺麗……」


「うふふ。キアラのお母さんだもの。族長様……これでキアラは」


「えぇ。大丈夫でしょう。催淫のコントロールも問題ないです。が、安定するまでは側にいてあげてください」


「ありがとうごさいます」


「次の世代を担うかもしれない金の卵ですもの。キアラちゃん。お母さんの言うことをしっかり聞くのよ」


「うん!」


「偉いわね」


族長はまたキアラの頭を撫でてにっこりと微笑んだ。


思えばキアラは、産まれてから手のかからない子だった。母とも頻繁に会っているから、夜は愚図るものの、それも歳を取るごとになくなっていた。それと共に力も大きくなり、10年閉じ込められていたのだが……。

キアラは勉強も嫌わず、自分の力のことも歳相応にわかっていた。


心優しい彼女が、強力過ぎる自分の力を悪用するとは思えない。ただ1つ心配なのは、彼女が意図しない力の暴走のみ。


まだ少しは、経過を見守るしかない。





「じゃあ、今日からちゃんとお母さんが一緒についてるからね」


「う、うん」


今日は、キアラが初めて男性の精力を食べる日だった。

サキュバスに年齢など関係ない。相手の夢の中に入り込み、淫夢を見せる。

その淫夢は入り込んだ相手の好みによって変わるのだ。

小さい子供が好きならば小さい子供の夢を、若い女ならば若い女。熟した女性ならばそうなる。


「大丈夫よ。お母さんが側で見てるから」


「うん。キアラ、頑張る」


キアラは目を閉じ、魔法を発動させた。

眠っている男を対象に淫夢を見せるのだが、今目の前にその男がいる必要はない。どこか近くの眠っている男に夢を見させるのだ。


「どう?キアラ」


「うん。大丈夫だよ」


キアラは目を閉じたまま返事をした。

少し経てば青白い光がキアラに向かって流れ始めている。催淫に成功し、その男の精力を吸っているのだ。

キアラの母親はその様子を見て安堵したが、すぐに異変に気付いた。


「キアラ、今、男の人はどんな様子?」


淫魔という種族柄、性行為が好きではあるが、淫夢は直接自分の体を使うわけではない。対象に好きな淫夢を見せている横で、自分は見ているという状況。

キアラは、その淫夢の内容を母親に教える。


「男の人が腰を振ってるよ」


「勢いは?」


「んーとねぇ……すごい振ってる」


「キアラ、ちょっとごめんね」


キアラの額に、手を触れる。

淫魔の間にある暗黙のルール。

人の夢を、見ない、入らない、邪魔をしない。娘であってもそれは一緒だったが、キアラの母親はキアラを介してキアラの見せている淫夢を見た。


「こ、これはっ。キアラ!すぐに目を覚まさせなさい!」


「えっ?!うん!」


キアラはすぐに淫夢を見せるのを中断しようと、見せている夢の内容を変える。性行為中に母親が部屋に入ってくるという夢に変えた。


男の母親が部屋に入り、注意をした。

だが、夢は冷めず、男は狂ったように尚も腰を振っている。


「な、なんでっ」


夢の内容を変えたのに、男が目を覚まさない。キアラはパニックになってしまった。


「ごめんね」


キアラの母親は自分の魔力をキアラに注ぎ込み、夢に乱入した。

見せるものは悪夢。

男の部屋に黒い水が満ち、男共々飲み込んでいく。男が気付いた頃には遅く、男はそのまま溺れていった。


すると、辺りが輝き始める。夢の覚める前兆だ。


「出るわよ。キアラ」


「う、うん」


夢が覚めれば、淫魔は強制的に夢の中から弾かれるが、自分から出ていくこともできる。


男の夢から脱し、元の薄暗い部屋の中、キアラは優しく頭を撫でられた。


「母さま……ちゃんとやったのに」


「えぇ。初めてにしてはちゃんとやれてたわ。でも、ちょっとやりすぎね」


キアラの淫夢がおかしいことに気づけたのは、キアラへ流れ込む精力が、濃くて多かったからだ。あのままキアラが夢を見せていれば、過剰搾取。男は廃人になるところだっただろう。


「でもキアラ、全然吸い取る気なかったよ?半分の力しか使わなかったもん」


「そうなのね……やっぱり催淫力が強すぎるのかもね」


「そうなの、かなぁ」


「わからないわ。もう一回、やってみましょうか。次は1割、ちょっぴりしか使わないでみましょ」


「う、うん」


そして男を変えもう一度催淫をしてみた。

今度は廃人になるほどではなかったが、母は驚いていた。


キアラの使う1割の力は、普通のサキュバスの8割程度の催淫力だったのだ。


通常、サキュバスの食事として見せる淫夢は、精々3割ほどの力を使えばいい。お腹いっぱいに食べたいのならば5割、行為を楽しみたいならば8割、そして男を廃人にしたいのであれば10割以上。


キアラの催淫力は飛び抜けている。


ほどなくして淫夢を終わらせ、通常の夢に戻すと、一息ついた。


「どう?」


「うーん……まだ足りないかな……」


「そう」


それから男を変え、キアラの1割の力で催淫を続けていたが、キアラのお腹が満たされるまで30人ほど、約5時間をかけてキアラのはじめての食事は終わった。


これでは睡眠がとれず、体に異常が出てしまう。

サキュバスの体は食事と睡眠でも栄養をとれるが、男の精力というものは必要不可欠である。毎回これほど時間をとってしまえば睡眠はおろか食事にすら支障をきたしてしまう。


お腹を満たしたキアラは、母親に頭を撫でられながら静かに目を閉じた。


母はそんな愛しい我が子の寝顔を見つめるが、嫌な予感に胸を締め付けられる。

いつも『スケルトンは月を見た』をご覧いただきありがとうございます。


この度、あるコンテストで特別賞を受賞致しました。詳しくは活動報告にて書いておりますので、よければご覧ください。


いつもありがとうごさいます!

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