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71-2 新たなる一歩


 ホテルから出て本来の目的地のホテルに向かう。

 この辺には高級ホテルがいくつも連ねている。


 俺達は以前ここに来た時、横浜で最も目立っていた建物を目指していた。

 その時は(https://book1.adouzi.eu.org/n1070el/55/)始めに水上バスに乗ったのだが、船からあのビルが見えた時、そしてそこにホテルがあるって知った時、俺と妹は冗談半分で言っていた。


 いつか泊まろうって……。


 まさか本当に泊まる時が来るとは……。


「楽しみだね」


「ああ」

 その建物を見上げつつ、遊園地の横を歩いて行く。

 そのあまりの大きさに距離感がバグる。

 俺達は雲に届きそうなその高いビルを見上げながら1階のロビーの中に入った。


 少し古いが綺麗なロビー、土曜日とあってチェックインの客がフロントにそこそこ並んでいる。


「じゃあチェックインしてくるからお兄ちゃんはここで待ってて」


「あ、うん」

 栞から荷物を受け取りロビーにて待機する。


 俺はソファーに腰掛けそこから見えるだろう景色を想像しながら、高鳴る期待を抑えチェックインを待つ後ろ姿の栞を眺める。

 

 この後一体なにが起きるのか?

 俺はそれをなるべく考えないようにしていた。


 暫しの時間が過ぎ、嬉しそうにカードキーを手にした栞が戻ってくる。


 そしてそのまま荷物を手にエレベーターに乗ると栞は64階のボタンを押した。


 殆んど揺れることなくエレベーターは驚くスピードで加速していきあっという間64階に到着した。


「えっと……こっちかな?」

 まだチェックイン時間を少し過ぎたばかりだからか、人の気配はしない。

 静まり返る廊下、絨毯が敷かれているので足音もしない。


 俺達は壁に貼られた部屋番号の案内を頼りに指定された部屋の扉の前に到着する。


 栞はカードキーをドアノブの所にかざすと青色のランプが点灯し『カチン』とロックが解除された音がする。


 そしてそのまま部屋の中に入った。

 

「おお……」

 丁度このビルの角に位置するこの部屋には大きなベッド、そしてそのベッド向こうに大きな窓が見える。

 カーテンは開いていた。

 その窓の向こうには、美しい富士山がはっきりと見えていた。

 

 俺達は荷物を投げ捨てるように床に置くと一目散に窓に近寄る。


 コーナーツインと呼ばれているその部屋から見える眺望に思わず息を飲む。

 遠くには富士山、そして横浜の住宅街が広がる。

 高速道路にはミニカーよりも遥かに小さい車が行き交い、模型よりも小さい電車が走っているのが見えていた。


 正に……神の目線と言っても良いだろう……。

 

「す、すげえ……」


「ふわああ……」

 お互いに、見える絶景に思わず声が漏れる。

 なんとかと煙は高いところが好き……そう言われても仕方がない程に俺達はその絶景を何も言わずに呆然と見つめていた。


 信じられないくらいの情報量が目に飛び込んでくる。『人がゴミのようだ』というお約束も言わずに時間を忘れ景色を見ていると、栞が俺の隣に来ると俺の腕に抱きついた。


「凄いねお兄ちゃん……」


「うん、ありがと」

 俺は栞にお礼を言うと、栞は俺を見上げ「ん?」と首を傾げる。


「これがプレゼントだろ?」


「ああ、そうだね……これも」

 そう言って俺から外の景色に目線を移す。


「とりあえず一旦落ち着こう」


「うん」

 そう言って窓から離れ部屋を眺める。

 部屋には大きなベッド、ソファーテレビ、カウンターバー、コーヒーメーカーが備わっていた。


 窓は2ヶ所、西側と南側の景色が探訪出来る。

 そして窓の所にカウンターが備わっており、景色を見ながらお茶をしたり食事をしたり出来る。



「お、お兄ちゃん凄い」

 栞は部屋の扉を開くと、そう言って俺を呼ぶ。


 言ってみるとそこはバスルームだった。


「お風呂入りながら景色が見えるよ!」

 バスルームには洋風バスタブ、そしてその脇に丸い窓が付いており、そこから外の景色が堪能出来る。

 

「へえ、シャワールームもあるんだ」

 洋風バスルームには洗い場が無い、そもそも基本的にバスタブの中で身体を洗う。

 お湯を張り、身体を洗わずに風呂に漬かりそのまま身体を荒いお湯を全部流し最後にシャワーを浴びる。

 

 そもそも外国の人はお湯にあまり浸からないらしい。


 今度セシリーに聞いてみるか?


 ちなみに俺はしっかり浸かりたい派なので、こういう洋風風呂はあまり好きでは無かったりする。

 

 しかし、この広さそしてこの景色を見せられると、少しわくわくせざるを得ない。


「……」

 いつもは一緒に入ろうと茶化す妹だが、あまりの広さ綺麗さにビックリしているのか? バスルームをうろうろし、アメニティとかに感心している。


 というか……今日は妙におとなしい……。


 いや、いつも通りなのだが、妹は俺と二人きりでの外出はいつものテンションよりも3割、いや、5割増しなのだ。

 しかし今日は至って冷静というか……どこかおとなしい。


 そう思った時、少し俺の胸に痛みが走る。


 まさか……俺に飽きたとか?


 もしかして……この関係にこの禁断で曖昧な関係に戸惑い始めたとか?


 そう考えると再びピリピリとした胸の痛みを感じ取れた。

 

 そしてここに来て俺はもう一つのことに気が付いてしまった。


 一歩進む覚悟と言っていたが……元に戻る覚悟が俺にはあるか? って事に。


 もし……俺と妹のこの1年の記憶を消し去る娘とが出来たなら、もし1年前からやり直し出来る事になったとしたら、そしてあの日あの時……栞が俺に告白してくれなかったとしたら……。


 もしも去年迄の関係に、ただの兄妹に戻れるとしたら。


 俺はそれを、その道を選ぶのだろうか?


 


 


 

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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