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66-8 生徒会の旅

 

 一体何を考えているのか?

  明後日の自由時間を賭けた争いが、俺の知らない所で勃発していた。


 とりあえず次の相手に詳しい事情を聞こうと思ったのだが……。


「よくわからないデーース」


 次の相手はセシリーだった……。

 てか、そろそろ誰か言わないのか? このキャラいる? って……。


 いや、セシリーがいらないって言ってるわけじゃない。

 スペックだけ見たらスタイル抜群の超絶美人、しかも大使の娘で休日は外国人スポーツ選手や外国人タレント等の通訳をしているっていう噂をたまに聞く。

 そう、セシリーは間違った、偏った、アホな知識、いわゆる日本の高校生は必ずキャラづくりをしなければならないという、勘違いによりこんなキャラになっているのだ。


 まあ、生徒会メンバーの濃いキャラを見ていたら、その間違いのままってのもわかるんだけどね。


「わからないのに参加してるのか?」

 俺は気を取り直し事情聴取を続ける。

 

 グラバー園から出て閉店しているお土産屋を横目にセシリーと二人並んで坂を下る。

 夜になり寒さが増すが、やはり関東よりも暖かい。

 うっすらと春の気配を感じる。


 坂の途中からも見え隠れする夜景、恋人と歩くには最高のシチュエーションなんだろうが……。

 相手は意味不明なセシリーなのでそんな雰囲気になる筈もない。


「とりま、キスするデース、とにかくキスされれば勝つるデース」

 ほらね……こんなセリフじゃする気も失せる……いや、最初からないけど。


「…………しないから」

 多分生徒会の中で一番そういった関係とは縁遠いセシリー、てか、セシリーって女の子好きなんじゃ無かったっけ?

 相変わらず作っているのからか? キャラブレが半端無いセシリー。

 俺は、こいつをどうやって扱って良いのかいまだにわからねいでいた……まあ、それは栞を含めた全員そうなんだが……。


 しかし、何で俺がキスなんてしなきゃならねえんだ? どういった経緯でそんな話になってるのか詳しくはわからねえけど、でも、理由を知った今、少なくとも俺から積極的にするわけにはいかない。

 だって……。


「ほっぺたでも、手でもいいらしいデース」

 一つ情報がゲットできた。


「らしいって……いや、だから……どこだってしないから」


「ぶうううううぅぅ」

 セシリーは俺に向かって親指を下に向け、大リーグで何度も牽制球を投げるピッチャーに向けるようなブーイングをするセシリー……てか、お前イギリス人だろ?


「そもそも後ろから皆揃ってぞろぞろついて来てるのに、出来るわけねえだろ?」

 さっきとは違い隠れる所等全く無いただの道路……その為、俺達の後ろをぞろぞろと付いてくる生徒会の面々。

 一番後ろから栞が涙目で俺を恨めしそうに睨んでいるって……しょうがないだろ!?

 

「おうーー教会デーース、ついでに結婚しましょう!」

 坂の途中に突如現れる大きな教会、長崎はこういった建物が至る所に存在する。

 もう閉館しているが、恐らく有名な建築物なのだろう。

 窓にはステンドグラス、その美しい洋風の建物に俺は思わず足を止めた。


「これは大浦天主堂デース、カトリックの教会で日本最古のキリスト教建築物デース、国宝デース」


「…………」

 そう言って俺に説明してくるセシリーを呆然と見つめる。


「なんでっしゃろか? わしに惚れたかや?」


「いや、詳しいなって……」


「何でもは知りませーん、知ってる事だけデース」


「いや、聞いてないから……」

 ほんと止めて……そういうネタ。


「さっきのグラバー邸は重要文化財で、明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業での世界遺産の一つデース」


「へーー」


「グラバー邸に並んで有名なのは軍艦島デースね、共に世界遺産の建物の一つデース」


「ああ、そうなんだ、軍艦島は知ってる」


「長崎はそういった歴史的重要建築物が多い土地デース、多いに楽しめまーす!」


「なるほど」


「だから私にキスするデース、明後日はそういった所を一緒に二人で楽しみますデース」

 金髪をたなびかせ、セシリーはニッコリと俺に笑いかけた。

 いつもふざけてばかりのセシリーがこうやって突如真真面目な事を言うと、思わず戸惑ってしまう。


 でもこれが本当のセシリーの姿だった事を俺は思い出す。

 

 そう、こいつは……セシリーは、根は真面目なんだ。

 滅茶苦茶だけど日本語を使いこなすバイリンガル、知識も知性も一応備わってる……一応ね。


 そして、今のセシリーのセリフを聞いて、俺は今回の勝負の意味を知った。


 この勝負の本来の意味を知ったのだ。

 それは、長崎観光を俺が一緒に楽しめる人……って事らしい。


 勿論栞が一番なのは間違いない。

 恋人もいない、友達も少ない俺……が一緒にいられる唯一の相手。


 でも栞はさっき落選してしまったのだ。


 つまり俺は残りの誰かを選ばなければいけない……。

 

 栞以外の誰かと、長崎観光……いや、要するに誰と修学旅行の自由行動をするかって事なのだ。


 今回の目的はそれなのだから……だよな?




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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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