ボス戦フィールド『樹花の眠り処』
鳥居の中に足を踏み入れる。
するとすぐにフィールドが切り替わり、広場が現れた。
周りは木々に囲まれ、注連縄が張り巡らされている。雰囲気たっぷりだけど、丘の道筋にあったようなホラーだけは勘弁ね!
「はい、それじゃあ……初見でこの『樹花の眠り処』のボスを攻略していきましょうか……まずはちょっと観察しますね」
奥の物陰には、のっそりと目を瞑って頭を地面に寝かせたなにかがいる。
遠くからでも観察すれば、蛇のような頭部に亀の甲羅があると分かる。でも予想していた『玄武』は蛇が亀に巻きついているような状態のはずだし……でもそういう姿の解釈をされた玄武の可能性だってあるし……と考えを巡らせる。
いや、そもそも今までのボスで四神が出てきたことがあるか?
ミズチにライジュウ。どちらも青龍でも白虎でもなかった。そもそも、青龍は五行の要素で『木』を表している。雨属性対応で出てくるのはお門違い。だからミズチだったんだろうし。
ライジュウもそう。白虎は金。土中の金属や硬さを表すものだから、雷属性とはまた違う。そりゃあ、属性が五行対応していないわけだからそのまま出てくるわけはないし、もしかしたらミズチは進化したら太陽か晴れ属性で青龍になるのかもしれないけどさ。
このゲームにある属性は太陽、月、晴、雨、雷、雪。
五行思想は木、火、土、金、水。
どうしても合わないところがあるのは仕方ない。晴が火に対応していて、金は雷に相応するみたいだよね。
それから、植物系の要素が混じっている場合は太陽属性や晴属性である場合が多いらしい。
植物のみの魔獣がいなくて、ビックリ・トレントが正確な魔獣扱いにならないのはちゃんと対応する属性がないからだ。あと、十二支プラス猫のどこから植物に進化するんだよ、という問題も多分ある。それと同様に昆虫系魔獣がいないのもそこが原因だ。ピニャータでは出たけども!
今まで出会ったそれぞれのボスは二段階目の姿だったし、四神ではなかった。なら、このボスも違うんじゃないか?
答え合わせのようにして一歩一歩近づく。
亀は目を覚まさない。頭が少々長い気がする……? やっぱり頭部が蛇なのかな。
しまったなあ、亀のモンスターは玄武しか知らない。あとは有名なRPGで出てくるやつとか、ガメラとか……うん、それしか知らない。モンスター育成ゲームでもあんまり見ないもんなあ。予想がつかないや。
始まる前に推理するのは諦めよう。ちょっと悔しいけれど。
亀の周りには色とりどりの花が咲いていて、周りでは小鳥も囀っている。
よく見れば亀の頭に枯れ枝のようなツノが生えていて、蛇のような平たい顔ではなく、しっかりと四角い骨格のようになっていて……どちらかというと龍に近いような……?
目を瞑って寝ているようなので、瞳はやはり確認できない。もっと近くに寄らないと。
……そして戦闘が始まるだろう位置まで移動したとき、ようやく相手の情報が見られた。
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【『樹上の亀竜』魔獣キッチョウ】
属性: 太陽・雨
レベル:20
体力:???
SP: ???
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「いや、地面にいるじゃないですか」
「くっ」
ツッコミどころはそこじゃないぞとばかりに、アカツキの翼がビシッと足に当たる。地味に衝撃が来るからやめなさい。痛くないけど。
それにしても、やはり亀と竜なんだ……知らないなあ。
もしかして石像も、亀と蛇じゃなくて竜だったのかな? 気づかなかった。
「……グォ」
キッチョウがゆっくりと息を吐き、まぶたを押し上げていく。お爺ちゃんなのかな?
「……え?」
キッチョウが目を覚まして言葉を失う。別に恐ろしい目で見られたとか、目を見て石になったとか、そういうのじゃない。むしろ逆。
キッチョウの瞳は、赤色じゃなかった。
「よくぞ……参られた……道中の……行い、見て……いたぞ」
青空を映したような美しい瞳がこちらを見つめ、流暢に言葉を紡ぐキッチョウに私は口元を覆う。
「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!?」
録画していることを忘れていた。しかも初挑戦なのだから投稿しないわけにもいかない。つまり、自分の失態と叫びは全国に垂れ流しです。
まったくもって! 墓穴があったら入りたい!
キッチョウ……『吉弔』
中国の幻獣です。基本的には水棲ですが樹上にいることもある、ということで雨と太陽属性対応のトータスドラゴン。
最近、最近? 東方にも出ましたね。見た瞬間に歓喜しました。知っている幻獣が好きなコンテンツで出ると嬉しいですよねぇ。
あとはドラクエのガメゴンとかもキッチョウが元ネタかな?
好きな幻獣を布教していくスタイル。
なお、感想欄であった『家族全員で長女の動画を見る』という長女が死にそうな内容は面白そうだったのでやります。書くの楽しそうだったから仕方ないね!
あとイキりチワワでめちゃくちゃ笑ったのでそのうち採用するかもしれない。
このように、たまに感想欄から拾うこともあるのであしからず!




