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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
初イベント!『キャンディ・ピニャータ・パニック!』

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藤白京華という少女

 朝日が昇る。


「ふぁ……おはよう、アカツ……んー、違う。リアルだった」


 タオルケットをどかして起き上がる。ベッドの上でごろんごろんしていたいけど、今日は検診がある。起きないと……ああ、かなり暑い。


 夏休み中と言っても、我が家は和洋折衷の家屋だ。窓を開けておけば結構夜間の涼しい風が入り込んでくる。それでも蒸し暑いものは蒸し暑いのだけれど、クーラーをつけていなくても一応平気だ。扇風機はついているけども。


 2183年。

 電子機器と科学が進歩してかなり万能になった世の中。昔ながらの伝統芸能は衰退の一途を行くばかり。

 ゲームという名のバーチャル内で、伝統芸能の再現や継承などを試み始めて20年。それでも現実(リアル)で受け継ぐことに意味があると、現在でも細々と伝統芸能を伝える家がある。


 私の家、藤白(ふじしろ)家は生け花をリアルでも好んでやっている。ペットを飼えないのは私のアレルギーも原因だけど、細かい草花を管理する必要があるからという点も原因だった。飲食店じゃないからまだマシなはずなんだけど……。


 まあ、日々ゲーム三昧の私がいるように、親は「好きなことをすればいいわ」と無理に継がせようとしてこないのが幸いして、安心してモフモフに傾倒できるんだけどね! 


 ちなみに幼馴染の遊馬のところは特になにもない。普通に私のお隣さんというくらいで、あと厨二病でハンドクラフトとか家庭科系に強いというくらいかな? 最近は約束通り、編みぐるみを作ってくれているらしいので完成が楽しみ。


「今日の予定は……神獣郷は一日メンテ。私は脳波を見る検診と、あとお母さんのお手伝いで、遠くのお店に着物をとりに行くんだよね。私の分も!」


 神獣郷内で舞手として頑張っているから、少しリアルでもやってみたくなったのである。あと、二つの扇子と着物があれば、ゲーム内じゃなくても技の研究ができるよねって発想だ。


 扇子はわりとどこでも売っているのでいいけど、着物は専門の所じゃないと買えないからねぇ。ものすごく高い買い物となったわけだけど、その代わりに次の「いけばなコンテスト」に作品を出しなさいって言われている。たったそれだけで着物を買ってくれてしまうお母さんには、本当に頭が上がらない。


 神獣郷の動画も再生数と広告表示、継続期間が一定を超えるとお金が発生するので、ひとまずはそれで少しずつお金を返せるようにできればいいなあと思っている。今のまま続ければ確実に換金できるようになる。


「まずは扇子を一瞬で開く動作ができるようにならないとね」


 いわゆる『バッ』と開く動作。神獣郷では鉄扇なので金属っぽい『ジャッ』という音になる。ゲーム内ならできるけど、リアルだと習得するのにも時間がかかってしまう。それでもやろうと思えるのは、やっぱりリアルでできたほうがゲーム内にその技術を持ち込める可能性があるから。


 リアルではそんなに運動ができるわけじゃないっていうのは分かっているけど、いろんな動画を見てこういう動きをゲーム内でしたらいいんじゃないか? という考察ならできるし。


 運動できるできないはゲームとリアルで差ができたり、逆に影響がなかったりと様々だけれど。頭の出来なら、リアルもゲーム内も変わらないからね。


「んあー、だらだらしたい。アカツキのモフモフに顔を埋めたい……んあー……」


 こんな姿ファンには見せられないなー、なんて思いながらにへらっと笑って気怠い体を動かし、着替えをする。ゲーム内のほうが体感が長いからか、洋服を着ることに違和感がつきまとうんだけど! これは……あっちに慣れすぎだなあ。検診で引っかかったらどうしよう。


 とたとたと家の中を歩き回り、朝食に歯磨き、顔を洗って薄くお化粧をして出かける準備。


京華(けいか)、遊馬君から荷物が届いてるわ」

「んん、今から検診とお使いに行くから、後で見るよ! 部屋に置いといて!」

「そう、分かったわー。いってらっしゃい。錦織(にしごり)さんによろしくねぇ」

「はーい!」


 お使いで行く仕立て屋さんのご主人の名前が錦織さんだ。検診をする病院の近くだからと頼まれているのもあるし、多分私自身の和服も頼んでいるから顔を見せて交友を作るためって意味もあるだろう。お花の道より、行くなら舞の道かなあなんて夢想しつつサンダルでこつんと地面を叩く。


「行ってきまーす」


 さて、まずは検診。病院の場所はどこだっけ。

 視線操作でコンタクトレンズにインターネットの画面を映し出し、マップを確認する。一昔前ならこれって歩きスマホと似たような感じになるんじゃないかなあ……なんて。


 印をつけて案内の文字を頼りに目的地へと向かったのだった。

ということでリアルパートです。

あと1話だけかな? リアルパートを続けて本編に戻ります。

いつも誤字報告、感想などありがとうございます!


恋愛フラグは立たない。


現実パートでは、かなりリアルなVRMMOがある世界だし〜とふんわり未来っぽく書いてます。あくまでふんわり。脳に負担かかりやすいだろうこういうゲームは、100年経っても実現しなさそうな気もしますねぇ。神獣郷みたいなモフモフゲームがやりたい。モンスターファーム+牧場物語みたいなゲームでもできないでしょうか……。もしくは大神の続きを。


神獣郷こっそり裏話。

ケイカのケイは鶏冠のケイ。

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― 新着の感想 ―
生きてる内に完成して欲しい気持ちもありつつ無理なんやろなってゆう気持ちもある
[良い点] やはり脳にチップを埋め込まねば……
[一言] 時雨様は大神を知っておられる!? そうですよね続き出て欲しいですよね! 大神伝があるけど、アマ公が行った後日談兼 子供のお話ですもんね! .....すいませんちょっとはしゃぎ過ぎました。 中…
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