表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
295/340

70-2 大イベント


 とりあえず最大の難関を乗り越えお兄ちゃんと一泊二日二人きりでいられる権利を獲得した。

 あとは生徒会の面子と、あの忌まわしい西園寺茜を振り切るだけでいい。

 

 そしてそれを振り切るのは簡単なのだ。


 それは……お兄ちゃんと約束をすればいいのだ。


 お兄ちゃんは約束を守る……だから一番最初に約束すればいい。



 私はお兄ちゃんに会う為、ピンク基調のミニスカートにノースリーブのニットに着替える。

 

 出来るだけ可愛く出来るだけ大胆にお兄ちゃんに見せつける為に……。


 そして一応念のために下着も替えておく。

 いつ何が起きるかわからないからね!


 最後に髪を整え何度も鏡で確認し、部屋を出た。

 そして愛しい愛しいお兄ちゃんの部屋の前に立つ。

 

 さすがに今は美月ちゃんもいないだろうと、耳をすませて中の音を聞くことなくノックする。


「はーーい」

 愛しい愛しい大事だから何度も言う、愛しいお兄ちゃんの声が中から聞こえる。


 ああ、懐かしい……30分の過ぎるとこの声が懐かしく感じてしまう。


 出来るなら延々耳元で囁いていて欲しい、録音してずっと聞いていようかな……。 なんてことを考えながら、お兄ちゃんを待たせてはいけないと、慌てて扉を開けた。


「お? どうした?」

 お兄ちゃんはベッドから起き上がると私を少し驚いた顔で私を見つめる。

 そういえばこうしてお兄ちゃんの部屋に入るの久しぶり……いや、お兄ちゃんの記憶が無い時に入ってるけど。

 とりあえず私は何度か深呼吸する。

 お兄ちゃんの部屋の空気を思い切り吸い込む。

 森林浴よりも健康になりそう……。


「とりあえず入って、そんな格好じゃ、寒いだろ?」


「ううん大丈夫だけど……」

 お兄ちゃんが私のスカートと服を見る。

 そのついでにと太ももと胸も見てくれる。


 ああ、もっと見て、お兄ちゃんの視線を感じ、着替えて良かったと私は頭の中でガッツポーズする。


 お兄ちゃんに言われた通りに部屋中に入るとベッドに飛び込みお兄ちゃん抱き付きたくなる欲望を、気持ちを抑え、衝動を押さえるべくベッドの横にペタンと座りお兄ちゃんを見上げて言った。


「あ、あのね……お兄ちゃんの誕生日って土曜日だよね」


「え? ああ、そうか」

 お兄ちゃんは気付いていなかったのか、壁に掛かっているカレンダーを見上げる。


「それでね、美月ちゃんと相談したんだけど……今年はそれぞれがお祝いしようってことになってね」


「そ、そうなのか? いいのか二度手間だろ?」


「お兄ちゃんの事で手間なんて思ったこと無いよ! むしろ毎日お祝いしたいくらいだよ!」

 毎日がお祝い、お兄ちゃんと一緒に居られるお祝い。


「あ、ありがとう……でもさすがに毎日はね」


「ううん、それでね、金曜の夜と土曜日は私がお兄ちゃんのお祝いをするから、その日は空けといてくれないかな?」


「うん、勿論いいよ」


 お兄ちゃんは満面の笑みでそう言った。


「や、やった!」

 はあああああ、嬉しい、これでお兄ちゃんと二人きりの誕生日会が決定した。


「でも二日間二人きりって言ったよな? 美月はどうするんだ?」


「え? 美月ちゃんはお留守番だよ」


「え?」

 そう言うとお兄ちゃんは何か府に落ちないような表情に変わる。


「ああ、えっとね、その日は二人でお泊まりしようかと思ってるの」


「……え? ちょ、ちょっと待て、え? 泊まり掛けなのか?」

 お兄ちゃんは戸惑いの声を上げる。


「そうだよ? 今は美月ちゃんがいるからお泊まりしないと二人っきりなれないじゃない」


「い、いやそうだけど……ほ、ほら、美月一人だと心配じゃないか? 小学生を一人家に置いていくなんて危ないんじゃないかな?」

 お兄ちゃんは心の底から心配そうな顔で美月ちゃんの部屋の方向を向きながらそう言った。


「大丈夫だよ、だって美月ちゃんだよ? 泥棒の方が危ないよ」


「いや、そうだけど……」

 お兄ちゃんはそれでも戸惑いの表情を浮かべている。

 でも……私は知っている。

 お兄ちゃんのことはなんでもわかる。

 この表情は、この目は、この息づかいは……。


 喜んでいる時のそれだ。

 お兄ちゃんは……嬉しそうにしている。

 

 こういうときは押すだけ、圧す必要はない。


「美月ちゃんからは、許可貰ってるし……駄目……かな?」

 上目遣いで、出来るだけあざとく、そしてかわいくお兄ちゃんの背中を押す。


「し、仕方ないなあ」

 お兄ちゃんは、私を見て笑ってそう言った。


「嬉しい……じゃ、じゃあ後は全部任せてね!」

 私は立ち上がると、お兄ちゃんを見てにっこり笑う。

 そして後ろ髪を引かれつつお兄ちゃんの部屋を後にする。


「やった、やった、やった」


 私はスキップしながら部屋に戻る。

 そして部屋の真ん中でくるくるとバレリーナように回り喜びの舞を踊った。


 約束を取り付けたも嬉しいが、お兄ちゃんが喜んでいた事物凄く嬉しかった、

 そして私は確信した。


 あの記憶喪失以来、お兄ちゃんの中で何かが変わった事を。

 私に対する何かが変わった事を……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ