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14-3 二人きりの夜

 

 お願いもう一回と散々言われ、やれやれと再度プリクラの機械へ

 すると今度は、お姫様抱っこか、ほっぺにキスかどっちか選べと言い出す。


 さすがのわがままに、ここは兄の威厳を出して妹にビシッと一言、言ってやらねば!

 俺は気合を入れ心を鬼にして、栞に向かい口を開いた。




「栞! 全身なんだから、やっぱりお姫様抱っこで!」


「わーーーーい、もう一回だーーーーー」


 ふう、ちゃんと言ってやったぜ。




 ようやく満足したのか、ホクホク顔の妹を引き連れボウリングの受付へ

 貸し靴等その他もろもろの手続きをして、指定されたレーンに向かう。


 カコーン、カコーンと爽快な音を出すボウリング場の独特の雰囲気にテンションが上がってくる。


「お兄ちゃんてボウリングってやった事あるの?」


  何? 俺にやった事あるかって、それは愚問だな

「ふっ、何を隠そう中学の時に一度、クラス数人と行き、はまった俺は早朝ボウリングなどにちょくちょく行っていたのだ! 朝だと早朝割引とかあって安いからな!」


「へーーーー朝からボウリングってできるんだーー、朝からボウリングなんて誰と行ってたの?」

 あ、それ聞いちゃう?


「一人で……」


「へーーーー……」


 ああ、妹が悲しそうな顔になっている、同情するなーーー同情するなら友達くれ、良いだろ一人でボウリングやったって、一人カラオケと変わんないじゃん!


「お兄ちゃん、私はいつだって一緒に行ってあげるから!」

 そのがんばるぞいポーズを今するのはやめろ、泣くぞ!


「ははは、ありがとう、じゃあ球を選びに行こうか」


「はーーーい」

 俺は凹みながら、妹はスキップでもするように、ボウリングの球が置いてある方へ向かう。

 妹は可愛いいと言いながらピンクのカラフルな軽い球を、俺は黒の重い球を選びレーンに戻る。


「お兄ちゃんこれどうやって投げるの?」

「お、やった事なかったか、おし!まずは球の持ち方な、一番大きな穴に親指、残った二つの穴に中指と薬指を入れて後ろに腕を振ってなげる!」


「投げる時は投げる手の方の足を引いてな、いまやって見せるから」


「うん、お兄ちゃんがんばれーー」

  ニコニコ顔で手を振る妹を背にレーンに立つ

 ふっふっふ、色々負けている妹に、(おい誰だ全部負けるって言った奴)いい所を見せるチャンス!

 ここは……一人で練習した成果を見せる時。


「よし、見てろ栞!」

  俺はプロ顔負けのルーティンをし、ピンに向かって投げる。

 球はカーブを描き、ヘッドピンに当たる。

 ピンが勢いよく倒れるも、一番端っこのピンが残る。

「あーー惜しい」


「すごーーーいボールがカーブしたよ、お兄ちゃんかっこいいい」


 ボウリングのカーブは簡単で、手をひねるのでは無く、手首を立て親指を正面ではなくやや自分の方向に向け、球を抱える様にして投げれば勝手に曲がってくれる、ふふふ一人で練習しただけはあるな俺、おい! そこ泣くな。


 残ったピンを倒しスペアを取った◢

「じゃあ栞の番だ」


「はーーい」


 妹はレーンに立ち、ぎこちなく歩くと最後で止まり、止ったままえいやと投げる。

 球はごろごろ転がり途中でガターへ


「あーー、端に落ちちゃった」

 がっかりして戻ってきた妹に


「まあ、初心者だし、しょうがないよ」と慰め


「レーン真ん中に黒い三角のマークがあるだろ、その真ん中とピンの真ん中を結ぶ様にして投げるといいよ」

   アドバイスを送った後、手本を見せるかのように投げる

 今度は真ん中に行き過ぎてスプリット、ピンが左右二つに残ってしまい、1本は取ったものの1本残る。

 ちくしょう!


「よし、今度は落ちないように投げるぞ!」

 妹が気合を入れレーンに立つ、上着のデニムを脱ぎ、オフショルダーの服で肩の肌が見え、ミニスカートの様なキュロットを履いているその後ろ姿に、少しドキッとする。


「えい!」

 同じように立ち止まり球を投げる、ゴロゴロとゆっくり球が転がり、今度はピンの真ん中に向かう。


 軽い球で勢いは無いが、ピンはパタパタと倒れていき全部倒れる。

 頭上のディスプレイにストライクの表示▶◀

「やった、全部倒れた、お兄ちゃんやったよ」


「おーーーーすげええ」

 妹とハイタッチする。

 ラッキーストライクとは言え、初心者が2回目でストライクとは、さすがうちの妹。


「よし!その調子でどんどん行こう」


  そう言って俺、妹の順で次々投げていく。


 俺2投目スペア◢、妹2投目ストライク▶◀、俺スペア◢、妹ストライク▶◀、俺8本、妹ストライク▶◀俺…


「ねえ、お兄ちゃんみてみて、またストライクーーー!!」


 妹のルックス、ミニスカートの様なキュロット、不思議な投げ方でストライク連発、周りの視線が集まる。

 俺の妹の太ももを見るな、穢れる!なんて嫉妬をまき散らしているその間にも、妹は着々とストライクを重ね、すでにスコアは倍以上離されている。


「わーー見てお兄ちゃんまたストライクーー」


 無邪気にはしゃぐ妹……

 その妹を見て、家での思いが再度浮かんで来た。



 このチート妹があああああああああああ!!



 また負けた……


 そうして最終ゲームになり、俺はショックで5本しか倒れず妹の番になる。

 妹がレーンに立つ度に周りの視線が集中するのと、得点差に耐え切れず。


「栞このゲーム終わったら帰ろうか?」

 1ゲーム終わる前からすでに帰りたくなり、提案するも


「えーーーもう、まだ遊びたいーー」


 そう妹が言った時、ホールの明かりが暗くなり、レーザー光線の演出を加えながら派手な音楽が鳴る。

 妹がそれを見てうっとりしながら言う

「わーーーディスコみたいいい」

 おいお前いつの時代生まれだ? せめてクラブと……


 すると次の1投でストライクをお取りの方にプレゼントが貰えるイベントの開催です、との放送が


「えーーー何貰えるんだろう、あ、私の番だー、よしなにか貰えるかわかんないけどがんばる、お兄ちゃんみてて!」


 そして、まあ、またもストライク……、ついに周りから歓声があがる。

「やったあああ、お兄ちゃんやったああああ」


 喜ぶ妹に嬉しい気持ちはあるが、やはりいたたまれなくなり、再度妹に


「やっぱりそろそろ勉強やらないと駄目だろ、俺の部屋で勉強おしえてくれよー」


「え!お兄ちゃんの部屋で二人きりで勉強!えへへへへへへへ」


 よし乗ってきた!


「じゃあ、帰ろうか?」


「うん!」


 周りのえーもう? という心の叫びを無視し、手早く球を片付け、料金を払いに受付へ向かい、ボウリング場から出る。


 ちなみに妹がストライクを出したプレゼントは



【プリクラ1回分チケット】



 施設を出る前に妹がそのチケットを俺に見せ


「お兄ちゃん次こそは、ほっぺにちゅーで!!!」


 かんべんしてください……











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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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