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71-5 新たなる一歩


「ただいまあ」


「おにいちゃまあああああああああああ! おっかえりいいいい!!」

 美月が待っているからと、ホテルを出るとそのまま一目散に家に帰る。

 そして玄関の扉を開けると同時に美月は俺に駆け寄り首に抱き付いた。


「美月~~無事だったか」


「寂しかったよ~~おにいちゃま~~」


「そっかあ、あはははは」


「あははははは」


「……あの、私がいることわかってる?」

 俺が美月の腰を持ち上げ玄関でグルグルと回っていると、妹はじとっとした目でため息混じりに俺を見つめそう言う。


「おねえちゃま、お祝いは出来た?」

 俺の首に抱き付いたまま、美月は妹を見つめそう言った。


「ま、まあ……ね」

 

「ふーーん……そっかあ、じゃあここからは私の番だね!」


「え? ちょっと早くない?」


「早くないですう! 約束ですう、さあおにいちゃま、まずはおにいちゃまのお部屋に行こう」


「え? あ、うん」

 俺の首を掴んで離してくれない美月、いや、俺が離したくない美月を肩に担ぐようにして俺は言われるがままに自分の部屋に向かう。


「じゃあおねえちゃま、約束だから、入ってきちゃ駄目だよ」

 俺に抱かれながら美月は後ろに立つ栞にそう言う。


「……」

 栞は返事をする事なくその場で俺達を見送った。



 軽い美月を抱き抱えたまま、自分の部屋に入ると美月は俺から飛び降り慣れた感じでベッドにゴロンと寝転んだ。


「あーーあ、あのおねえちゃまのだらしない顔ときたら」

 美月は天井を仰ぎながらそう呟く。


「……へ?」


「おにいちゃまが目線を外した瞬間にデレーーンとしちゃって、美月が煽っても余裕の顔で……」


「そう……なのか?」

 

「お泊まりでどんな事してきたの?」


「え?! あ、いや、ふふ、普通に過ごしただけだよ?!」


 俺がそう言うと美月は起き上がり、俺の顔をじっと見つめる。

 美月の目が、目線がキョロキョロと動く、まるでレーザーで身体をサーチするかのように。


「…………誕生日、二人きり、おにいちゃまの目線が切れた瞬間あの顔を見せる。なるほど、美月の想像だと多分、おにいちゃまは、おねえちゃまにここだけの事にするからとか言われてまんまと口車に乗っちゃったって感じかな」


「えええええええええ?!」

 美月の頭脳が、スパコンがフル回転し、そう結論を弾き出す。


「二人だけの秘密か……まあ、へたれのおにいちゃまの事だから、エッチ迄はしてない感じかな」


「え……ち」

 それって何かなあ? じぇーとあいの間って……。


「昔の言い方だとC迄はしてない?」


「む、むかしって」

 えっと美月って小学生だよな? しーはびーどでぃーの間……。


「にゃんにゃん迄は」


「にゃ?!」

 昔になんとかクラブってのが歌ってた奴?


「閨事はしていないっと」


「ね?」


「房事はしてない?」


 ……マジでわからんが……そう言う事なのだろう。


「まあ、最後迄はしてないって事だね」


「み、美月?」

 えっと、俺が時間跳躍とかしてなければ、間違いなくまだ小学生な筈……。


「なんでしないの?」


「ば! あ、当たり前だろ?!」


「当たり前なんだ?」


「そりゃ」


「何で?」


「え?」


「何で当たり前なの?」

 美月はベッドの縁に座ると、不思議そうに首を傾げ俺をじっと見つめる。


「そりゃ兄妹だから」


「……ぷ、ぷはははははははははははは」

 俺がそう言うと美月は腹を抱えて大笑いする。


「な?!」


「だ、だって何を今さら、あはははは、兄妹って言うのが理由なら、エッチな事以前の問題じゃん」


「以前……って、何が?」


「えーー?、そりゃ告白を受け入れたり、高校生にもなって一緒にお風呂に入ったり、抱き合ったり、キスしたり、誕生日に二人きりでお泊まりしたり、秘密の行為をしたりって事だよおにいちゃま」


「いや、そ、それは」


「……おねえちゃまが迫ってきたから?」

 美月は棒のように細い足をプラプラさせながらそう言う。

 しかしその態度とは裏腹に美月の顔は真剣だった。

 笑顔だが責めるような目で俺をじっと見つめる。


「……」

 その美月の指摘に俺は何も言い返せない。


「全部おねえちゃまのせい、おねえちゃまを傷付かせたくないから、俺は何も悪くないってそう思っているの?」


「いや、そんな事……」


「拒絶しないなら……受け入れなくちゃ可哀想だよ、おねえちゃまも……美月も」


「美月……」


「あーーついつい言いたい事言っちゃうなあ、駄目駄目、ただの焼きもち、とりあえずお説教はここまで、今日はおにいちゃまの誕生日だしね~~」

 美月は俺を見て天使のように笑った。

 マジ俺の天使たん……。


 しかし……小学生にお説教される高校生って……いや、美月は見た目は小学生だが、心は俺なんかよりも遥かに大人だ。


「じゃあおにいちゃま、今日はおにいちゃまの誕生日なのでおにいちゃまの大好きなプレゼントを発表します!」


「お?」


 美月は片手をを高々と上げ宣誓するかのように言った。

「美月は考えました、一生懸命おにいちゃまの好きなものを一生懸命考えました」


「う、うん……」

 天才美月が一生懸命に考えるって……何か恐ろしい事が発表されそうな……。

 俺はドキドキしながら美月をみつめる。


「考えに考えて一つの結論を導きだしました!」


「は、はい」


「おにいちゃまの好きなもの、それは! 美月で~~~~す!」


「え?」


「……違うの?」

 俺が戸惑いの表情を浮かべると、美月は口を尖らせ不満な表情に変わった。


「ち、ちがく無い、ちがく無いけど」

 美月は大好きだ、でもここで肯定してしまうと……。


「おにいちゃまは美月の事が大好き、だからプレゼントは美月で~~~~す」


「いやいやいやいや」

 やっぱり来た、危険な言葉が、久しぶりのBANの危機が来たああああ。


「おにいちゃまには美月と」


「ま、待てそれ以上は!」

 俺は慌てて美月の口を押さえに行くが……間に合わない。

 美月は言葉の続きを口にする


「美月と~~遊ぶ権利をプレゼントします!」


「……は?」


「ん? おにいちゃま美月と遊ぶの大好きって言ったよね?」


「え? ああ、うん、そっかそっか、好きダイスキデス」


「えへへへ、やっぱり~~」

 俺はその美月のプレゼントを聞いて胸を撫で下ろす。

 しかし、続いて出た美月の提案にふたたびBANの恐怖を迎える事になる。


「じゃあ、今から美月とお医者さんごっこしましょう」


「……………………は?」


「今からお医者さんごっこ」


「いや、聞こえてる聞こえてる、ってか、なぜ?」


「おにいちゃまの好きな事だから?」


「いやいやいやいや」


「それにい、美月小学生だからあ、そういう遊びしか出来ないしい」


「いやいやいやいや」


「じゃあ、おままごとでもいいけどお」


「お、ま、まあそっちの方がまだ」

 俺がそう言うと、美月は罠に嵌まった獲物を見る狩人のような目で俺を見た。


「じゃあ……あ、な、た、ご飯にする? お風呂にする? そ、れ、と、も……夜伽する?」

 そう言うと美月は舌をペロリと出し、ベッドで寝転がると手招きをした。


 ああああああああああ、次回更新出来るのか?

 乞うご期待



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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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