67-7 記憶の中の妹
目から火花が散った。
一体何事かと辺りを見る枕の脇に何か落ちている。
「も、桃缶?」
暗闇の中、うっすらと見える桃の絵。
そして……その桃缶の横に……。
「お、お兄ちゃん?」
「し、栞?」
何で栞が俺の下に居るんだ? 下、下ってなんだ? 上ではない、わかってるわ、え? えっとここはどこだ? あれ? そう言えば俺って確か長崎にいたよな?
ズキズキと痛む後頭部……何がなにやら、全くわからない。
いや、そんな事よりも……。
何故栞は俺の下に居るんだ? 俺はなんで栞に覆い被さっているんだ?
しかもどうやらここはベッドの上……ベッドの上で栞が下で………………。
俺はゆっくりと栞の顔から視線を下げる。
「う、うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「お兄ちゃん!」
「ななななな、何で、え? 嘘、は?」
何で栞が裸でベッドの上に、俺は慌てて栞の上から飛び起きる。
そしてそのま栞の足元までズルズルと後退すると……。
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
な、何で俺も裸なんだ? は? ど、どういう事? 一体何が起きてる。
とりあえず裸の妹は見慣れてる、見慣れてどうするんだというツッコミを抑え、冷静になれ、冷静になれと自分に言い聞かせ、俺は辺りを見回した。
うん、ここは俺の部屋だわ、つまり何か? この状況を鑑みると、俺は妹を部屋に連れ込んで、更にはベッドの上で覆い被さっていたって事だよな? こ、これってまさか?!
「……くううううう、み、みつううううきいいいいいいいいいいい! 美月のバカあああああああああああああああああああああああああああ」
俺が落ち着くと当時に今度は栞が唐突に叫び泣き始めた。
「え? ど、どうした?」
まさか俺が? 遂に一線を、遂に栞と……って思ったが、栞が叫んだ言葉の頭に美月という名前がある事を思い出す。
俺は冷静に栞を見ると、栞は俺の視線に気付いたのか? 泣きながらベッドの上を指差した。
見るとそこには何かの装置が仕込まれていた。
「これって……ピタゴラ装置?」
ベッドからその装置に糸が繋がっている。
薄暗くちゃんと見ていないが、どうやらそこから桃缶が落ちて俺の頭に当たったらしい。
つまり今の状況から予想すると、俺のベッドに二人以上で乗ると、その体重から装置が作動し、時間差で桃缶が頭上から落ちてくる仕組みになっている、なっていたと予想される。
そしてそれを誰かが意図的に作っていたって事なんだが……。
そしてそんな絶好な? タイミングで落ちる様に計算出来る人物はこの家には一人しかいない。
俺のベッドで泣いている栞は、桃缶を掴むと今度はプルプルと震える。
「うううううううう、あのガキ」
聞いた事のない栞の罵倒、そしてその桃缶を俺に向かって放り投げた。
桃缶を受けとると、そこにはメッセージが貼られている。
『お兄ちゃまの初めては、あ♡げ♡な♡い♡よ』
俺の美月が書いたとみられる綺麗な文字。
「つ、続き、お兄ちゃん早く続きを!」
「続きってなんだよ? てか、何がどうなってるんだ?」
頼むから説明してくれ、てか、その前に服を着ろ、服を着させろ!
「いいからお兄ちゃん!」
「よくねえええええええ」
◈◈◈
そして早朝、美月が婆ちゃんに連れられ家に帰って来た。
引っ越しと転校の全ての手続きを終え、今日から正式に我が家の住人となる。
「美月のバカ」
「バカって言った方がバカだもん」
「うっさい小学生の癖に」
「お姉ちゃまの頭が小学生」
「私は学年1位ですううう」
「美月は全国1位ですうう」
「小学生で1位なんて大したことないですうう」
「大学模試でも1位ですううう」
「それって正式な奴じゃないですううう」
「1位の人より点数高いから実質1位なんですううう」
正式に住み始めた初日からこれである。
「そ、そんな事よりも、俺の事を」
詳しく知りたい、一体どういう事なのか、そして俺と栞は一体……、
「うっさいお兄ちゃんのロリコン!」
「うっさいお兄ちゃまのシスコン!」
「いやいやいやいや」
こうして俺は美月のおかげ? で危うく人として兄として踏み外す所を、すんでの所で落ちずに済んだ。
済んだよな? 俺、俺の中の俺? なんとか言えよ俺ええええぇ。
次回から新学期が始まる予定?
ようやく1年が過ぎたこの物語は作者の趣味で書いてますのでまだまだ延々続きます。
でも最近全然反応が無いので暫くお休みしまーーす(*゜ー゜)ゞ⌒☆




