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31-6 秘密の旅行

 

「いててて」

 早朝腕の痺れで目が覚める、いくら軽いとはいえ一晩中腕枕はさすがに辛い。


 起こさない様にそっと腕を抜く、静まり返った部屋、妹の寝息がだけが聞こえてきた。

 妹の幸せそうな寝顔を見ると何だか暖かい気持ちになる。



「目が覚めちゃったな……」

 そう言えば大浴場に行ってなかったな……

 せっかくだから行くか……そう思い準備をしていた所


「ん……お兄ちゃん……どこ行くの……」


「あ、ごめん起こしちゃった?、ちょっとお風呂入りに行こうかと」


「え!!!行こう、私もはいるううう!!」

 お風呂でテンション上がりすぎだろ


「貸し切りにはいかないぞ」


「えええええええええええええ」

 朝から勘弁してください。



 何とか説得する、ここの大浴場は入っておかないとって事で別々に入りに行く。


 パタパタとスリッパを鳴らし、シンと静まり返ったホテルの廊下を妹と歩く。

 男性と書いてある方に一緒に入ろうとするお約束妹を女性の方に送り込み中に入った。



 早朝なので誰もいない、身体をさっと洗いここ自慢の半露天風呂に入る

 風呂のお湯が外に流れ落ちているような作り、その外を見ると


「うわーーーーーす、凄い!」

「わーーーーーースッゴいいい!」


「え? 栞?」

「お兄ちゃん?」


 どこからか妹の声が聞こえる。

 同時に外を見て同時に声を上げたようだ。



「凄いなーーーこれ」


「うん! 来て良かったねーー」


 二人で外の景色堪能する。


 雲の上のホテル、それがこのホテルの売りでその通りの景色が今まさに目の前に広がる。


 雲が海の様に広がるその景色……中から島の様に山々が覗き出ている。

 風に流れる雲は波のようで、思わず見とれてしまう。


 昨日夕方の景色を上回るほど見事な雲海だった。


 俺も妹もその後は喋らなかったが、同じ風景を堪能していたのは分かった。


  しばらく景色をみながらゆっくりと風呂に浸かる、石垣からここへとあっという間に過ぎた夏休み前半

 栞、美智瑠、麻紗美、美月との色々な事を思い浮かべる……


 あんなに女子と関わりあいがなかった中学時代を考えると、妹を含めまさかここまでとは……少し分けてあげたい、中学迄の俺に……


 そんな贅沢な事を考えながら風呂を出ると妹が外で待っていた。


「部屋で待っていれば良かったのに」

「そんなに待ってないよ、お兄ちゃんもそろそろかなって」


「そうか、お待たせ」


「うん」

 妹は腕を組んでくる

「何だかこういうのになれると帰ってから大変かもな、家で腕組んじゃったりとか……」


「お兄ちゃんが良いなら私全然平気だけどね」

 いやいや、母さん見たら何て言うか……


 家族会議が間違いなく開かれる……かな?

 あの適当母さんなら、あらそうで終わる可能性も……


 帰る準備をして朝食食べに行く


「うわー一杯あるーー」

 小鉢がズラリと並ぶ朝食、信州の食べ物と思われる。


「うん美味しい」

「この蕎麦信州そばかな?」


 ちょっと寂しくもある朝食、そろそろ家に帰らなければという思いにさせられる。


「コーヒーは窓際のお席でどうぞ」


 そう言われ、外が見える席に移動、サービスが良くて逆にちょっとめんどくさいとは思ったが外の景色の雄大さに感動


 先程の雲海は綺麗に消え去り、緑の山と牧場が見える。

 夜中にいた鹿は綺麗に居なくなり、牛が転々と見える。


「お兄ちゃん、帰りはどうする?」


「あーーうん、まだ美術館とかゴンドラとか見たいし、諏訪湖も近いし色々回りたいけど、交通手段がめんどいんだよな、車でも乗れたら行けるんだけど……、残念だけど、ここから松本までの送迎があるからそれに乗って帰ろうかなって」


「うん、そうだね~、ああ、でももう終わっちゃうのかー、寂しいよーー」


「そうだなー、また来たいなー」


「安曇野の時に毎回こっそり来ちゃう?」


「いいけど、いつかばれるぞ」


「その時はその時だよお兄ちゃん」


 妹とコーヒーを飲みまた来ようと軽い約束を交わす。


 その後は部屋でゆっくり寛ぐ暇も無くチェックアウトをし、松本迄の送迎バスに乗った。


 松本駅で、コインロッカーから荷物を回収し、一応軽くお土産を買い新宿行きの特急に乗る。


「わーー美味しそう」

 ニコニコしながら駅弁を頬張る妹

「さっき食べたばかりじゃない?」


「何言ってるのお兄ちゃん、もうお昼過ぎだよ」


「ああ、そうか10行で数時間経ってるんだ、20万で4ヶ月なのに10行で数時間……、なんだろうこの時間の差は……もっと早く進めろや」


「誰と喋ってるのお兄ちゃん?、妄想は癖になるから気を付けてね」


「栞に言われると本当に気を付けなくっちゃって気になるな、ありがとう……」


 そんなこんなでようやく新宿に到着


 そろそろ夕方になろうとする時間に家に着く


「そう言えば今日って母さんいるの」

 玄関で鍵を開けながら妹に訪ねる


「えっとちょっと待ってね」

 そう言ってスマホを見る妹……

 母さんおれにはなぜ勤務日を教えない……


「えっとね今日は夜勤だから誰もいない……」


 扉を開けた時に栞がそう言った……が


 開けた瞬間目の前にいた小さい物体が俺に突撃してきた……!!





「ゆうにいちゃまあああああああああああ!!」




 何故か昨日安曇野にいたはずの美月が家にいた……


「美月?、えっ!どうした?」


「いつでも遊びに来て良いって言ったでしょ、だから来たよ~~~おにいちゃまああああああ」

 そう言ってウサギの様な瞬発力で首に抱きつきほっぺにキスをしてきた!!って




「うわああああああああああ!!」




 それを見た妹がドス黒いオーラを纏い突然変なことをいい始める……


「……お兄ちゃん……ホテルに着いた時に紫色の花があったよね、覚えてる?……」


「え? なんで今それを言うんですか栞さん、それより美月をなんとか……」

 紫色の綺麗な花があったのは覚えてますが……


「私、今からあれ取りに戻るね」

 美月に抱きつかれ、ずっとほっぺにキスをされている状態の俺を見ながら、にこやかに笑うって久しぶりに見た、目が全然笑ってねえ……


「えっと……、あれって何なんですか?」

 あんまり聞きたくはなかったが、つい聞いてしまった……




「……トリカブ●……」

 ニッコリ微笑み、家を出ようとする妹……


 やめてえええええええええええ、いかないでええええ、それはだめええええええええええ!!


 俺の夏休みはまだまだ終わらない……

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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