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66-13 生徒会の旅


 まるで魔法をかけられ石化して3ヶ月近く硬化してしまったような感覚になっていた。


 俺の目の前には……栗毛のロング、いつもなら毛先にウエーブがかかっているが、今は濡れているのでほぼストレートの髪、肌は透けるように白いがのぼせそうになったと言っているだけあって、全体的に赤みがかっている茜がいた。


 身体は細く、ガリガリと言って良いだろう、着痩せの真逆、いつもはもう少し豊満に感じる胸は、生で見ると小さかった。勿論大事な部分は全てお湯と髪で隠れているので問題は無い。


 そして彼女も自分の裸をただただ俺に見せようとしているわけでは無い。


 彼女は俺に自分の傷を見せていた。

 そのこじんまりとした胸の谷間の辺りから、へそまで大きく残った傷痕。


 いわゆる手術の跡なのだろう、その真っ赤な傷痕は彼女の色の白さをさらに際立たせる。


「どう? 綺麗でしょ?」

 自分の傷痕をお腹から指でゆっくりとなぞり、胸の谷間を通り傷痕を通りすぎそのままペロリと指を舐めニヤリと笑った。


「そう……だね」

 確かに綺麗だ。バラの花びらを散りばめた様なその傷痕……。

 でも、彼女はそういう意味で俺に見せているわけじゃないだろう。

 

「ねえ、もっと近くで見て」

 ジャボジャボと水をかき分ける音を鳴らし、俺に近づく茜……俺は浴槽の前で呆然と立ち尽くす。

 どうすればいい?

 俺から近寄る事は出来ない、ましてやこんな状況で逃げる事も出来ない。


「ちょ……」

 茜が近寄る、髪の毛が揺れ、水面波がたち、身体の大事な部分がチラチラと見え隠れする……。


「なに? なんで恥ずかしがってるの?」


「そ、そりゃそうだろ!」


「あははははは、え? 貴方まさか……童貞なの?」


「わ、わりいかよ!」


「ぷ、ぷぷ、ぷははは、あははははははは」


「笑うな」


「笑うわよ、笑うに決まってるじゃない、あはははははは」

 茜は一度立ち止まると、その場で腹を抱えて笑った。そして涙ながらに俺を見つめる。茜の大きくつり上がった目、悪役令嬢がそのまま現代に転生してきた様な顔立ち。


 一体こいつは俺に何がしたいんだろうか、益々疑問に思ってしまう。


「あ、あれだけ女に囲まれて、全員が貴方に惚れているのに、誰ともしてないなんて、なに? 貴方って不能なの?」


「そんなわけあるか!」

 いや、実践はしてないけど……多分。


「じゃあなに? 誰か一人に決めたら、他が離れて行っちゃうから、それが惜しくてって事? なにそれバカじゃない?」


「ち、違う!」


「だったら私にしておきなさい」


「え?」


「私にしておきなさいって言ったのよ」


「な、何が」


「初めての相手よ、勿論他の人には黙ってあげる」


「あああ?」

 嘘だ……後から言うに、いやいやそう言う事じゃない


「経験無い物同士は大変よ」


「あ、茜は経験あるのか?!」


「無いわよそんなもん、気持ち悪い」


「だーーかーーらーー、お前は一体なんなんだよ?!」

 やはりからかっているのか? 考えが読めない……。

 俺が戸惑いの表情を浮かべると、茜はさらに近付く、そして段差を越えゆっくりと浴槽から上がった。


 茜の全身が露になる……一瞬顔を背けようとしたが、それを堪えた。


「ふふふ、やっぱり貴方は凄いわね」


「な、何がだ」


「私のこの傷痕をしっかりと見てる、普通は顔を背けるか、しかめっ面になるかのどちらかよ」


「そ、そんな事はしない」


「ふふふ、顔が真っ赤よ、私の裸で欲情するなんて、本当に童貞なのねえ」

 茜はそう言うと俺の目の前まで近付きそして、俺に抱き付く様に密着する。


「や、やめ……」

 小さいが張りのある胸が俺の身体全面に押し当てられる。

 茜はそのまま俺の首に腕を回した。


「ねえ……キスして」


「……だ、駄目に決まってるだろ!」


「なぜえ?」

 ほんのりと赤くなった顔が俺の直ぐ目の前にある。

 

「好きでも無いのに……出来ない」


「ふーーん、好きじゃないんだぁ」


「あ、当たり前だろ、会って何ヵ月だよ!」


「あら出会って十数年経っても好きかどうかわからない人なんじゃ無いの? 貴方は」

 誰の事を言ってるのか……茜はそう言うと俺の首に回している腕に力を込める。

 近付く顔、さすがに顔を引いて拒絶の意思をみせる。


「あら女に恥をかかせるの?」


「そう言う問題じゃねえ」


「若い裸の男女が一つ屋根の下で一緒にいるのだから、やる事は一つでしょ?」


「どこのおっさんだ! やらねえよ、お前だって本気じゃねえんだろ?」

 どこの世界にホテルの大浴場でやる奴がいるんだよ?!

 しかもそれが初体験とか最悪だろ?


「ああ、もうウジウジと」

 

「だーーかーーらーー離れろって!」

 なんでこんなに目に合うんだ……

 揉み合うってそう言う意味ではなく、いやそう言う意味なんだけど、とにかくこんな所でそんな事出来る筈はなく、茜の意図が掴めず、いや元々こいつに意図なんて無いのだろう。


 茜はあいつと一緒だ元副会長と同じくこれもただの暇潰し、お金持ちの単なる娯楽に過ぎない。


「ああ、もう往生際の悪い!」

 茜は俺の首に抱き付いたまま足を絡め俺を押した。


「あ、あぶねえ!」

 俺は茜抱きつかれたまま後ろに倒れる。

 頭は辛うじて打たなかったが、背中を強く打ち息が止まった。


「がふっ!」

 俺の上に乗っている状態の茜、その顔は恍惚と化していた。


「あはあ、なんだあ、ちゃんと反応してるんじゃない」


 ななな何がですか?


「大丈夫、直ぐに終わるから」

 注射じゃねえから、いやある意味注射か…… そんな冗談を言ってる場合じゃねえ、こんな所でなんて、俺のアイデンティティーに関わる。


「や、やめ! し、しおりいいいいいいぃぃぃぃ」

 俺は思わず妹に助けを呼ぶ。

 すると……。


「呼んだ?」


「お兄ちゃま、私は?」

 脱衣場の扉が開き、そこには恐ろしい顔で笑っている全裸の妹と、辛うじてタオルで前を隠し不満顔の美月がいた。



お久しぶりです。

現在こちらにかかりっきりなのですみませんm(_ _)m

https://book1.adouzi.eu.org/n8909gv

『同情と恋の違い 元アイドルの美少女が責任を取りたいと僕の前に現れた。』


処女作『妹に突然』を3年かけてようやく全ての記録を越えた作品です(≧ヘ≦ )

こちらまだの方は是非とも宜しく(*゜ー゜)ゞ⌒☆

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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[一言] 「妹に突然を」見つかりません
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